ブラジルの音楽と言えばボサノヴァですが、ボサノヴァはサンバからの派生ミュージックというのはご存知でしょうか? またボサノヴァとサンバは厳密にはリズムの捉え方が異なります。
逆に、その微妙な違いを理解すれば、ブラジル音楽の本質にぐっと近づけるはず。ブラジルで音楽学校のギター講師も勤めていたというマルセロ木村が、ブラジリアン・ギターの基本となる右手の使い方を徹底レクチャー。
ブラジル音楽の成り立ち
ブラジルにおいて音楽とは、自国の芸術と文化を表現する最も重要なもののひとつです。ブラジル音楽は国内外で楽しまれ尊重されていますし、ブラジルの文化の多様性も反映しています。実際、音楽的にも新しい風潮が生まれ、リズムも変化していますが、それでもブラジル特有の音楽的な創造性は常に保たれています。
ブラジル音楽はアフリカやヨーロッパの人々の影響を強く受けました。長い歴史の中で、原住民やアフリカ、ヨーロッパの音が融合し、これらの要素が混ざりあって、近代ブラジル音楽に影響を与えたのです。それぞれのルーツが独自の楽器、踊りとリズムによってブラジル音楽に爪痕を残しています。
ブラジルの歴史は500年強と比較的浅いのですが、いくつもの異なったリズムが作られました。ブラジル生まれのポピュラー音楽のジャンルと言えば、サンバ、ショーロ、ボサノヴァとブラジル・ポピュラー・ミュージック(MPB)があげられます。
日本人はブラジルのリズムが苦手?
日本人がブラジルのリズムを苦手としているとは思いません。演奏がうまい人たちをたくさん知っていますし、基本パターンもよく理解し、譜面を読む力もあります。しかし、ブラジル音楽のリズムはとても動的で小節単位もしくはメロディの展開によって、リズム・パターンは変化していきます。リズム・パターンと同様にそれぞれのリズムのアクセントも重要な要素です。
まずは各スタイルのリズムのアクセントを理解する必要があります。日本人ミュージシャンがブラジル音楽シーンで活躍するためにも、リズムのアクセントやダイナミズムの理解は役立つはずです。
一番大切なのはグルーヴ、リズムの感じ方
どんなブラジル音楽のスタイルでもパーカッション楽器は重要な存在です。そのため、ブラジル音楽を理解し上手に演奏するためにすべての楽器を(弦楽器、鍵盤や吹奏楽器であっても)パーカッション楽器としてとらえる必要があります。
楽器ごとに異なった手法がありますが、ギターの場合は、右手の使い方がとても重要となります。親指、人差指、中指、薬指の動き方の違い、それぞれの大きさの違いもアクセントをつける際に生かします。今回、ボサノヴァやサンバのリズム習得に必要と思ういくつかの練習を準備しました。
また、特定のリズムのアクセントを理解するには、そのリズムを口ずさむか手拍子で再現することが極めて重要です。とは言え、アクセントを理解するのに、あなたがビートボックスのプロじゃなくても(笑)、パーカショニストである必要もありません。ここでは、常にリズムを口ずさみながら演奏するようにしましょう。
マルセロ木村直伝セミナー
誌面のエクササイズ譜例と合わせてチェックしてみてね!
内容
- Ex-1:サンバの基本リズム
- Ex-2:ボサノヴァの基本リズム
- Ex-3:開放弦を使ったボサノヴァ・パターンA
- Ex-4:開放弦を使ったボサノヴァ・パターンB
- Ex-5:開放弦を使ったサンバ・パターンA
- Ex-6:開放弦を使ったサンバ・パターンB
- Ex-7:ボサノヴァ基本パターン1
- Ex-8:ボサノヴァ基本パターン2
- Ex-9:ボサノヴァ16分パターン
- Ex-10:サンバ16分パターン
- Ex-11:ボサノヴァのアルペジオ・パターン
- Ex-12:サンバのアルペジオ・パターン
- Ex-13:MIXパターン1
- Ex-14:MIXパターン2
詳細はアコースティック・ギター・マガジン2022年12月号、Vol.94をご覧ください。