フラット・マンドリンの入門書として異例のヒットを記録している『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(弊社刊、詳細は本ページ下参照)。この教本と平行して読んでほしいのが、本連載だ。なぜならば、歴史的名演を聴くことにより感性が磨かれ、さらなる上達へと繋がるからである。
さて、今回紹介するのは、トニー・ライス・ユニットの1stアルバム『Acoustics』。解説は、フラット・マンドリンの伝道師、ドルフィンギターズ 大阪店スタッフ・木曽誠さんだ。今回も鳥肌モノの演奏の解説となっている。ではスタート!
楽曲データ
アーテスト:トニー・ライス・ユニット
収録アルバム:『Acoustics』
マンドリン使用曲:全曲
名曲解説
フラットピッカーで影響を受けなかった人はいないのではないか?と思うくらい多くのブルーグラスギタリストに影響を与え、そして音楽史に深い爪痕を残したトニー・ライス。
デヴィッド・グリスマン・クインテット脱退後に結成したトニー・ライス・ユニットは、ブルーグラスを聴きやすくオシャレに昇華させたジャズ・グラスというジャンルを確立し、そして1979年に記念すべき1stアルバム『Acoustics』を発表しました。
ドカドカドカ! 畳み掛けるようなトニー・ライスの高速フレーズに負けじと、さらに上をいく超高速速弾きフレーズをぶっこんでくるサムブッシュの”ロックな”マンドリンとのストリングバトルが聴ける1曲目の「Gasology」は、このアルバム最大の聴きどころかも知れません。
デヴィッド・グリスマンの味のあるトレモロが聴ける「Blues For Paradise」、疾走感あるラウドな4ビートがカッコ良いウェス・モンゴメリー作曲による「Four On Six」での若きマイク・マーシャルのアグレッシグなDAWG的ジャズ・マンドリン・ソロなどなど、ジャズ・グラスの真髄に迫った内容となっており、また、3人のトップ・マンドリニストの聴き比べができるのも、このアルバムの魅力と言えるでしょう。
聴きやすい曲も多く、トニー・ライス入門としてもオススメの1枚です!
動画連動のフラット・マンドリン入門書の紹介
フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(税込み価格2,640円 )が、弊社より発売中!
本書は、はじめてフラット・マンドリンを手にする入門者に向けての教則本だ。しかも、動画連動なので、文字や写真ではわかりづらいところまで、しっかり学べるのが特徴。アコースティック・ギター・マガジン編集部が、自信を持って世に送り出した1冊なので、ぜひチェックしてもらいたい。
選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)