「リベルタンゴ」セッション編『フラメンコ・ギターじゃなきゃダメなんですか?』 第8回 by 沖仁

フラメンコ・ギターの世界を沖仁が紹介する連載。第8回は前回に続き、ピアソラの名曲、「リベルタンゴ」のフラメンコ・アレンジをお届けしよう。

セッション編ということで、前回のベーシック編と合わせて弾くとギター・デュオのアレンジが完成する。

またピアノなどのコード楽器とのアンサンブルや、ギター1本の演奏でも成り立つようなアレンジになっている。

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.94の抜粋となっている。誌面には指使いも記したアレンジ譜面、奏法の写真解説も掲載。以下の動画と合わせてチェックしていただきたい。

「リベルタンゴ」セッション編

演奏のポイント

全体的に難易度が高くなっているので、手に馴染まない箇所はベーシック編と差し替えても大丈夫です。自分だけのアレンジで自由に弾きましょう!

●テーマA
前回と同じフレーズですが、演奏のバリエーションとしてi、m(人差指、中指)を交互に使って弾きましょう。また前回とは違いハンマリング、プリングをなくしたことで、少し違う表情を出しています。

●ソロ
ラスゲアードを取り入れた、フラメンコ・ギターならではのフレーズ。8小節目から出てくる6弦のスライドはタンゴのギターで使うテクニック。11小節目の高速アルペジオが追いつかない人は、コード弾きでもOK。

テクニック解説

●ピカード
いわゆる速弾き。スピードが速いというだけでなく、1音1音に強烈なアタックを出すのがピカードです(ピカードは細かく刻む、という意味のスペイン語)。かつてスーパー・ギター・トリオでパコ・デ・ルシアが見せた速弾きは、今でもピカードのお手本です。写真解説ではピカードの大事なポイントにフォーカスしています。

●ゴルぺ+i
表面板を薬指で叩くゴルぺと、人差指1本をデコピンのように使ってコードを鳴らす動きを同時に行ないます(第7回で詳しく取り上げています)。

●アバニコ
p(親指)、ami(薬指&中指&人差指)、pを扇子を扇ぐような動きで回転させて、3連符をかき鳴らすテクニック。テーマBのラストに、連続のアバニコが出てきますが、これが弾けたらフラメンコ・ギタリストへの道が一気に開けます!(詳しくは第5回などを参照)

●amiのラスゲアード
薬指、中指、人差指で順番にデコピンをする要領でコードを鳴らします。今回はiを戻してくる時も弦を鳴らす、4連符にチャレンジ!

*詳細はアコースティック・ギター・マガジン2022年12月号、Vol.94をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2022年12月号 Vol.94

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沖仁

おきじん 1974年、長野県生まれのフラメンコ・ギタリスト。14歳より独学でエレキ・ギターを始める。カナダで1年間クラシック・ギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。2006年にメジャー・デビュー。2010年、スペインの第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコ・ギター国際コンクール国際部門で、アジア人として初めて優勝。近年フラメンコ・ギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも尽力。最新作は2022年9月発売の『20 VEINTE~20 年の軌跡~』。

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