始めよう、簡単ギャロッピング『フィンガーピッキング・アカデミー』第10回 by 井草聖二 

アコギ初心者やエレキ弾きにとって、華麗なフィンガーピッキングは憧れと同時に、独習に時間のかかる奏法でもある。奥が深い奏法のため自己流ですませてしまうと、のちのち妙な癖を直すのに物凄く苦労する・・・なんてことは決してめずらしい話ではなのだ。 

そこで、本アカデミーでは、井草聖二を校長に迎え、フィンガーピッキング上達のコツをイチから学んでいく。抜群のセンスを持つトップ・プレイヤーあるだけなく、初心者からプロ志向まで対応できる柔軟な教え方にも定評のある井草校長のノウハウを、ぜひ日々の練習に取り入れてほしい。

今回は、カントリーなどでお馴染みの「ギャロッピング」についてだ。ギャロッピングとは、親指でベースラインとリズムを刻みながら、高音弦でコードやメロディを演奏する一人二役的な奏法だ。

なお、本連載は発売中の雑誌『アコースティック・ギター・マガジン 2023年6月号 Vol.96』の抜粋となっている。その本誌の最後では、練習曲として「見上げてごらん夜の星を」のギャロッピング・アレンジ譜面を用意。老若男女問わず愛され続けている曲なので、ぜひレパートリーに加えてほしい1曲だ。

YouTube連動動画

本セミナーは、YouTubeに連動動画を用意している。譜例の演奏などは、この動画をお手本にしつつトレーニングに励んでもらいたい。

【初級】親指のピッキング・パターン(5弦/6弦ルート)

▶▶5弦ルート:Cコード

まずは、親指でベースラインを弾きます。5弦→ 4 弦と弾き、次に5 弦を押さえている薬指を6 弦3Fに持っていき6 弦→4弦と弾きます。5 弦ルートのCコードは5 弦→ 4 弦→6弦→4弦の動きがベーシックになります。

▶▶6弦ルート:Gコード

6 弦ルートのGコードは6 弦→4 弦→ 6 弦→ 4 弦の動きになります。ギタリストによっては6 弦→4 弦→ 5 弦→4 弦と弾くパターンもありますが、今回は楽譜のパターンを覚えましょう。このベースラインがドラムの役割も果たしているので4分音符をしっかりキープしながら演奏しましょう。

【中級】コード&メロディを加える

▶▶コード弾き&ベース音のブリッジミュート

次はコード弾きを入れてみましょう。コードは右手の人差指と中指でピッキングします。コードフォームを保ったまま、最小限の動きでベースラインの音を押さえます。

譜面下段の2 小節は、6 〜4 弦だけサドル上に手を置いてブリッジミュートします。サムピックがなくてもある程度のテンポまでは演奏可能でしょう。写真の指の角度を参考に歯切れの良いミュートサウンドを出しましょう。


▲ミュートは、右手付け根の側面をブリッジサドルの上に置く。

▶▶ベースライン&コードにメロディを加える

ここからはメロディを入れていきます。この時もコードフォームを維持したまま最低限の動きでメロディ、ベースラインを押さえていきます。

ベース音をミュートすることで自然にメロディが前に出て聴こえるので、右手のピッキングは均一な力加減で弾きましょう。Dm7など4 弦ルートのコードは6〜3 弦までブリッジミュートし、4 弦→3 弦→5 弦→3弦の順番でベース音を弾きます。

【上級】「 見上げてごらん夜の星を」にチャレンジ

最後は、今回のまとめとして「見上げてごらん夜の星を」のスコアに挑戦だ。ギャロッピング奏法によるリズム&メロディを味わってほしい。スコアと解説文は、発売中の雑誌『アコースティック・ギター・マガジン 2023年6月号 Vol.96』にされているので、そちらを参照してもらいたい。

アコースティック・ギター・マガジン 2023年6月号 Vol.96

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井草聖二

いぐさせいじ 1988年生まれ、兵庫県出身。牧師家庭に生まれ幼少より讃美歌、ゴスペルに親しむ。11歳でドラム、15歳よりギターを始め、20歳でプロとしての活動をスタート。2015年から韓国、中国などアジアでの演奏活動も開始。アコースティック/エレクトリックを問わずさまざまなギターを愛用し、ソロ·ギター界を牽引するひとりとして注目を集めている。

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