マンドリンの魅力を語らせたら、日本トップクラスと評されている木曽誠さん(ドルフィンギターズ 大阪店スタッフ)の解説が好評の本連載。今回、取り上げるアルバムは、デヴィッド・グリスマンとマーティン・テイラーによる『トーン・ポエムスII』だ。
楽曲データ
アーテスト:デヴィッド・グリスマン、マーティン・テイラー
収録アルバム:『トーン・ポエムスII』
名曲解説
デヴィッド・グリスマンとマーティン・テイラーのデュオは蜜月の関係と言えます。“TONE POEMS”シリーズは3部作構成で、ボリューム1はブルーグラス、2はジャズ、そして3はハワイアンとなっており、今回ご紹介する『トーン・ポエムスII』(1995年)は、シリーズの中でも一番聴きやすい内容となっております(と個人的に思います)。
これを聴いて、“意外とマンドリンとギターって相性が凄く良いのだな”、と思ったリスナーは多いはず。そして“マンドリンってブルーグラス以外でも堂々と弾いて良いのか!”と我々マンドリン人類に大きな“気づき”を与えてくれた素晴らしいアルバムでもあります。
超一流ミュージシャンが超一流の極上ビンテージを用いてレコーディングをする……のちの『ヴィンテージ・ボイス』(1999年/坂庭省悟、小松原俊ほか)や『マスターピース・ギターズ』(2002年/マーティン・テイラー、スティーヴ・ハウ)は、このアルバムのオマージュだと思われます。
「Jeepers Creepers」の人懐っこさや「Over The Rainbow」のトレモロの美しさなど、マンドリンの潜在能力を最大限にまで引き出してくれるグリスマン御大のマンドリン愛を感じる演奏が堪能できる内容。なお、このシリーズは使用楽器をすべてを網羅した豪華ブックレットが付属しているところも嬉しいデティールと言えます。
アルバムを聴きながらブックレットを眺めビンテージ・マンドリンへの想いを巡らす……これぞ至福の時。マンドリン愛を感じさせてくれるグリスマン御大の演奏、 もはや神の領域です!
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選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)