60年代のドノヴァンとギタリストとしての魅力
スコットランド出身のシンガーソングライターであるドノヴァン。英国フォークの伝統を基盤にサイケデリックの感覚を取り込み、60年代音楽シーンに独自の立ち位置を築いたアーティストだ。アコースティック・ギターを軸に大胆なアレンジを重ね、「メロー・イエロー」や「サンシャイン・スーパーマン」といったヒットを次々に生み出した。
彼のレコーディングには、若き日のジミー・ペイジやジェフ・ベックがスタジオ・ミュージシャンとして参加しており、当時のロンドンのセッション・シーンの空気を伝えている。また、ザ・ビートルズのメンバーとともにインドを訪れたことでも知られ、滞在中にジョン・レノンやポール・マッカートニーにフィンガーピッキング奏法を教えたのがドノヴァンであった。

デビュー時のドノヴァンは、“英国のボブ・ディラン”とも呼ばれ、アメリカン・フォーク由来のフラットピック奏法やコード・ストロークを得意としていた。その一方で、英国フォーク・ギターの革新者であるデイヴィ・グレアムのフィンガーピッキングからも多大なる影響を受けている。
こうした背景から、ドノヴァンはオープン・チューニングも自在に使いこなす。開放弦を活かしたドローン的な響きを取り入れた奏法は、やがてインド音楽的な旋律感覚と結びつき、彼ならではのサイケデリックなサウンドへと発展していった。
66年には、インドのシタールとジミー・ペイジのフィードバック・ギターが鳴り響く「サンシャイン・スーパーマン」がヒット。同時にペンタングルのギタリストであるバート・ヤンシュに捧げた「ハウス・オブ・ヤンシュ」なども録音しており、英国フォークの血統が彼に根付いているのがわかる。
弾き語りのギタリストとしても、類まれな才能を持っていた。そのドノヴァンのアコースティック・ギターを堪能できるのが、73年の来日公演の模様を収めた『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』だ。トニー・ゼマイティスが製作したカスタム・ギターを手に、悠然と弾き語る姿は実に印象的である。
紙ジャケ再発されたアルバム6枚をご紹介!
#1『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』
アコギ1本で大会場を魅了した伝説の来日ライブ
アコギ1本で大会場を沸かした伝説の来日公演を収録したライブ盤で、日本のみで発売された。ステージの中央にあぐらをかいて座り、三日月形のサウンドホールを持つギターを抱えて歌う姿は、まるで星の王子様のようだった。繊細な指弾きと、独特の涼やかなボーカルが堪能できる。来日時に撮影されたドキュメンタリー·フィルム『イエロー・スター』のDVDが新たに付属。

Track List
Disc1
- ハーディー・ガーディー・マン
- オンリー・ザ・ブルーズ
- 悲しみ
- ワーキング・マン
- ユア・ブロークン・ハート
- ユニヴァーサル・ソルジャー
- ディグニティ・オブ・マン
- ヘイ・ジップ
- ティンカー・テューン
- リヴィング・ フォア ・ザ・ ラヴライト
- ジョシー
- セイリング・ホームワード(『ハメルンの笛吹き』のテーマ)
- フェリーマンの娘
- ライフ・イズ・ア・メリー・ゴー・ラウンド
Disc 2
- ツアー・ドキュメンタリー・フィルム『Yellow Star』DVD
#2『サンシャイン・スーパーマン』
サイケデリックに舵を切った記念的なアルバム
ドノヴァンがサイケデリックに目覚めたのが、66年発表の本作だ。シングル曲の「サンシャイン・スーパーマン」は、全米チャート第1位に輝いた。この曲にはジミー・ペイジが参加しているが、ボリューム・コントロールやフィードバックを使い、サイケデリックな感覚を出している。テープ操作に頼らず、アナログなギター奏法でサイケ感を演出しているところが興味深い。

Track List
- サンシャイン・スーパーマン
- 少女リンダの伝説
- 3羽のかわせみ
- 観覧車
- バートのブルース
- 魔女の季節
- 夢の旅路
- 王妃グィナヴィーア
- 太った天使
- シレスト
- サンシャイン・スーパーマン (アンエディテッド・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]
- ブリーズ・オブ・パチョリ [ボーナス・トラック]
- ロンドン・タウン (デモ・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]
#3『メロー・イエロー』
バート・ヤンシュに捧げた名曲を収録
67年の『メロー・イエロー』では、全体のサウンドがジャズ寄りになった。タイトル曲の録音には、のちにレッド・ツェッペリンを結成するジョン・ポール・ジョーンズが参加。また、ポール・マッカートニーもコーラスで参加しているとも言われる。収録曲の「ハウス・オブ・ヤンシュ」は、ドノヴァン自身が影響を受けたペンタングルのギタリスト、バート・ヤンシュに捧げられた曲だ。

Track List
- メロー・イエロー
- ライター・イン・ザ・サン
- 砂と泡
- オブザヴェーション
- ブリック・シティ・ウーマン
- ハウス・オブ・ヤンシュ
- ヤング・ガール・ブルース
- ミュージアム
- ハムステッド・インシデント
- サニー・サウス・ケンジントン
- ミュージアム (オルタネイト・ヴァージョン) [ボーナス・トラック]
- エピスル・トゥ・ディビー [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
- 恋ってね。 [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
- 霧のマウンテン [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
#4『ドノヴァンの贈り物/夢の花園より』
メルヘン的な要素を持ったコンセプト・アルバム
もともと2枚組として制作された作品だが、レコード会社の意向もあり別々のアルバムとしてリリースされた。それぞれのアルバムにコンセプトが設けられていて、2枚合わせて聴いたほうが、ドノヴァンの制作意図がより明確に伝わってくる。彼のアコースティック・ギターが冴え渡っていて、ケルト的な雰囲気を持つ曲も多い。まさにドノヴァンならではの世界だ。

Track List
Disc1
- 天国の愛につつまれて
- ジョンは逃げて行く
- スキップ・ア・ロング・サム
- おひさま
- あの日あの時
- オー・ゴーシュ
- コーデュロイを着た男の子
- 緑の木陰で
- 夢の世界へ
- 誰かが歌っている
Disc2
- 自然主義者の妻の歌
- 魅惑のジプシー
- 幻想の中へ
- アイレー島
- マンドリン弾きの秘密
- レイ・オブ・ザ・ラスト・ティンカー
- いかけ屋とカニの話
- ショールの未亡人
- 春の子守歌
- かささぎ
- スターフィッシュ・オン・ザ・トースト
- デロルへの書簡
#5『ハーディー・ガーディー・マン』
名曲「ラレーニア」がボーナス・トラックで収録
全英4位となったヒット曲「ハーディー・ガーディー・マン」を収録したアルバム。正式なクレジットはないが、ジミー・ペイジやバート・ヤンシュがゲスト参加したと言われている。ボーナス・トラックとして「ラレーニア」が追加収録されている点にも注目。加藤和彦やザ・タイガーズの岸部四郎がカバーしたことで知られる名曲で、ドノヴァンの震えるような歌声が心を打つ。

Track List
- ハーディー・ガーディー・マン
- はやぶさ
- 内気な娘と遊んだ話
- ふり返ってみれば
- しっかりおしよ
- 待たせてごめんね
- ウェスト・インディアン・レディ
- ジェニファー・ジュニパー
- リヴァー・ソング
- タンジール
- サニー・デイ
- 太陽は魔術師
- 冬のカフェで
- ラレーニア [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
- ティーン・エンジェル [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
- プア・カウ [※アルバム未収録シングル曲] [ボーナス・トラック]
- ムーン・イン・カプリコーン [ボーナス・トラック]
- ザ・フェリーマンズ・ドーター [ボーナス・トラック]
#6『バラバジャガ』
ドノヴァンとジェフ・ベックが共演した69年作品
ドノヴァンとジェフ・ベック・グループが共演したアルバム。1曲目の「バラバジャガ」の硬質なサウンドは、いかにもジェフ・ベックらしい。ロン・ウッド、ニッキー・ホプキンス、トニー・ニューマンら、グループ全員が参加している。もう1曲の「トゥルーディ」でもベックのグループが加わっているが、こちらはトラフィックを思わせる骨太のロックンロールに仕上がっている。

Track List
- バラバジャガ
- ぼくのスーパーガール
- あの娘はどこに
- ハピネス・ランズ
- ぼくの好きなシャツ
- ラヴ・ソング
- 西海岸で待つスーザンに
- 幻のアトランティス
- トゥルーディ
- パメラ・ジョー
- ぼくのスーパーガール (オルタネイト・ヴァージョン)
- 葦の茂る川で [ボーナス・トラック]
- 旅する人々 [ボーナス・トラック]
ここがポイント!
- オリジナルUS盤LPを再現した紙ジャケット仕様 ※『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』と『ドノヴァンの贈り物/夢の花園より』は日本盤LPを再現
- 日本盤で初の紙ジャケ化
- 日本盤LP帯(CBS・ソニー帯)の復刻
- 高品質Blu-spec CD2
- 新規書き下ろしライナーノーツ
- 2026年最新リマスタリング ※『ライヴ・イン・ジャパン:スプリング・ツアー・1973』は2023年最新リマスタリング
- 完全生産限定盤








