トラディショナル・フレーズ〜アドバンス編『フラメンコ・ギターじゃなきゃダメなんですか?』 第10回 by 沖仁

フラメンコ・ギターの基礎を沖仁が教える連載。

第10回は、前回に続いて伝統的なフラメンコ・スタイルを説明します。

今回は、フラメンコ・ギター曲の中で、“ファルセータ”と呼ばれるフレーズに挑戦しましょう。ファルセータは、もともと踊りや歌の伴奏の曲の中間で、ギターが主役になって耳目を集める部分。ギタリストは皆、自身の持てるテクニックと創造性を目一杯詰め込んで、華麗なファルセータを作ります。そうしたファルセータをいくつか集めて曲にしたのが、フラメンコ・ギター・ソロの起源です。前回に続いてソレアとブレリア、そしてタラントという曲種の短いファルセータを取り上げてみました。

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.96の抜粋です。誌面には指使いも記したアレンジ譜面、奏法の写真解説も掲載。以下の動画と合わせてチェックしてください。

トラディショナル・フレーズ〜応用編

ソレア/タラント/ブレリアについて

●ソレア

フラメンコの基本形、Am-G-F-Eというコード進行に沿ったファルセータ。p(親指)でメロディを弾くことで、演奏の甘みが抑えられてフラメンコらしい土臭さが出てきます。最後の4小節ではラスゲアードの連続でフレーズを締めますが、手に馴染まない人はゆっくりのストロークで代用しましょう。

●タラント

1、2、3弦を開放する形のF♯フォームのキー。左手は押さえやすい上に響きは複雑なフラメンコの味を演出できる、便利なコードです。タラントはゆっくりの4 拍子系の曲で、通常は踊りを伴います。最後に出てくるリガード(プリング+ハンマリング)の連続は、タラントのお決まりのフレーズです。

●ブレリア

前回に続き、テンポの速い12拍子のブレリア。アルサプーアと呼ばれる、親指をピックのように往復させる技が出てきます。とても古典的なフレーズですが、歌や踊りの伴奏では、和声的に複雑なフレーズよりもこうしたフラメンコ色の強いファルセータが好まれます。

ソレアのアドバンス・フレーズ

ここではソレアの発展的なフレーズを紹介します。

タラントとブレリアの楽譜はアコースティック・ギター・マガジンVol.96をご覧ください。

*詳細はアコースティック・ギター・マガジン2023年6月号、Vol.96をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2023年6月号 Vol.96

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沖仁

おきじん 1974年、長野県生まれのフラメンコ・ギタリスト。14歳より独学でエレキ・ギターを始める。カナダで1年間クラシック・ギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。2006年にメジャー・デビュー。2010年、スペインの第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコ・ギター国際コンクール国際部門で、アジア人として初めて優勝。近年フラメンコ・ギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも尽力。最新作は2022年9月発売の『20 VEINTE~20 年の軌跡~』。

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