折坂悠太がライブで使用するギター&機材──新たな相棒となるFUJII GUITARSのオリジナル・モデル

2024年4月に行なわれた“折坂悠太 ツアー2024 あいず”から、最終日のSpotify O-EAST公演で折坂が使用した機材を撮影した。ついに完成したFUJII GUITARSによるオリジナル・モデル、そのサウンドをよりピュアに観客へと届けるためのサウンド・システム、そしてソロ名義のライブでは初登場となったマンドリンを見ていこう。

文=福崎敬太 撮影=西槇太一 協力=藤井圭介(FUJII GUITARS)

FUJII GUITARS/蘖(HIKOBAE)

FUJII GUITARS/蘖(HIKOBAE)前面
FUJII GUITARS/蘖(HIKOBAE)背面

新たな相棒となる、オリジナル・モデル

富山県のルシアー、藤井圭介氏が手がけるFUJII GUITARS。折坂は同工房によるプロトタイプを長らく愛用してきたが、2023年末頃にオリジナル・モデルがついに完成した。ラベルに印字されたモデル名は、切り株から生え出る若芽を表わす、蘖(HIKOBAE)。

ボディ・トップは藤井氏の提案により、地中に埋もれたまま長い年月を経た杉材である“神代杉”を採用。これは、秋田県と山形県にまたがる鳥海山山麓で採れたものだ。また、バック&サイド材は材木店の倉庫に長年眠っていたもので詳細は不明だが、藤井氏の経験上の感覚では、おそらくカリマンタン・エボニー、もしくはマッカーサー・エボニーとのこと。

そのサウンドについて折坂は、“ブライトさもありつつ、美味しいところがぎっしり詰まった感じで、色々なことが解決しました”と語る。

プロトタイプと比べてナット幅を狭く、ネック・グリップも気に入ったものを持ち込んでプロファイルしてもらったそうだ。それにより握りやすく、コードのまとまり感がよく出るようになったという。

ライブのアコースティック・パートはすべてこの1本で演奏され、すっきりとした低音感とマイルドな高音をバランス良く響かせていた。

Kentucky/KM-276

Kentucky/KM-276前面
Kentucky/KM-276背面

ソロ名義のライブでは初登場となるマンドリン

折坂悠太名義のライブでは初登場となった、KentuckyのKM-276。“形重視で選びましたね”と語る、オーバル・ホールを持つAタイプのマンドリンは、松井文、夜久一らとの“のろしレコード”で使ってきた1本だ。

ライブでは「努努」の終盤でエレキ・ギターから持ち替え、「さびしさ」で使用。今回のライブはエレキ・ギター、コントラバス、ドラムを従えた4人編成で、“重奏”形態と比べてアンサンブルのスペースもあり、『平成』(2018年)収録バージョンを思わせる、マンドリンの爽やかなリズムが抜けてくるような印象を受けた。

Pedals

足下に置かれたペダル

ピュアなアコースティック・サウンドの要

折坂の足下に設置された、アコースティック楽器用のペダル。左右の2台がoz designのUltima DI(アクティブDI)で左がマンドリン用、中央がK&K SoundのPure Preamp(プリアンプ)だ。

Ultima DIはカスタム・モデルでブースト・スイッチが増設され、ブースト量もツマミで調節できるようになっている。バンド内のアンサンブルで指弾きとストロークとの音量差を小さくするための機能だ。

蘖のピエゾ信号がPure PreampをとおりUltima DIをとおってPAへと送られ、obana microfoneの信号とミックスしてサウンドを作る。この組み合わせにより、“ライン(ピエゾ)の音が凄く自然になった”とのこと。

『呪文』折坂悠太

Track List

  1. スペル
  2. 夜香木(やこうぼく)
  3. 人人(ひとひと)
  4. 凪(なぎ)
  5. 信濃路(しなのじ)
  6. 努努(ゆめゆめ)
  7. 正気(しょうき)
  8. 無言(むごん)
  9. ハチス

ORISAKAYUTA/ORSK-021(通常盤)/2024年6月26日リリース

折坂悠太「呪文ツアー」

総合問い合わせ先:SMASH(https://smash-jpn.com /03-3444-6751
折坂悠太公式HP:https://orisakayuta.jp/

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細は公式HPでご確認下さい。

FUJII GUITARS

Kentucky/KM-276

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