ドノヴァンの60年代名盤が一挙紙ジャケ再発!祝!デビュー60周年&生誕80年

イギリスのフォーク・シーンで確固たる地位を築き、デビュー60周年&生誕80年を迎えたリビング・レジェンド=ドノヴァン。このたび、1960年代に発表した5枚のオリジナル・アルバムと、幻の来日公演ライブ盤がリマスタリング&紙ジャケで限定発売された。『アコースティック・ギター・マガジン』の視点から、改めて諸作品とドノヴァンという人をふり返る。

文:小川真一 写真提供:ソニーミュージック PR

60年代のドノヴァンとギタリストとしての魅力

スコットランド出身のシンガーソングライターであるドノヴァン。英国フォークの伝統を基盤にサイケデリックの感覚を取り込み、60年代音楽シーンに独自の立ち位置を築いたアーティストだ。アコースティック・ギターを軸に大胆なアレンジを重ね、「メロー・イエロー」や「サンシャイン・スーパーマン」といったヒットを次々に生み出した。

彼のレコーディングには、若き日のジミー・ペイジやジェフ・ベックがスタジオ・ミュージシャンとして参加しており、当時のロンドンのセッション・シーンの空気を伝えている。また、ザ・ビートルズのメンバーとともにインドを訪れたことでも知られ、滞在中にジョン・レノンやポール・マッカートニーにフィンガーピッキング奏法を教えたのがドノヴァンであった。

ドノヴァン

デビュー時のドノヴァンは、“英国のボブ・ディラン”とも呼ばれ、アメリカン・フォーク由来のフラットピック奏法やコード・ストロークを得意としていた。その一方で、英国フォーク・ギターの革新者であるデイヴィ・グレアムのフィンガーピッキングからも多大なる影響を受けている。

こうした背景から、ドノヴァンはオープン・チューニングも自在に使いこなす。開放弦を活かしたドローン的な響きを取り入れた奏法は、やがてインド音楽的な旋律感覚と結びつき、彼ならではのサイケデリックなサウンドへと発展していった。

66年には、インドのシタールとジミー・ペイジのフィードバック・ギターが鳴り響く「サンシャイン・スーパーマン」がヒット。同時にペンタングルのギタリストであるバート・ヤンシュに捧げた「ハウス・オブ・ヤンシュ」なども録音しており、英国フォークの血統が彼に根付いているのがわかる。

弾き語りのギタリストとしても、類まれな才能を持っていた。そのドノヴァンのアコースティック・ギターを堪能できるのが、73年の来日公演の模様を収めた『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』だ。トニー・ゼマイティスが製作したカスタム・ギターを手に、悠然と弾き語る姿は実に印象的である。

紙ジャケ再発されたアルバム6枚をご紹介!

#1『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』

アコギ1本で大会場を魅了した伝説の来日ライブ

アコギ1本で大会場を沸かした伝説の来日公演を収録したライブ盤で、日本のみで発売された。ステージの中央にあぐらをかいて座り、三日月形のサウンドホールを持つギターを抱えて歌う姿は、まるで星の王子様のようだった。繊細な指弾きと、独特の涼やかなボーカルが堪能できる。来日時に撮影されたドキュメンタリー·フィルム『イエロー・スター』のDVDが新たに付属。

ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973
SICX30261〜2/1974年/(CD+DVD)

Track List

Disc1

  1. ハーディー・ガーディー・マン
  2. オンリー・ザ・ブルーズ
  3. 悲しみ
  4. ワーキング・マン
  5. ユア・ブロークン・ハート
  6. ユニヴァーサル・ソルジャー
  7. ディグニティ・オブ・マン
  8. ヘイ・ジップ
  9. ティンカー・テューン
  10. リヴィング・ フォア ・ザ・ ラヴライト
  11. ジョシー
  12. セイリング・ホームワード(『ハメルンの笛吹き』のテーマ)
  13. フェリーマンの娘
  14. ライフ・イズ・ア・メリー・ゴー・ラウンド

Disc 2

  1. ツアー・ドキュメンタリー・フィルム『Yellow Star』DVD

#2『サンシャイン・スーパーマン』

サイケデリックに舵を切った記念的なアルバム

ドノヴァンがサイケデリックに目覚めたのが、66年発表の本作だ。シングル曲の「サンシャイン・スーパーマン」は、全米チャート第1位に輝いた。この曲にはジミー・ペイジが参加しているが、ボリューム・コントロールやフィードバックを使い、サイケデリックな感覚を出している。テープ操作に頼らず、アナログなギター奏法でサイケ感を演出しているところが興味深い。

サンシャイン・スーパーマン
SICP-31845/1966年/(1CD)

Track List

  1. サンシャイン・スーパーマン
  2. 少女リンダの伝説
  3. 3羽のかわせみ
  4. 観覧車
  5. バートのブルース
  6. 魔女の季節
  7. 夢の旅路
  8. 王妃グィナヴィーア
  9. 太った天使
  10. シレスト
  11. サンシャイン・スーパーマン (アンエディテッド・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]
  12. ブリーズ・オブ・パチョリ [ボーナス・トラック]
  13. ロンドン・タウン (デモ・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]

#3『メロー・イエロー』

バート・ヤンシュに捧げた名曲を収録

67年の『メロー・イエロー』では、全体のサウンドがジャズ寄りになった。タイトル曲の録音には、のちにレッド・ツェッペリンを結成するジョン・ポール・ジョーンズが参加。また、ポール・マッカートニーもコーラスで参加しているとも言われる。収録曲の「ハウス・オブ・ヤンシュ」は、ドノヴァン自身が影響を受けたペンタングルのギタリスト、バート・ヤンシュに捧げられた曲だ。

メロー・イエロー
SICP-31846/1967年/(1CD) 

Track List

  1. メロー・イエロー
  2. ライター・イン・ザ・サン
  3. 砂と泡
  4. オブザヴェーション
  5. ブリック・シティ・ウーマン
  6. ハウス・オブ・ヤンシュ
  7. ヤング・ガール・ブルース
  8. ミュージアム
  9. ハムステッド・インシデント
  10. サニー・サウス・ケンジントン
  11. ミュージアム (オルタネイト・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]
  12. エピスル・トゥ・ディビー [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
  13. 恋ってね。 [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
  14. 霧のマウンテン [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]

#4『ドノヴァンの贈り物/夢の花園より』

メルヘン的な要素を持ったコンセプト・アルバム

もともと2枚組として制作された作品だが、レコード会社の意向もあり別々のアルバムとしてリリースされた。それぞれのアルバムにコンセプトが設けられていて、2枚合わせて聴いたほうが、ドノヴァンの制作意図がより明確に伝わってくる。彼のアコースティック・ギターが冴え渡っていて、ケルト的な雰囲気を持つ曲も多い。まさにドノヴァンならではの世界だ。

ドノヴァンの贈り物/夢の花園より
SICP-31847〜8/1968年/(2CD)

Track List

Disc1

  1. 天国の愛につつまれて
  2. ジョンは逃げて行く
  3. スキップ・ア・ロング・サム
  4. おひさま
  5. あの日あの時
  6. オー・ゴーシュ
  7. コーデュロイを着た男の子
  8. 緑の木陰で
  9. 夢の世界へ
  10. 誰かが歌っている

Disc2

  1. 自然主義者の妻の歌
  2. 魅惑のジプシー
  3. 幻想の中へ
  4. アイレー島
  5. マンドリン弾きの秘密
  6. レイ・オブ・ザ・ラスト・ティンカー
  7. いかけ屋とカニの話
  8. ショールの未亡人
  9. 春の子守歌
  10. かささぎ
  11. スターフィッシュ・オン・ザ・トースト
  12. デロルへの書簡

#5『ハーディー・ガーディー・マン』

名曲「ラレーニア」がボーナス・トラックで収録

全英4位となったヒット曲「ハーディー・ガーディー・マン」を収録したアルバム。正式なクレジットはないが、ジミー・ペイジやバート・ヤンシュがゲスト参加したと言われている。ボーナス・トラックとして「ラレーニア」が追加収録されている点にも注目。加藤和彦やザ・タイガーズの岸部四郎がカバーしたことで知られる名曲で、ドノヴァンの震えるような歌声が心を打つ。

ハーディー・ガーディー・マン
SICP-31849/1968年/(1CD) 

Track List

  1. ハーディー・ガーディー・マン
  2. はやぶさ
  3. 内気な娘と遊んだ話
  4. ふり返ってみれば
  5. しっかりおしよ
  6. 待たせてごめんね
  7. ウェスト・インディアン・レディ
  8. ジェニファー・ジュニパー
  9. リヴァー・ソング
  10. タンジール
  11. サニー・デイ
  12. 太陽は魔術師
  13. 冬のカフェで
  14. ラレーニア [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
  15. ティーン・エンジェル [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
  16. プア・カウ [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
  17. ムーン・イン・カプリコーン [ボーナス・トラック]
  18. ザ・フェリーマンズ・ドーター [ボーナス・トラック]

#6『バラバジャガ』

ドノヴァンとジェフ・ベックが共演した69年作品

ドノヴァンとジェフ・ベック・グループが共演したアルバム。1曲目の「バラバジャガ」の硬質なサウンドは、いかにもジェフ・ベックらしい。ロン・ウッド、ニッキー・ホプキンス、トニー・ニューマンら、グループ全員が参加している。もう1曲の「トゥルーディ」でもベックのグループが加わっているが、こちらはトラフィックを思わせる骨太のロックンロールに仕上がっている。

バラバジャガ
SICP-31850/1969年/ (1CD)

Track List

  1. バラバジャガ
  2. ぼくのスーパーガール
  3. あの娘はどこに
  4. ハピネス・ランズ
  5. ぼくの好きなシャツ
  6. ラヴ・ソング
  7. 西海岸で待つスーザンに
  8. 幻のアトランティス
  9. トゥルーディ
  10. パメラ・ジョー
  11. ぼくのスーパーガール (オルタネイト・ヴァージョン)
  12. 葦の茂る川で [ボーナス・トラック]
  13. 旅する人々 [ボーナス・トラック]

ここがポイント!

アコースティック・ギター・マガジン2026年6月号 Vol.108

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