「マイ・フェイバリット・シングス」ベーシック編『フラメンコ・ギターじゃなきゃダメなんですか?』 第11回 by 沖仁

フラメンコ・ギターの基礎を沖仁が教える連載。第11回は、ジャズの定番曲にチャレンジです。

Emのキーで、3拍子系のリズムなので、フラメンコ・ギターでのアレンジが映える曲です。まずはベーシック編から。

テーマの部分のアルペジオから始まって、テンポを上げてブレリアのリズムにチェンジ。アルサプーアを駆使したコードワークからテーマに戻り、華麗にフィニッシュ!

アイディア次第でどんどん膨らませられますが、まずはフラメンコの基本テクを確認しながら曲の骨格の部分をさらっていきしょう。

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.97の抜粋です。誌面には指使いも記したアレンジ譜面、奏法の写真解説も掲載。以下の動画と合わせてチェックしてください。

演奏のイメージ

A(動画タイム0:23〜)

誰でも聴いたことのある有名なテーマから入ります。ここはぐっとテンポを落とし、メロディを歌い上げる気持ちで。ルバート的にテンポを揺らしても良いでしょう。アルペジオの中に歌の旋律が聴こえてくるように意識しましょう。

ブレリア(動画タイム0:43〜)

ここからいよいよフラメンコのリズムが始まります。ブレリアのリズムは、本来は変則的な12拍子ですが、とりあえずここは難しく考えず、ダウン・ストロークの箇所にアクセントが来る、ととらえてください。続くコード・ソロは、典型的なフラメンコ進行。Em-D-C-B7 の循環コードです。

A’(動画タイム1:17〜)

再びテーマに戻ります。早いテンポの中で流れるようなアルペジオを目指しましょう。フレーズは冒頭と同じですが、ここはリズムが乱れないように意識して、歌い方を対比させましょう。

B(動画タイム1:31〜)

失速しないように気をつけて、コードを弾きながらもメロディが伝わるように!

エンディング(動画タイム1:47〜)

アバニコの連続。フラメンコならではの疾走感を演出しつつ華麗にフィニッシュ!

テクニック解説

タパオ(動画タイム0:43〜)

いわゆるブラッシング。左手の指全体でミュートした状態でリズムを刻みます。タパオは蓋をする、という意味です。

アルサプーア(動画タイム0:50〜)

親指1本をピックのように往復させます。

ゴルぺ+iアップ(動画タイム1:05〜)

薬指で表面板を叩くゴルペ奏法と、i(人差指)で高音弦を引っかけてくるiアップ奏法を組み合わせたテクニック。リズムを刻みつつ和音を出す、フラメンコに欠かせない奏法です(特に伴奏でよく使います)。

p、a、iのアバニコ(動画タイム1:44〜)

p(親指)、a(薬指)、i(人差指)を順番に使って3連符をかき鳴らすテクニックです。難しいという人は4連符のストロークで代用しましょう!

詳細はアコースティック・ギター・マガジン2023年9月号、Vol.97をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2023年9月号 Vol.97

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沖仁

おきじん 1974年、長野県生まれのフラメンコ・ギタリスト。14歳より独学でエレキ・ギターを始める。カナダで1年間クラシック・ギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。2006年にメジャー・デビュー。2010年、スペインの第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコ・ギター国際コンクール国際部門で、アジア人として初めて優勝。近年フラメンコ・ギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも尽力。最新作は2022年9月発売の『20 VEINTE~20 年の軌跡~』。

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