オシャレなジャズ・ソロ・ギターにチャレンジ『フィンガーピッキング・アカデミー』第8回 by 井草聖二

アコギ初心者やエレキ·プレイヤーにとって、簡単なようで意外とハードルが高いフィンガーピッキング。

奏者のクセが出やすい奏法でもあるので、楽勝だぜ!という人も自己流で済ませてしまい、基本的な部分を見落としているケースも多いのでは?

そこで井草聖二をアカデミーの校長に迎え、極意をイチから教えてもらおう。今回はソロ・ギターならではのジャズ系コード・ボイシングを伝授。最後は校長のアレンジによる「Fly Me to the Moon」に挑戦!

なお本連載はアコースティック・ギター・マガジンVol.94の抜粋となっている。誌面には指使いも記したアレンジ譜面、奏法の写真解説も掲載。以下の動画と合わせてチェックしていただきたい。

基本の7thコードを覚えよう

7thコードはジャズの基本になります。通常のCやAmといった3和音に7度の音を加えた4和音のコードです。

ジャズ・コードでは開放弦はあまり使いません。まずは「Fly Me to the Moon」に出てくるコードを覚えましょう。

Am7は人差指で部分セーハ、中指を重ねるようにベース音を押さえましょう。7thコードは薬指でベース音を押さえるパターンと人差指でセーハするパターンのふたつを覚えましょう。

m7(♭5)はジャズに限らずポップスの楽曲でもよく使用されるので、この機会に覚えましょう。

基本テクニックをチェック!

●2フィンガーでメロディを弾こう
「Fly Me to the Moon」のメロディを人差指、中指の2フィンガーで弾いてみましょう。8分音符はスウィングしているので動画演奏を参考に一緒に弾いてみてください。

右手の2フィンガーの運指は、まずは楽譜どおり弾いて、慣れてきたら弾きやすい順番でOKです。1小節目と2小節目の間はメロディがシンコペーションでつながっている部分に注意しましょう。

●ジャジィに聴かせるコード・スライド
コードのスライドを使うと、7thコードだけでジャジィに聴かせることができます。複数の音を移動させなければいけないので、フォームの維持が大切になります。

1小節目ストリングヒット(×)後にAm7の半音下からスライドします。8分音符のリズムを守りましょう。スライドさせる前のコードより、スライド後に着地するコードを意識することで押さえ間違いが少なくなります。

「Fly Me to the Moon」にチャレンジ

●1〜4小節目:トップノートを立たせよう
まずEm7のコードを押さえます。コードの一番高い音(トップノート)がメロディの役割も果たしています。2拍目ウラでコードを離し単音メロディへ。

4拍目ウラからAm7です。ここのメロディはドの音(3弦5f)なので2弦は鳴らしません。D7はセーハで押さえ、2拍目ウラから単音メロディを弾きます。4拍目ウラのG△7もAm7と同様に2弦は省略して弾きます。

●5〜8小節目:3拍目にコードを入れる
C△7を押さえて2拍目ウラからメロディを弾きます。6小節目のアタマでF#m7(b5)のコードに変わりますがここではまずメロディだけを弾いて3拍目にF#m7(♭5)のコードを押さえます。

7小節目の1拍目はセーハするタイプの7thコードでB7を押さえます。8小節目のアタマはEm7ですがメロディだけを弾き、3拍目でE7コードを弾きます。ここからストリングヒットが出てきます。

●9〜12小節目:ストリングヒットとコード・スライド
まずはコードを弾かずメロディを先行して弾き、ストリングヒット後の2拍目ウラから、半音下からAm7にコード・スライドします。

11小節目は2弦を省略したBm7コードを弾きます。コード・フォームを保ったまま半音下のB♭m7を弾き、コード・スライドで再びBm7へ。次のE7も同じ手順でコード、半音下コードからスライドでもとのコードに戻って弾きます。

●13〜16小節目:メロディを弾くコードと伴奏コードを使い分ける
Am7は1拍目ウラからメロディへ。4拍目はメロディではないのでトップノートを立たせる必要はありません。次のストリングヒット後の3~4拍目からまたメロディです。

15小節目2拍目からベース音でエンディングへ向かいます。これは定番のラインなので覚えておきましょう。最後はハイポジションでG△7。形はC△7と同じで10fで弾くとG△7になります。

詳細はアコースティック・ギター・マガジン2022年12月号、Vol.94をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2022年12月号 Vol.94

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井草聖二

いぐさせいじ 1988年生まれ、兵庫県出身。牧師家庭に生まれ幼少より讃美歌、ゴスペルに親しむ。11歳でドラム、15歳よりギターを始め、20歳でプロとしての活動をスタート。2015年から韓国、中国などアジアでの演奏活動も開始。アコースティック/エレクトリックを問わずさまざまなギターを愛用し、ソロ·ギター界を牽引するひとりとして注目を集めている。

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