カッコ良いマンドリンが聴けるアルバム【第2回】ジェスロ・タル『スタンドアップ』

フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(2023年12月18日弊社刊)の発売を記念してスタートした“カッコ良いマンドリンが聴けるアルバム”を紹介していく連載。今回はその第2回目だ。

連載の曲解説の担当は、ドルフィンギターズ 大阪店のスタッフ、木曽誠さん。今回取り上げる曲は、ジェスロ・タルの「ファットマン」。では、早速スタートしよう。

楽曲データ

アーテスト:ジェスロ・タル

収録アルバム:『スタンドアップ』

マンドリン使用曲:「ファットマン」

名曲解説

“ジェスロ・タルのジャンルは一体何になるのか?”というテーマは古くから議論されており、未だ答えが出ていないように思います。

鮭の養殖業をセカンド・ビジネスとし、古城に住まうリーダー兼ボーカルのイアン・アンダーソン率いる個性的なバンド、ジェスロ・タルはブルース・バンドとして1968年に英国のアイランド・レーベルよりデビューしました。

ロックのサウンドにフルートを持ち込んだ異端児として、当時は、かなり斬新に映ったと想像できます。まあ、今でも十分斬新ですが。

そして1969年発表の2ndアルバムの『スタンド・アップ』には、ミステリアス且つ”粘り”のある、「ア・ニュー・デイ・イエスタデイ」や、ジャズロックテイストにアレンジされたJ.S バッハの「ブーレ」などの名演に隠れて「ファットマン」というマンドリンがフィーチャーされた曲が収録されております。

かなり民族音楽的なアプローチの曲で、響きからして特殊なオープン・チューニングを使っているかのようにも聴こえます。

“ジャカジャカ”掻き鳴らされたマンドリンの軽妙なサウンドにアンダーソンのシリアスなボーカルが相まって怪しさがいっそう際立ち、主要曲のような存在感を放ちます。

そしてレコードの見開きジャケット内にはメンバー4人がスタンド・アップ(立ち上がる)する飛び出す絵本のような仕掛けがあり、これはもうレコードを愛聴するものへのご褒美、ついつい笑みがこぼれてしまいます。

サブスク世代、驚愕のアルバム。

レコードを開いたところ。このように、飛び出す絵本のような仕掛けが施されている。

動画連動のフラット・マンドリン入門書の紹介

フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(税込み価格2,640円 )が、弊社より発売中! 

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はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方

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選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)

木曽誠(きそ・まこと)

老舗アコースティック・ギター専門店のスタッフ。お店がマンドリンに注力していることだけでなく、リペア担当の木曽さんによる独自の調整法が評判を呼んでいるという。木曽さん自身もマンドリン・プレイヤーということもあり、ざまざまなアドバイスを聴けるのも魅力だろう。

 

●ドルフィンギターズ 大阪店

〒564-0063

大阪府吹田市江坂町1-23-34 第2梓ビル5F

営業時間/平日11:30〜20:00、日・祝11:00〜19:00 定休日/水曜日

電話 06-6310-6180

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