マンドリンの魅力を語らせたら、日本トップクラスと評されている木曽誠さん(ドルフィンギターズ 大阪店スタッフ)の解説が好評の本連載。今回、取り上げるアルバムは、ザ・ローリング・ストーンズの『Let It Bleed』だ。
楽曲データ
アーテスト:ザ・ローリング・ストーンズ
収録アルバム:『Let It Bleed』
マンドリン使用曲:「Love in Vain」
名曲解説
ブライアン・ジョーンズ在籍中のザ・ローリング・ストーンズのラストを飾るアルバム『Let It Bleed』。発表は1969年、それまでアメリカで流行していたブリティッシュ・ビートが本格的な衰退を迎え(厳密に言うともっと前からですが)、多くのイギリス産バンドやミュージシャンが、他ジャンルへ方向転換に向かい出す年とも言えます。
このアルバムもそんな内容で、積極的に外部ミュージシャンを起用したことによる、大所帯アンサンブルが生み出す“ノリ”や“一体感”、そして前作の『Beggars Banquet』(1968年)の流れもあるのか、アメリカン・ルーツ・ミュージックのオマージュやスワンプ・ロックへの転換期を感じさせるサウンドとなっています。
2曲目の「Love in Vain」には、マンドリンがフィーチャーされており、演奏は、ゲスト・ミュージシャンのライ・クーダー。ミックのねっとりとしたボーカル、ライ・クーダーの泥臭いトレモロ、ロバート・ジョンソンのオリジナル・バージョンのテイストを残しながら、絶妙なアレンジがなされています。
アタックの強いピッキングを聴くとライ・クーダーは、やはりブルース・マンドリンの大御所ヤンク・レイチェルにかなりの影響を受けているのか? こうして聴いてみると、“ブルースにマンドリンは良く似合うな”という新たな発見もあります。
それ以外にも、「Gimme Shelter」のイントロの抜群の格好良さや「You Can’t Always Get What You Want」の壮大な世界観、聴きどころてんこ盛りな、1960年代ラストを飾る不朽の名作。
動画連動のフラット・マンドリン入門書の紹介
フラット・マンドリンの入門書『はじめてのフラット・マンドリン~ブルーグラスからポップスまでを彩る魔法の楽器の鳴らし方』(税込み価格2,640円 )が、弊社より発売中!
本書は、はじめてフラット・マンドリンを手にする入門者に向けての教則本だ。しかも、動画連動なので、文字や写真ではわかりづらいところまで、しっかり学べるのが特徴。アコースティック・ギター・マガジン編集部が、自信を持って世に送り出した1冊なので、ぜひチェックしてもらいたい。
選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)