ドクターキャピタルによる実演動画
まいど! ドクターキャピタルです。
今日は本コラムの5年目スタートになります! リットーミュージックさん、アコースティック・ギター・マガジンさん、読者の皆さまに深く感謝しています。4年間、いろいろとお世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。
ここまではメロディ、ハーモニーやリズムの要素でさまざまな知識、弾き方、練習法や作曲法を、テーマごとで細かく探ってきましたが、今日は特別に全部の要素を取り入れた実際の曲を一緒に弾きましょう。
“勉強したら作曲できる?”、たまに聞かれます。
質問①:“ドクター、名曲を分析していろいろと表現効果の仕組みを覚えていくのは面白い勉強になるけど、その勉強をしたら実際に曲が書けるようになりますか?”。
答え:はい! もちろん音楽の仕組みを勉強すれば作曲できるようになります。
質問②:“音楽理論を覚えてしまったら、フィーリングで弾いたり作曲したりできなくなりますか? やはり数学っぽくて無感情な曲になってしまいますか?”。
答え:いいえ! 音楽理論は感情表現を邪魔するわけではありません。むしろ、いろんな表現の仕組みを勉強したほうが、ご自身の作曲表現が自由で自分らしくなり、より感動的な作品につながることがたくさんあります。
Jumping John
フィーリングで作曲した例として、僕のオリジナル新曲「Jumping John」の話をしましょう。“Jumping John”とは僕が小さい頃、父に名付けられたあだ名です。歌詞の内容は、僕の家族とのとても大切な思い出で、心を込めて歌っています。
とにかく何かの数学を使ったとか、音楽理論で覚えたコツを無感情に使って書いた曲ではなくて、100%フィーリングで作曲しました。音楽理論の知識のおかげでそのフィーリングをもっとも自分らしく表現することができたと思います。
また、勉強のために作った曲ではないのですが、出来上がった曲を改めて見たら、いろんな切り口からさまざまなレベルのギタリストの良い練習と音楽理論の勉強になる要素があります。
スリーフィンガーじゃなくて……フォーフィンガー?
まずは独特なフィンガーピッキング奏法をやってみましょう。
Ex-1a スリーフィンガー奏法/Ex-1b フォーフィンガー奏法
Ex-1aがいわゆるスリーフィンガー奏法の例です。TAB譜のみ使う方でも五線譜を見たらわかりますが、下向きの音符幹と上向きの音符幹があります。下向きの音符幹がベースラインの音で、右手の親指(p)で弾く音です。6弦、5弦と4弦を交互に弾いたり、忙しくてメロディックなベースラインを刻みます。
上向きの音符幹が右手の人差指(i)と中指(m)の演奏を表わしています。親指(p)、人差指(i)と中指(m)の3本指ですから、“スリーフィンガー奏法”と言います。フォークギターのフィンガーピッキングでは定番の弾き方になっています。一度慣れたらとても楽しいし、本当にたくさんの曲が弾けるようになります。
次はEx-1bを弾いてみましょう。音とリズムはEx-1aとまったく一緒です! しかし、音符幹の向きと弾く指を表わす文字が違います。薬指(a)も参加する、フォーフィンガー奏法になっています。親指(p)が6弦と5弦、人差指(i)が4弦、中指(m)が3弦、薬指(a)が2弦を弾きます。
僕はスリーフィンガーも、フォーフィンガーも好きですが、フォーフィンガーを多く使います。テンポを上げても弾きやすく感じるし、アルペジオのバリエーションの可能性が増えるし、ブラジル音楽をたくさん弾いてきた影響もあると思います。
Ex-2が「Jumping John」のフィンガーピッキングパターンの基本です。
Ex-2 「Jumping John」を弾く準備
最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、このパターンが弾けたら、曲の8割以上弾けるはずです! ここで丁寧で正確に弾けるようになっておきましょう。
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続きはアコースティック・ギター・マガジンVol.104本誌にてご覧ください。
第17回の内容
- Jumping John
- スリーフィンガーじゃなくて……フォーフィンガー?
- いよいよ本番!
- 構成:くり返しと発展、変化
- リズムとメロディで“Jumping”?
- 歌詞の表現効果を強めるコードとリズム
- ハッピーエンド
