トラディショナル・フレーズ〜ベーシック編『フラメンコ・ギターじゃなきゃダメなんですか?』 第9回 by 沖仁

フラメンコ・ギターの基礎を沖仁が教える連載。

第9回はトラディショナルなフラメンコのフレーズです。

フラメンコでは、演奏曲は曲名ではなく“曲種”で区別します(ライブ・プログラム1曲目=ソレア、2曲目=タンゴといった具合)。

それぞれの曲種の中で、典型的なフレーズやリズム・パターンがあり、そこにオリジナルのフレーズを織り交ぜて、歌と踊りとギターの3者で即興的に曲が進行していきます。

今回は代表的な曲種であるソレア、タンゴ、ブレリアのベーシックなリズムフレーズを紹介しましょう。

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.95の抜粋です。誌面には指使いも記したアレンジ譜面、奏法の写真解説も掲載。以下の動画と合わせてチェックしてください。

トラディショナル・フレーズ〜ベーシック編

ソレア/タンゴ/ブレリアについて

伝統的なフラメンコの3つの曲種について説明します。

まずソレアとは、どっしりしたテンポの12拍子の曲です。

キーはEのスパニッシュ・キーに固定されています。

歌、踊り、ギターともに見せ場の多い曲で、ギター・ソロにも数多く名曲、名演があります。

ソレアから多くの曲種が派生して生まれたので、フラメンコの基本でありながら真髄とも言える曲種です。

続いてタンゴは、アルゼンチンのタンゴとはまた違う、4拍子のノリの良い曲です。

キーはAのスパニッシュが多用されます。

編成はパーカッションやベース、バイオリンなど他ジャンルの楽器とのアンサンブルが主流で、どちらかと言えばポップス的な傾向の強い曲です。

最後に、テンポの速い12拍子の曲がブレリアです。

フレーズによって3拍子的に捉えたり4拍子的に捉えたりすることで生まれる、独特のノリが真骨頂です。

パコ・デ・ルシアやビセンテ・アミーゴを始め、フラメンコのトップ・ギタリストは皆ブレリアで個性と技を競い合います。

テクニック解説

①アバニコ
P(親指)、ami(薬指中指人差指),p(親指)を扇子を扇ぐような動きで回転させて、3連符をかき鳴らすテクニック。

今回はソレアの譜例の中で、6連符の連続にチャレンジ(詳しくは第5回などを参照)。難しいという人は4連符のストロークで代用してください。

②&③amiのラスゲアード
薬指、中指、人差指で順番にデコピンをする要領でコードを鳴らす奏法です。

タンゴの譜例で登場しますが、iを戻してくる時も弦を鳴らして、ビシッとリズムを締めましょう! ②はiの戻しから始まる、少し変則のパターンです。

④アルサプーア
親指1本を往復させてピックのように使うテクニック。

ブレリアの後半で使っていますが、単音弾きなのでアプローチしやすいはず!

ソレアのベーシック・フレーズ

ここではソレアのベーシックなフレーズを紹介します。

タンゴとブレリアの楽譜はアコースティック・ギター・マガジンVol.95をご覧ください。

*詳細はアコースティック・ギター・マガジン2023年3月号、Vol.95をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2023年3月号 Vol.95

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沖仁

おきじん 1974年、長野県生まれのフラメンコ・ギタリスト。14歳より独学でエレキ・ギターを始める。カナダで1年間クラシック・ギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。2006年にメジャー・デビュー。2010年、スペインの第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコ・ギター国際コンクール国際部門で、アジア人として初めて優勝。近年フラメンコ・ギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも尽力。最新作は2022年9月発売の『20 VEINTE~20 年の軌跡~』。

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