革新のEastman、Bourgeois Guitarsとともに feat. 齊藤ジョニー

日本再上陸を果たしたイーストマン。1992年に設立され、バイオリンやギターといった弦楽器、さらに管楽器なども手がけるメーカーだ。ハンドクラフトの精神を最も大切にし、妥協なく製作されている。2019年にボジョアを傘下に収めており、ラインナップを拡充させた。

今回はそのボジョア・ブランドの新機軸タッチストーン・シリーズをフィーチャー。フラットピッキングに定評のある齊藤ジョニーを迎えて、その実力を検証した。

ボジョア・タッチストーン・シリーズ

 ドク・ワトソンやリッキー・スキャッグスといった伝説的なギタリストを始めとする数多くのアーティストたちが信頼を寄せるボジョア・ギターズは、2019年に、ビンテージ・ギターの伝統とノウハウをお求めやすい価格帯で再現するブランドとして評価を高めた、イーストマン社のファミリーとなった。以来、ボジョア・ギターズを主宰する名匠ダナ・ボジョアのノウハウはイーストマンの製品にも活かされ、その質的な向上ぶりには目を見張るものがある。

 今回ご紹介するボジョア・ブランドのタッチストーン・シリーズは、アコースティック・ギターの要であるボディ・トップの部分をアメリカのボジョア工房で仕上げ、中国のイーストマン工房でギターに仕上げることで、ボジョア・ブランドとしては手の届きやすい価格で提供されるモデルである。モデルはドレッドノートとOMタイプで、それぞれボディがマホガニーのものとインディアン・ローズウッドのものが用意されている。

ボジョア独自のブレイシング

Vintage/TS D

アラスカン・シトカ・スプルースのトップにインディアン・ローズウッドのサイドとバックという、いわゆる28スタイルで、タイプはドレッドノートとOMがラインナップされている。ブレイシングはコシのあるアディロンダック・スプルース材で、低音側だけスキャロップにするという、ボジョアの独得な仕様になっている。

Specifications

●ボディ・タイプ:D or OM

●ボディ・トップ:アラスカン・シトカ・スプルース単板

●ボディ・サイド&バック:インディアン・ローズウッド単板

●ネック:マホガニー

●指板:エボニー

●ブリッジ:エボニー

●価格:オープン(実勢市場価格550,000円/税抜価格500,000円)

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齊藤ジョニー’s Review

ドレッドノートは音の量感や広がりがすごくて、体にズシンと振動がきます。抑制の効いた鳴りで、音が少し遅れてボウンと出る感じがビンテージっぽい。

ヘリンボーン・トリムとポジションマーク
スタイル28流儀のヘリンボーン・トリム&ダイアモンド・ポジションマーク。

Vintage/TS OM

本家よりも1mm細いナット幅に繊細さを感じ取る

Country Boy/TS OM

サイドとバックにマホガニーを使用したモデルで、それ以外は仕様もラインナップもVintageと共通となっている。指板とブリッジはエボニー、仕上げはハイ・グロスで、本家のモデルと比べてナット幅は約1mm細くなっており、設計にはダナ・ボジョアの繊細な感覚が反映されていることが伺える。

Specifications

●ボディ・タイプ:D or OM

●ボディ・トップ:アラスカン・シトカ・スプルース単板

●ボディ・サイド&バック:マホガニー単板

●ネック:マホガニー

●指板:エボニー

●ブリッジ:エボニー

●価格:オープン(実勢市場価格495,000円/税抜価格450,000円)

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OMはあまり弾きませんが、音に粘りがあって、サステインは豊かだけれど下品にならず、ストロークでも繊細なニュアンスが出しやすい。

黒/白トリム&ドット・ポジションマーク
スタイル18流儀の黒/白(白はメイプル)トリム&ドット・ポジションマーク。

Country Boy/TS D

総評

ボジョアは抑制の効いた鳴りがビンテージっぽい。
フラットピッカーの先人たちのノウハウが詰まっている感じです

ドレッドノートは音の量感や広がりがすごくて、体にズシンと振動がきます。

今の高級モデルはおもにレスポンスやサステインを追求している印象ですが、僕は70年代頃の音楽のギターの音が好きだし、演奏スタイルもブルーグラス寄りで、繊細さを要求する楽器は向いていないんです。でも、ボジョアは抑制の効いた鳴りで、音が少し遅れてボウンと出る感じがビンテージっぽい。

ハイポジションの音がつぶれずにイントネーションも正確なのはモダンな楽器の良さで、フラットピッカーの先人たちのノウハウが詰まっている感じです。

OMはあまり弾きませんが、音に粘りがあって、サステインは豊かだけれど下品にならず、ストロークでも繊細なニュアンスが出しやすい。

材については、ローズウッドだとギターがしっかり鳴ってくれるので、弾き語りだと声との分離が良いのに対して、マホガニーはじんわり広がっていくような音で、声とのバランスが作りやすいですね。


●Presented by Eastman 製品に関するお問い合わせはS.I.E.(☎03-5965-6333)まで

アコースティック・ギター・マガジンVol.100 2024年6月号

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取材:坂本信 写真:岩佐篤樹

齊藤ジョニー

さいとう・じょにー ブルーグラス、カントリーをルーツに持ち、バンジョーやマンドリンといった楽器も弾きこなすマルチプレイヤーとしても活躍するシンガーソングライター。現在は平井翔馬とのユニット、よこスクロールズやソロ活動、サポートと多岐に渡って活動中。

https://www.saitojohnny.net

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