Alejandro Aranda『Unplugged』
演奏と歌唱が高度に絡み合う1枚
森 彼を見つけたのはInstagramのリール動画でした。DADGAD系譜のオープン・チューニングと右手の人差指で5弦あたりを叩いてスネアのようなリズムを生む奏法はとてもユニークかつ美しい。
その伴奏に負けないハスキーな歌声から紡がれるメロディ・ラインは刹那的で郷愁を誘い、聴いていて意識がここではない遠い場所へと飛ばされる。ひとりの演奏と歌唱が高度な次元で絡み合った1枚です。
青葉市子『q p』
間や息づかいに奥行きを感じます
森 ガット・ギターと歌の隙間に永遠を見るほど、間や息づかいに奥行きを感じます。歌詞の本当の意味にたどり着くのは容易ではなく、聴き手との果てしない距離を感じるけれど、言葉の手触りや音楽は不思議と近く柔らかく暖かい。
「海辺の葬列」に、“都会の歌は海に消えた 大きな龍が一飲みした”という一節がある。自分は青葉市子さんの歌声を聴くと、騒音に満ちた東京に潜む静けさを思い出します。
Jacob Collier『The Light For Days』
自由な発想にハッとさせられます
森 ジェイコブ・コリアーの視点で弾かれるアコースティック・ギターには、まだこんな弾き方があったのかとハッとさせられる奏法や発想が随所に散りばめられている。
「Norwegian Wood」では弦を叩くように押さえて生まれるピンッといった音でグルーヴを作り出し、時にはハープのように、時にはパンを振ってアルペジオの音像を左右に飛び出させたりする。自由自在なアイディアが心地よいが、それらが単なる技巧に終わらず、音楽として還元されている点に凄みがあります。
Adrianne Lenker『songs』
無垢だった頃の記憶を想起させる
森 連続されるアルペジオは木々のざわめきや葉脈を連想させ耳を包み込んでいきます。音が飽和するほどその世界へ深くのめり込んでいく感覚がある。
そこに彼女の視点でつづられた超個人的な歌詞と、人懐っこい歌声が重なり、自分の中にある幼少期のような無垢だった頃の記憶に触れてくる。その豊かだった時間の流れが、ただそこにずっと流れていたことをふと思い出させてくれるアルバムです。
Nick Drake『Pink Moon』
静けさの中に狂気の気配を感じます
森 僕が知っている弾き語りの中で、最も大きい重力を持ったアルバム。静かだけど、一歩踏み入ると叫びのような轟音が立ち上がる狂気の気配がする。それでいて歌声やギター・プレイは不思議なほど軽やかさを帯びています。
古い絨毯や埃の匂いを思わせる枯れたギターの音と、不完全であるがゆえの弾き語りの美しさが凝縮された名盤だと思います。
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