アコースティック・ギターが上手くなりたい人のための“アコギ上達100の裏ワザ”。すべてのアコギ弾きに役立つヒントを紹介!
文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
※本記事は『アコギ上達100の裏ワザ』(小社刊)の内容を転載したものです。
素晴らしい音楽だと相手に伝えるためには
➡“体裁を整えること”が大切だと知れ!
美味しい料理が食べられても、店員の態度が悪い店は嫌ですよね? 素晴らしい作品を通販で買っても、梱包が悪いと少しガッカリします。これらと同じように、良い音楽を作れても、上手く発表 or 納品しないとダメです。
“ギターさえ上手けりゃ文句ないだろう”って? 答えはNOです。プロは腕前が良いのが当たり前であり、そこに“打ち合わせ”、“時間厳守”、“まとめ方”、“納品方法”、“人格”、“礼儀”など、仕事上で必要なノウハウが加わってくるのです。
例えば、いくら演奏が素晴らしくても、態度の悪い人だったらライブ・ハウスには再び出演できなくなってしまいます。来てくれる友人もお客さんも減ってしまうでしょう。挨拶がしっかりできて、遅刻も極力なくすといった、人間として当たり前なことが、“楽曲のエンディングでちゃんと音を止めることができる”、“喋りでお客さんを集中させることができる”といったことにつながってきます。
素晴らしい絵画にはそれなりの額縁が似合うように、音楽という目に見えない作品でも、それを表明する“空気感”にあなたの気持ちが表われるものなのです。
また、最近はインターネット・ラジオというものがあり、中には生演奏を配信している人も多くいますが、それらを聴いていて残念に思うのは、プレイがどうのこうのではなく、楽曲を紹介するのが上手ではないこと。
“楽曲を弾き始めるときは、少しの間を置いてからスタートする”、“エンディングでは音をバシッと止め、また間を置いてから喋り始める”などの基本ができていない人が多いのです。適当にダラーンと弾いてすぐに喋り始めてしまう、曲の途中で喋り出してしまう……これでは、その楽曲のありがたみがなくなってしまいます。“ジャーン”の“ン”が足りないのですね。
ちゃんと楽曲が紹介されると、同じ演奏でも楽曲の存在を聴き手にしっかりと伝えることができます。楽曲は弾く前も、弾き終わってからも、“これが自分の1つの作品です”という姿勢を持つようにしましょう。
納品についても同じことが言えます。仕事で音楽を作り、それをオファー先に提出することを納品と言いますが、その際、ファイル形式はMP3かAIFFかWAVか、それらの最初と最後には数秒の無音を入れておいた方がいいのか、メール添付で送っていいのか、ダウンローダーを使用した方がいいのか、それともCD-Rを宅配便で送るか……などなど、いろいろな事柄を事前に相手先に確認しなければなりません。
そういったことは一見、作品には関係ないようですが、実は相手に対する思いやりであり、作品にも影響してくるものなのです。