関取 花が選ぶ、“アコースティック・ギター弾き語り”の名盤5選!

シンガー・ソングライターの関取 花が“アコースティック・ギター弾き語り”の名盤をセレクト!

ライブ盤や弾き語りが当たり前のジャンルを除き、弾き語りだけで構成された現代の音楽アルバムは、意外と多くはない。そこで、弾き語り曲が1曲でも入っていたり、“アコギと歌”というスタイルの参考になる作品も“弾き語り名盤”と定義し、関取に5作品を選んでもらった。

※本記事は『アコースティック・ギター弾き語りの新時代』(小社刊)の内容を転載したものです。

J Mascis『Tied to a Star』

煙に巻かれる感覚がすごく刺さるんです

関取 厳密には弾き語りではないですが、それくらい最小アレンジで、ダイナソーJr.での爆音との対比も面白いです。ダイナソーは轟音の奥にけだるさみたいな部分を感じるじゃないですか。で、弾き語りのほうが人間味が生々しく出る気がするんですけど、Jマスキスさんの場合は、こういう演奏でもいまいちそこが見えない。

 ひょうひょうとしているというか、いい感じに煙に巻かれてる感じが、めちゃくちゃ刺さるんです。シンガー・ソングライターでは逆に出せないなって思う、憧れの名盤ですね。

Elizabeth Cotten『Freight Train and Other North Carolina Folk Songs and Tunes』

女性アーティストにははずせない1枚

関取 “弾き語り”という言葉をそのまま体現したような演奏ですよね。ただ、左利きで右利きのギターをそのまま逆にして弾いていて、フレーズもちょっと独特な感じするんです。そういうのも含めて、弾き語りって自由でいいし、正解はないんだよっていう。

 あと、歳を重ねてからのデビューとか、世に出た経緯なども含めて、奇跡が重なって良い音楽ができちゃうみたいな、弾き語りならではのロマンを感じるんですよ。女性アーティストならはずせない名盤ですね。

Neil Young『Live At Massey Hall 1971』

自然体な演奏に美しさを感じる

関取 これは大好きなライブ盤で、何度泣いたことかわかりません! 音楽をまだやっていなかった頃に初めて聴いた時は、“すごいな”くらいの感覚だったんです。そのあと音楽活動を始めて改めて聴くと、リズム感とかライブ運びとかすべてがうますぎて感動してしまって……。

 客席からの声や拍手がある中で、演奏が始まるタイミングとかも完璧。バンドだったらカウントインを計算しないといけなかったりするけど、ぬるっと始まる感じとかが、弾き語りだからこその良さで。そのナチュラルさに美しさを感じますね。

森山直太朗『生きてることが辛いなら』

神様に近い領域を感じますよ

関取 シングルに弾き語りバージョンも収録されていて、それがとにかく素晴らしい! 歌詞は軽いものではなく、それを弾き語りにすると情念たっぷりになっちゃいかねないと思うんです。でも、直太朗さんの場合は、ストリングスとかが入った音像よりも優しいというか。“木”みたいだなって思ったんです。

 優しさもあって全部受け止めてくれるようで、それゆえに畏怖を感じる部分もある。神様に近い領域を感じますよ。この歌詞に歌が食われないって、実はめっちゃ難しいことだと思います。

John Frusciante『Shadows Collide With People (Acoustic Version)』

レッチリに隠れる哀愁の源流を感じる

関取 まず、ジョン・フルシアンテの鼻にかかった感じの歌声がめっちゃ好きなんです。で、これはバンド版もある作品のアコースティック・バージョンで、咳払いとかも入っているんですけど、“弾き語りってそういうことだよな”って思わされる部分もあって。

 あと、レッチリの曲も好きなんですけど、この作品はキャッチーというか、メロディも泣けるんですよね。レッチリってイカついお兄さんたちなのにどこか哀愁や寂しさを感じる。その源流を、このジョンの弾き語りを聴くことで理解できる気がします。

※本作品は、配信サービスなどでの視聴不可

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アコースティック・ギター弾き語りの新時代

『アコースティック・ギター弾き語りの新時代』
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
小社刊

関取 花(せきとり・はな)

1990年生まれ、神奈川県出身。幼少期はドイツで過ごす。
多くのCM曲書き下ろしやテレビ出演を経て、2019年もユニバーサルシグマよりメジャー・デビュー。
2025年の独立後もCMや映画への楽曲提供、ラジオDJに本の執筆、テレビでは俳句を詠むなど、独自のスタイルで活動中。

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