カッコ良いマンドリンが聴けるアルバム【第1回】はっぴいえんど『風街ろまん』

フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(弊社刊)が、2023年12月18日に発売された。それを記念して、アコギマガジンWEBでは、“カッコ良いマンドリンが聴けるアルバム”を紹介していく。

曲解説をしてくれるのは、ドルフィンギターズ 大阪店のスタッフ、木曽誠さんだ。老舗アコースティック・ギター専門店のスタッフが、どんな曲を紹介してくれるのか興味深いところ。これを機に、マンドリンの魅力に気づいてくれたら幸いだ。

楽曲データ

アーテスト:はっぴいえんど

収録アルバム:『風街ろまん』

マンドリン使用曲:「暗闇坂むささび変化」

名曲解説

細野晴臣のジャック・ブルースの如く”ブンブン唸る”ベース・ラインと鈴木茂のブリティッシュ・ブルースよろしく的なフレーズなど、大瀧詠一のしゃがれたボーカルよりも、このふたりの存在がかなり際立ったアルバムと言えます。

「風をあつめて」とか「夏なんです」とか超名曲に隠れて、「暗闇坂むささび変化」というマンドリンがかなりフィーチャーされた曲があります。

マンドリンの音色が入ると問答無用にブルーグラス系かフォーク系かどちらかに傾いてしまう傾向がありますが、この曲に関しては、どちらにも当てはまらず、なんとマンドリンをベース・ラインのようなリフで伴奏として使っております(細野晴臣が弾いているそうです、納得)。 

しかもこういったリフをマンドリンのような高音楽器で演奏してしまうと、ボーカルの邪魔をしそうなのですが、不思議と馴染んでおり、良い意味でマンドリンを使っている気すらさせてくれません。

このようなところもこのバンドの凄みなのかなと思います。しかも録音が1971年ですからびっくり。

残念ながら使用マンドリンの資料は残ってなさそうなので特定できませんが、ソフトな音色なので、Fタイプじゃなく、オーバルホールのような気もします。

スピーカーだとマンドリン音がやや聴こえづらいのでイヤフォンなどで大音量で聞くことをオススメします。言わずもがな名盤です。

動画連動のフラット・マンドリン入門書の紹介

フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(税込み価格2,640円 )が、弊社より発売中! 

本書は、はじめてフラット・マンドリンを手にする入門者に向けての教則本だ。しかも、動画連動なので、文字や写真ではわかりづらいところまで、しっかり学べるのが特徴。アコースティック・ギター・マガジン編集部が、自信を持って世に送り出した1冊なので、ぜひチェックしてもらいたい。

はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方

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選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)

木曽誠(きそ・まこと)

老舗アコースティック・ギター専門店のスタッフ。お店がマンドリンに注力していることだけでなく、リペア担当の木曽さんによる独自の調整法が評判を呼んでいるという。木曽さん自身もマンドリン・プレイヤーということもあり、ざまざまなアドバイスを聴けるのも魅力だろう。

 

●ドルフィンギターズ 大阪店

〒564-0063

大阪府吹田市江坂町1-23-34 第2梓ビル5F

営業時間/平日11:30〜20:00、日・祝11:00〜19:00 定休日/水曜日

電話 06-6310-6180

https://www.dolphin-gt.co.jp/

アコースティックギターマガジン