UNCHAINの谷川正憲が“4人でのアコースティック・ライブ”でかき鳴らしたギター&ペダルボード

ギタリストの佐藤将文が脱退する前に開催されるはずだった“Get Acoustic Soul 2020”。コロナ禍での無念の中止から4年、ついに佐藤の限定復帰で4人体制のUNCHAINが実現し、2024年9月に“Get Acoustic Soul 2020 REVENGE”が行なわれた。今回はそのステージで使用されたアコースティック・ギターと関連機材をレポート! まずはボーカル・ギターの谷川正憲がかき鳴らしたアコギから見ていこう。

撮影/文=福崎敬太

Martin/D-28

Martin/D-28(前面)
Martin/D-28(背面)

“ブリッジ・ピンの押し込み具合”がポイント!

ギター・ボーカルの谷川正憲がメインで使用したのがMartinのD-28。ネック・ブロックのシリアルナンバーから推察するに、おそらく2003年製の個体だと思われる。ボディ・バックのほどよく褪色したローズウッドや、ピッキングによるボディ・トップの傷が、歴史を感じさせる1本だ。

ピックアップにL.R. BaggsのAnthemを増設したほか、ナットの溝などを調整している。また、ブリッジ・ピンを押し込みすぎないようにしているのがポイントだそうで、谷川曰く“これで音がけっこう変わるんです。緩めすぎると輪郭がなくなってしまい、押し込みすぎると鳴らなくなってしまう”とのこと。

L.R. Baggs/Anthem
ピックアップ・システムにはL.R. Baggs/Anthemを採用

サウンドの印象については“レンジが広い、下がすごく出る”と語っており、「The World Is Yours」での分離感の良いコード・ストロークや、ハイテンポの16分音符を刻んだ「Tonight’s The Night」でのラン・フレーズを交えた速いギター・ソロなどで、その広がりのある音を聴かせてくれた。

張っている弦は、JOHN PEARSEの600L(.012-.053)。

Shunpei Nishino/NR-3 CW

Shunpei Nishino/NR-3 CW(前面)
Shunpei Nishino/NR-3 CW(背面)

ジャジィなトーンを演出したエレガット

「Sugar – reminisce over 90’s」と「Fly In The Blue Moonlight」の2曲で使われた、エレガットのNR-3 CW。埼玉県所沢に工房を構える製作家、西野春平が2006年に手がけた1本だ。

スプルース・トップにマホガニー・サイド&バックのボディ、エボニー指板のマホガニー・ネックという材構成。ハイ・ポジションへのアクセシビリティも高いカッタウェイ付きで、サウンドも“音も柔らかすぎず、ほどよく抜けてくる”という。またピックアップは、プリ・インストールされていたものから変更しておらず、“バランスもよく、ペチペチいいすぎないし、こもりすぎない”と印象を語ってくれた。

「Sugar – reminisce over 90’s」ではフィンガーピッキングによる温かな音色でメロディアスなプレイを聴かせ、「Fly In The Blue Moonlight」ではコード・トーンで展開するホーン・ライクなアプローチを披露した。

使用弦は、AUGUSTINEのBLACK SET(ロー・テンション/.0280-.0435)。

Gibson/J-50

Gibson/J-50(前面)
Gibson/J-50(背面)

サブでスタンバイするビンテージJ-50

サブとしてスタンバイしていたギブソンのJ-50は、アッパー・ベリー・ブリッジにアジャスタブル・サドルというおそらく1966年製と思われる1本だ。

ピックアップには、ローズウッドのハンドメイド・カバーがついたL.R. BaggsのM1 Activeを搭載している。

L.R. Baggs/M1 Active
ローズウッドのカバーを装着したL.R. Baggs/M1 Active

粒立ちがよくなるようにナットの溝に角度をつけているとのことで、“抜けが良くて中身が詰まっているイメージ”とサウンドの印象を語ってくれた。

なお、本器に採用している弦は、D’AddarioのEJ16(.012-.053)だ。

Pedalboard

ペダルボード
①Fire-Eye/Red-Eye Twin(プリアンプ)
②MXR/micro amp(プリアンプ)
③TBCFX/Blackface Reverb(リバーブ)
④TRIAL/Line Selector(バッファー/ループ・ボックス)
⑤TC Electronic/Nova Delay(ディレイ)
⑥KORG/Pitchblack Custom(チューナー)
⑦whirlwind/Direct2-JT(DI)

スティール/ガットでサウンドメイクを独立させたシステム

足下の構成はD-28用の①〜③とNR-3 CW用の④〜⑥の2系統で、それぞれの信号が2チャンネルのDI⑦に入力され、PAへと送られている。

D-28はプリアンプ①に接続され、バランス・アウトではなくエフェクト・ループのセンド端子から出力され、バッファー的にかけっぱなしにしている②とリバーブの③を経由して⑦へと向かう。

①のEQはフラットなところから“チャリっとする部分が強かったらトレブルを下げるくらい”とのことで、ブーストは「Tonight’s The Night」やアンコールの「get down」などのソロ・パートで踏んでいた。

NR-3 CWは、友人である高早真憲氏が手がけるTRIALによるバッファー内蔵ループ・ボックス④へと接続され、ディレイ⑤を経由して⑦へ。また④のループを切り替えることでチューナー⑥へ接続され、ミュートされるというシステムだ。⑤はテープ・エコーのようなエフェクトをうっすらかかる程度にセッティング。

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