“アコギは音楽と一番近い存在”──ふみのが語る、アコギを使った作曲とプレイのこだわり

オーディション・プロジェクト『No No Girls』に参加し、艶のある華やかな歌声で多くの視聴者を魅了したふみの。ガールズグループ誕生を目指した同番組では、歌やダンスにフォーカスが当たることが多かったが、幼少期にアコギを始め、学生時代は弾き語り動画の投稿で人気を集めるなど、実は彼女の音楽の根幹にはアコースティック・ギターの存在がある。
“音楽=アコースティック・ギターというところまできている”というふみのに、アコギを使った作曲やプレイのこだわり、弾き語りの魅力などを語ってもらった。

取材・文=角 佳音 撮影=小原啓樹

ギターをどう弾けば一番グッと感情を持ち上げられるのか

──初めてギターを弾いた時のことから教えてください。

 小学2年生の時だったと思います。ディズニー・チャンネルの「オースティン&アリー」という海外ドラマで登場人物がギターを弾いているのを観て、欲しくなってサンタさんに頼んだんです。

──実際にサンタさんから届いたギターはどんなタイプでしたか?

 ヤマハの子供用のギターでしたね。

──そのギターで初めて弾いた曲は?

 「ハッピーバースデートゥーユー」のメロディを1弦だけで弾いたのが最初でした。たぶん誰かの誕生日が近かったんだと思います。

 その頃、3ヵ月くらいアコギを習っていたんです。その時の先生がノートに書いてくれた楽譜を見ながら弾きました。

──具体的にはどんなことを習っていましたか?

 そこは外国人の先生が教えてくれる、英会話兼ギター教室のような場所だったので、専門的なことというより、簡単なコードを教えてもらって、ギターに触れていました。

──初めて弾き語りをした曲は覚えていますか?

 一番最初はAKB48さんの「365日の紙飛行機」でしたね。当時、ライブの弾き語り映像を観ながら弾いていました。

──当時はどのような練習をしていましたか?

 いろんなジャンルの音楽を聴いていたので、アコギ1本でどんな曲も演奏できるように毎日弾いていた記憶がありますね。それが一番の練習だったかもしれないです。

──アコギが使われている音楽で、好きなアーティストはいますか?

 ロック・バンドが好きなので、BUMP OF CHICKENさんやback numberさん。あとはあいみょんさん、YUIさん、阿部真央さんも好きですね。

 でもディズニー・チャンネルからの影響が一番大きいかもしれないです。アコギに興味を持つきっかけとなった「オースティン&アリー」や「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」などでアコギが出てくるので。

──学生時代はSNSで弾き語り動画を投稿していましたよね。そもそも投稿を始めたきっかけは?

 当時、弾き語り動画の投稿をよく観ていたので、ずっとやってみたかったんです。高校生になってから、最初は友達に(アコギの生演奏を)聴いてもらっていただけだったんですけど、その延長線で動画を撮り始めたという流れでした。

──当時の動画を拝見したのですが、単純なストロークだけでなく、アルペジオやミュート・サウンドが入っていたり、リズムもどんどん変わっていったりと、多彩な弾き語り表現が印象的でした。意識していたポイントなどはありますか?

 歌に合わせた時に、ギターをどう弾けば一番グッと感情を持ち上げられるのかというのは考えていました。あとは曲の流れも考えていましたね。2番からミュートするのが好きなんですよ。

ふみの
ふみの

歌詞と一緒に出てくるメロディを大切にしています

──普段の作曲のスタイルについて教えてください。作曲時はアコギを持って作ることが多いですか?

 アコギかクラシック・ギターかピアノを使います。基本はどの曲も一旦アコギで作って、そのあとピアノで弾いてみたりもするんですが、“やっぱりギターのほうがいいかな”と思ったり。アコギが一番馴染むなと感じます。

──ギターで作る時は、歌詞から作りますか? それともメロディが先ですか?

 最初はコードですね。まずはテーマを決めて、そこにコードを組み合わせて、歌詞とメロディは同時です。

──作曲において、一番大事にしていることは何ですか?

 歌詞と一緒に出てくるメロディを大切にしていますね。歌詞と一緒に出てきたメロディのほうがピンとくるというか、ハマりやすいなと思っていて。

 もちろんメロディだけ先に作って、そのあとに歌詞を入れることもあるんですけど、言葉と一緒に出てきたメロディは特に大切にしています。

──2026年1月に東京・渋谷で開催された路上ライブについても教えてください。デビュー後、初のライブだったと思いますが、いかがでしたか?

 めっちゃ楽しかったです。路上ライブにずっと憧れていて、ずっとやりたかったんです。

──路上ライブでは、ちゃんみなさんから贈られたデビュー曲「favorite song」をアコギで披露していましたね。もともとはエレキでプレイしている楽曲ですが、原キーだと基本はバレーコードとなりますよね。

 この曲は最後にキーが上がるので、どちらにしろバレーコードが出てくるんですよ。だからバレーが最初にくるか、最後にくるかの違いなんですけど、最後にくると手が持たないんです(笑)。

──確かにライブにおいては重要なポイントですね。

 あとは、エレキと同じ感覚で弾きたいというのもあります。アコギのほうがちょっと弾きにくくなるんですけどね。

──「favorite song」のように、バンド編成のロックな雰囲気をアコギ1本で弾き語る際、プレイ面で意識することはありますか?

 弾き語りだと音が少なくなるので、どう頑張っても迫力が落ちてしまうんです。だからこそ、ちょっとゆったりと穏やかに弾いたほうがいいのか、逆にジャカジャカ弾いたほうがいいのかを考えますね。アコギの温かさを重視した弾き方を意識しています。

──この曲を弾いてみたい方に向けて、アドバイスをもらえますか?

 アコギで弾く時は、リズムがけっこう難しいんです。私の右手を真似して、リズムをつかんでほしいですね。バレーに関しては、ひとつ形ができればあとは動かすのみ!

壮大だけど、芯は孤独というところをすごく意識しました

──2ndシングルの「ホットライン」は、アコギの音色が心地いい楽曲です。どのように作っていきましたか?

 これは一番最初にちゃんと形になった曲なんですけど、制作時は作ることに必死でしたね。

 あと、自分で作ったデモとアレンジされた収録音源では、コードが全然違うんです。元々はもっと簡単なコードを使っていたんですけど、そのデモのバージョンも私は好きです。

──コード・アレンジについても教えてください。サビの前半“君の見る世界は特別で〜”は、コードが2小節ごとに変化しますが、サビの後半“もし辛いことがあるなら〜”以降は1小節に2個のコードが使われており、コード・チェンジのスピードが上がります。こういったアレンジにより、サビの中で展開がついているのが印象的でした。

 元々のデモの段階では4つくらいしかコードを使っていなかったので、“展開をつけたいからできるだけ変えてほしい”とアレンジャーさんに伝えました。

 あとは、ギターに展開があったほうが曲の展開も盛り上がるだろうという考えもありましたね。

──この曲をプレイする時にこだわっているポイントはありますか?

 最初のパートのリズムですね。ギターを叩いているんですけど、そこが難しいんです(笑)。弾き語りをする時は、正確なリズムを一番意識していますね。

──この曲におけるアコギの役割について、どのように考えていますか?

 この曲はアコギがメインなので、役割としては地盤ですかね。もしピアノで作っていたら、たぶんこの曲のメロディは出てこないし、アコギのリズム感があるからこそ出てきたメロディや歌詞だなと思っています。

──テレビ朝日系ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』の主題歌「よくあるはなし」は、初のドラマのための書き下ろし楽曲ですね。

 『未解決の女』では犯人が誰かを助けるため、復讐するために起こしてしまった事件を取り扱っていることが多いんですよ。それって“愛”だと思うんです。なので、“愛によって善悪の判断が揺らいでしまう瞬間”というのをテーマに書きました。

──その“揺らぎ”を表現するために意識していたことはありますか?

 壮大だけど、芯は孤独というところをすごく意識しました。アレンジもそうですけど、作曲段階でも最初のほうはアルペジオで単音で弾いて、サビだけジャカジャカ弾く、というふうに作っていました。

──ドラマに対して曲を書き下ろすのは、普段の作曲と比べて何か違いはありましたか?

 まずテーマを作って、そこから考えるという点では一緒だったけど、ドラマのテーマと自分が持っているテーマと照らし合わせて、共通点を見つけて曲に落とし込んだので、そこは違ったかもしれないですね。

ギターを持って歌っている時は、“The 音楽”という感覚

──今回話してもらった「favorite song」、「ホットライン」、「よくあるはなし」は、どれも異なるタイプの楽曲ですが、今後、アコギを使って挑戦してみたいジャンルなどはありますか?

 ギターを叩くスラム奏法をやってみたいです。海外の方が海辺でスラム奏法をしている動画を観てからずっとやってみたくて、憧れているんです。スラム奏法を使って、ちょっとロックな雰囲気の曲を作ってみたいですね。

──ガールズグループ、バンド編成、弾き語りなど、さまざまな音楽の届け方がある中で、ソロのシンガー・ソングライターとしてアコギを弾きながら音楽を届ける魅力についてどのように考えていますか?

 ギターを持って歌っている時は、“The 音楽”という感覚が私の中であるんです。オーディションで経験したダンス&ボーカルもとても楽しいんですが、個人的にはその感覚の違いはやっぱり大きいですね。

 あとは、ディズニー・チャンネルなどでずっと観てきた“ギターを持って、ひとりで立っているシルエット”は、やっぱりかっこいいなと今も変わらず思いますね。

──小学生の頃から現在に至るまで、ふみのさんの音楽人生のそばにはアコギがありますよね。ふみのさんにとって、アコースティック・ギターとはどんな存在ですか?

 ずっと身近にあったので、“音楽=アコースティック・ギター”というところまできていますね。アコギがないと曲を作れないと思うほど大きな存在ですし、私の音楽と一番馴染むなと思っています。

 私はアコギをベッドの近くに置いていて、寝る前に1回弾く習慣があるんです。コードを3つくらい弾いて、曲が出てこなかったら寝る、出てきたらそのまま作るという(笑)。

 これまで音楽をやめなかったのは、ギターがすぐ近くにあって、こういう習慣があって、ずっと弾いてきたからなのかなと思います。

ふみの

ふみの 3rd Digital Single『よくあるはなし』

Track List

  1. よくあるはなし

2026年5月8日(水)デジタルリリース

Streaming & Download:https://lnk.to/fumino_yh

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