「マイ・フェイバリット・シングス」アドバンス編『フラメンコ・ギターじゃなきゃダメなんですか?』 第12回 by 沖仁

フラメンコ・ギターの基礎を沖仁が教える連載。

前回に引き続き、ジャズのスタンダード曲にアプローチしましょう。

今回は難易度高めのアドバンス編です。

多くの方がなんと言っても冒頭のトレモロで苦労される予感がします。

クラシック・ギターと少し違う5連符のトレモロは、一旦モノにしてしまえばポップスの歌伴奏などにも使えるので、ぜひチャレンジしてください。

アレンジは最短の尺の構成になっているので、前回のベーシック編と組み合わせてフルサイズのソロ曲にまとめることもできます。

得意な形にアレンジし直して、楽しみながら弾いてください!

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.98の抜粋です。誌面には指使いを記したアレンジ譜面も掲載。以下の動画と合わせてチェックしてください。

テクニック解説

トレモロ(動画タイム0:22〜)

親指でベース音を、薬、中、人差指で旋律を弾くトレモロ奏法。

もとはクラシック・ギターのテクニックですが、クラシックが4連符なのに対し、フラメンコは5連符です。

p,i,a,m,i でひとかたまりになっていて、感覚的には親指を弾いてすぐに人差指、それからあとに薬、中、人差の3つがアルペジオ的に続く感じです。

トレモロは、基本的にはアルペジオの変形です。

アルペジオが複数弦を弾くのに対して、トレモロでは1弦をくり返し弾く形です(フラメンコのトレモロではメロディはほぼ1弦で完結します。2弦をトレモロするのは数段難しいです)。

アルペジオを弾ける人なら、慣れさえすればトレモロも弾けるはずです。

iアップ(動画タイム1:06〜)

人差指1本で、高音弦を引っ掛けてきてウラ拍に入れます。

コードを鳴らす目的もありますが、おもにリズムをゴーストノート的に取る意味合いが強いです。

これまでは1弦だけを開放で鳴らす形が多かったのですが、今回は高音弦3本を同時に鳴らします。

連続アバニコ(動画タイム1:55〜)

p,ami,pを順番に使って3連符をかき鳴らすアバニコ。

フラメンコではおもに踊りの伴奏でこのテクニックを多用します。

難しいという人は4連符のストロークで代用しましょう!

詳細はアコースティック・ギター・マガジン2023年12月号、Vol.98をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2023年12月号 Vol.98

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沖仁

おきじん 1974年、長野県生まれのフラメンコ・ギタリスト。14歳より独学でエレキ・ギターを始める。カナダで1年間クラシック・ギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。2006年にメジャー・デビュー。2010年、スペインの第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコ・ギター国際コンクール国際部門で、アジア人として初めて優勝。近年フラメンコ・ギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも尽力。最新作は2022年9月発売の『20 VEINTE~20 年の軌跡~』。

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