マンドリンを弾いてみよう!『あなたの知らないアコースティック弦楽器の世界』第3回 by 高田漣

 マルチ弦楽器奏者の高田漣を講師に招き、マンドリン、バンジョー、ウクレレ、ラップ・スティールといったギター以外の弦楽器を学んでいくこの連載。今回は、マンドリンが主題です。マンドリンはバイオリンと同様、4弦(コース)からG-D-A-Eというチューニングが基本となります。それでは早速チューニングを合わせて、マンドリンを弾いてみましょう。そんな楽器持っていないよ!という人は、ハードオフのジャンクコーナーによく転がっているので、ぜひ探してみてください。

第3回:マンドリンを弾いてみよう!

 米国音楽界とも近しい名匠マーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』は、数多いイタリアン・マフィア映画の中でもニューヨークを舞台にマフィアの一兵卒たちの壮絶な日常を淡々と描いた実話ベースの屈指の名作です。

 なぜ冒頭からこのような脱線が始まったかというと、前々号(Vol.87号)にも書いたようにマンドリンはイタリアを起源とする弦楽器であるからです。マンドリン族はマンドリン以外にマンドーラやマンドセロら構成員を従えたマンドリン・オーケストラという一大勢力を誇った名家でありましたが、多くのイタリア系移民と同じく新天地アメリカで新しい生活様式を模索したに違いありません。 

 マンドリンはバイオリンと同じく低いほうからGDAEの五度調弦で、本来はギターのようなコード弾きよりも単音でのパッセージで効果を発揮します。

基本チューニングは、向かって左側の4弦からG-D-A-Eと並ぶ。
高田漣所有のマンドリン。1937年製のギブソンA-50。

 マンドリン族の最も印象的な奏法のひとつがトレモロ奏法です。これはバイオリン族のボウイング(弓奏)の持続音に似たものですが、独特な哀愁に満ちた響きがあります。譜例(Ex-1)のような単なるメジャー・スケールをトレモロするだけでもイタリア系移民たちの悲哀の声が聴こえてきそうです。

Ex-1

 同じくマフィア映画の傑作『ゴットファーザー』のテーマ曲や大作曲家N・ロータのF・フェリーニ作品の数々の映画音楽もマンドリンで弾くと塩気たっぷりの情緒感で泣けてきます。ロック世代にはザ・バンドの解散ライブ映画『ラスト・ワルツ』のテーマ曲も印象的でしょうが、こちらも監督は言わずもがな名匠スコセッシでありましたね。

 それではYouTube連動動画をお楽しみください。

続きはアコースティック・ギター・マガジン2021年9月号、Vol.89をご覧ください!

アコースティック・ギター・マガジン 2021年9月号 Vol.89

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高田漣

たかだ・れん 1973年生まれ。2002年、アルバム『LULLABY』でソロ・デビュー。現在まで7枚のオリジナル・アルバムをリリース。自身のの活動と並行して、他アーティストのアレンジ及びプロデュース、映画、ドラマ、舞台、CM音楽を多数担当。ギターだけでなく、ペダル・スティール、ウクレレ、マンドリンとさまざまな弦楽器を操る。父はフォーク・シンガーの高田渡。

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