トニーニョ・オルタ、まもなく来日!名盤とともにたどる、ミナス派巨匠の軌跡

文:石沢功治 写真:Vitor Maciel、Moto Uehara

トニーニョ・オルタの軌跡

ブラジルのミナスジェライス州からはシンガー・ソングライターのミルトン・ナシメントを中心とする才能に溢れた多くのミュージシャンが輩出された。いわゆる“ミナス派”と呼ばれるその中でも、特に重要な存在が本国ブラジルのギタリストはもとよりパット・メセニーやカート・ローゼンウィンケルなど、多くに影響を与えたトニーニョ・オルタだ。

トニーニョ・オルタ(撮影:VITOR MACIEL)
トニーニョ・オルタ(撮影:VITOR MACIEL)

1948年12月2日生まれのトニーニョは、10歳でアコースティック・ギターを手にすると、19歳の時にブラジルのSNACというメーカーのエレクトリック・ギターも入手して弾き始める。その間には恩師的存在のシキート・ブラガをはじめ、バーデン・パウエルやジョルジュ・ベンなど自国のギタリストから影響を受けると同時に、バーニー・ケッセルやウェス・モンゴメリー、タル・ファーロウなどアメリカのジャズ・ギタリストも愛聴して自身のプレイ・スタイルに取り入れていく。

間もなくミルトン・ナシメント&ロー・ボルジェスが1972年にリリースした『Clube da Esquina』(1971年録音)に22歳にして起用されて一躍注目を集める。そして、初リーダー作『Terra dos Pássaros』(1979年録音)を1980年にリリースすると、初作ながらも高い完成度でその才能を見せつけた。

さらに続く1980年リリースの『Toninho Horta』ではメセニーが参加。両者の卓越したギター・ソロも相まって大きな話題となり、トニーニョの名はブラジル以外にも広く知れ渡った。

以降もアルバムを精力的に送り込んで行くが、中でも全編アコースティック・ギター弾き語りによる1993年の『Durango Kid』は、超絶なバッキングを展開しながら“よくこれで歌えるな”と驚かされる。同作は大好評を得て1995年に『Durango Kid 2』もリリースされた。

他方で、ゲイリー・ピーコック(b)とビリー・ヒギンズ(d)を迎えて1993年に発表した『Once I Love』ではトニーニョ流のジャズ・ギター・トリオを堪能できる。ほかにもアントニオ・カルロス・ジョビンにトリビュートした1998年発表の『From Ton to Tom』などなど、いずれもクオリティの高い作品が軒を並べている。

卓越したギター・ソロは言うにおよばず、爪をカットした右手の指弾きは実にウォームなトーン、音量を自在にコントロールする繊細なタッチ、大きな手を生かしたボイシングによる独特のハーモニー・アプローチ、さらには稀代のダイナミックなリズム・センスなどで、前述したように後進のギタリストに大きな影響を与え続けている。

まもなく約7年ぶりの来日公演!!

そんなトニーニョの来日公演が迫ってきた。彼による来日公演は、2019年以来、約7年ぶりである。

まずは、2026年9月26日(土)、東京・北とぴあ さくらホールにて開催される“Jazz In Hokutopia Vol.4”の2日目に出演予定。本公演では、ソロ・パフォーマンスに加え、“トニーニョ・オルタ・ジャパン・ジャズ・コレクティブ”と題したステージにて、サックス・プレイヤーの馬場智章やギターのアキラ・イシグロらと共演を予定。さらに、“トニーニョ・オルタ・ジャパン・ブラジル・コレクティブ”と題したステージでは、ベースの織原良次やギターの小畑和彦らと共演。どちらも見逃せないパフォーマンスとなるだろう。

また2026年9月27日(日)には、東京・武蔵野文化会館小ホールにて“トニーニョ・オルタ ソロ・ライブ”、2026年9月30日(水)には静岡・Life Time Jazz Clubにて“トニーニョ・オルタ・ソロ”を開催。今回の来日の直前には、グレート・アメリカン・ソングブックへのオマージュ作で、自身のキャリア初となる全編英語詞で弾き語る『Standards & Stories』の日本盤がリリースされるということで、独演のステージへの期待も高まる。

2026年9月29日(火)のビルボードライブ大阪公演には、小野リサがゲストとして登場。本公演では、両者のコラボを楽しむことができるだろう。

今回の来日では、ナイロン弦ギターは越前良平氏が製作したEchizen Guitarsのモデル、エレクトリック・ギターはジャズ・ギター専門店“渋谷ウォーキン”の西村真樹氏が立ち上げたブランド、ウェストヴィルのArubaを使用予定。名人トニーニョからくり出される2本のギター・サウンドも楽しみだ。

トニーニョ・オルタ

公演情報

Jazz in Hokutopia Vol.4  ※残席わずか

◎スケジュール

  • 2026年9月25日(金)/東京・北とぴあ(さくらホール)
      開場18:00/開演18:30
  • 2026年9月26日(土)/東京・北とぴあ(さくらホール)
      開場14:30/開演15:00
      ※トニーニョ・オルタはイベント2日目(9/26)のみに出演

◎チケット

  • 一般:5,000円
  • 北区民:4,500円
  • U-22:3,500円(※当日の身分証明書提示が必要)
    ※全席指定
    ※未就学児の入場は不可

◎関連リンク

   https://kitabunka.or.jp/event/24496/

トニーニョ・オルタ ソロ・ライブ ※SOLD OUT

◎スケジュール

  • 2026年9月27日(日)/東京・武蔵野市民文化会館 小ホール
      開場13:30/開演14:00

◎チケット

  • 一般:4,200円
  • 友の会:4,000円

◎関連リンク

   https://www.musashino.or.jp/bunka/1002092/1009643.html

トニーニョ・オルタ with guest 小野リサ ※SOLD OUT

◎スケジュール

  • 2026年9月29日(火)/大阪・Billboard Live OSAKA
      1st 開場16:30/開演17:30
      2nd 開場19:30/開演20:30

◎チケット

  • BOXシート:21,300円(ペア販売)
  • S指定席:10,100円
  • R指定席:9,000円
  • カジュアルシート:8,500円(1ドリンク付)

◎関連リンク

   https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-21470

◎スケジュール

  • 2026年9月30日(水)/静岡・Life Time Jazz Club
      開場19:00/開演19:30

◎チケット

  • 前売:8,000円
  • 当日:8,500円

◎関連リンク

   https://www.lifetime-shizuoka.com/event-details/toninyo-oruta

◎トニーニョ・オルタ来日公演に関する総合問い合わせ

  内藤プランニング:070-3820-7222
  ※空席等の最新情報は各会場にお問い合わせください

Toninho Horta『Standards & Stories』

Toninho Horta『Standards & Stories』

Track List

  1. When I Fall in Love
  2. What a Wonderful World
  3. Change Partners
  4. Alice in Wonderland
  5. I Love You
  6. Somewhere
  7. Just the Way You Look Tonight
  8. My Romance
  9. Smile
  10. My One and Only Love
  11. The Greatest Love
  12. S’Wonderful

THINK! RECORDS/THCD672/2026年9月23日リリース

石沢 功治(いしざわ・こうじ)

伝統的なジャズから最先端のコンテンポラリー系まで、オールラウンドに執筆活動を展開。特に、世界的プレイヤーの細かなニュアンスを言語化する「演奏分析」と、緻密な「コピー譜作成」の精度は群を抜く。長年『ギター・マガジン』などの執筆や取材で培った確かな審美眼と専門知識を武器に、音楽の深淵を解き明かす。

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