アコースティック・ギターが上手くなりたい人のための“アコギ上達100の裏ワザ”。すべてのアコギ弾きに役立つヒントを紹介!
文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
※本記事は『アコギ上達100の裏ワザ』(小社刊)の内容を転載したものです。
新鮮に上達するには
➡スポンジになりなさい
人生にも言えることですが、知ったかぶりする人は他人に嫌われますよね。それをギターに置き換えてみると、知ったかぶりする人はギターに嫌われます。これは精神論ですが、物事を習得するにも、音を奏でるにも“素直な心”が重要なのです。
友人が“○○って知ってる?”と聞いてきて、本当は知らないのに“知ってるよぉ〜常識だぜ〜”なんて返事してしまう人は、教則本を見てもCDを聴いても“俺もこういう風に弾いてみたい!”という素直さが出ません。“こんな程度か”と教則本を評価してしまう人もダメです。“なるほど〜”という素直さを持ちましょう。
初心者は、買ってきたばかりのスポンジですから吸収力はあります。しかし、中級者は水をたくさん吸ったスポンジです。1回、絞って吸収し直すつもりにならないと、なかなか上達のスピードは上がらないのです。
例えば、“ハカランダは良い”と知っていても、初めてのギターを触るときには、木材のことなんか気にしないようにしてください。そうすれば、ベニヤのギターでも鳴ってくれることがあるのです。これが本当の“弘法筆を選ばず”です。
また、素直さということで言えば、音楽に対する好き嫌いはハッキリしていてもいいかもしれません。むしろ“この音は嫌い”という意見があるほうが、素直ですよね。“これは好き”、“これは嫌い”と断定しているということは、自分の目指すスタイル(音色や奏法を含む全般)に対して、理想が浮かんでいるということです。
ちなみに僕の場合、好きな音楽ジャンルは多々ありますが、圧倒的に好きなのはカントリーのインストです。しかし、カントリー・ギタリストの中には、好きな人もいれば、そうでもない人もいます。もちろん、ギタリストの人柄ではありませんよ。あくまでもスタイルの話です。“このスタイルは好きじゃない”という気持ちがありつつ、10人とか20人の好きなスタイルのギタリストのプレイを参考にしているうちに、僕のスタイルが出来上がってきたのです。
“あれも好き、これも好き”では目指しどころがボヤけます。好きなスタイルを追求していき、なおかつそれが複数であることが、自分だけの個性につながっていくのです。個性というものは、コントロールして作るものではありません。どこか目指しどころがあって、そこに進んでいく中で少しずつ出来上がっていくのです。“ハートは洗濯、スタイルは選択”です。