ブルーグラス・ギタリストとしてのクラレンス・ホワイト

アコースティック・ギター・マガジンVol.102に掲載された、齊藤ジョニーによる連載『現代ブルーグラスのフラットピッキング革命』から、クラレンス・ホワイトについて綴ったミニ・コラムを抜粋してお届け! ザ・バーズとしての活動以前にブルーグラス・シーンで活躍したクラレンスに注目してみよう。

文=齊藤ジョニー Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
※本記事は、アコースティック・ギター・マガジンVol.102の『現代ブルーグラスのフラットピッキング革命』から一部抜粋・再編集したものです。

カントリー、ロックのフィールドで活躍したクラレンス・ホワイト

クラレンス・ホワイト(1944-1973)は、ドック・ワトソンやトニー・ライスと並び、フラットピッキングの歴史における革命児のひとりである。

60年代初頭にケンタッキー・カーネルズでの活動で頭角を表わした彼は、やがてブルーグラスを飛び越え、カントリー、ロックのフィールドでもセッションマンとして活躍した。

クラレンス・ホワイト
ケンタッキー・カーネルズ時代のクラレンス・ホワイト
Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images

特に正式メンバーとして加入した後期ザ・バーズでの活動は有名で、ストリング・ベンダー搭載のテレキャスターを駆使したプレイは数多くのプレイヤーに影響を与え、カントリー・ロックの発展に大きく寄与した。

そんなロック・ギタリストとしてのビジュアルに隠れがちだが、彼の真骨頂はやはりルーツであるブルーグラスだ。その特徴は、革新的なリズム・アプローチにある。聴いたことのないタイミングでくり出されるGランに、思わずよろけてしまいそうなスカしたベース・ライン。彼のプレイを語る上で欠かせない、天性のスウィング感覚に裏打ちされた“シンコペーション”である。

ともすれば大味で曲芸風味の強かったブルーグラス・ギターに、洗練されたリズムと表現力を加え、現代フラットピッキングの礎を築いたことは、彼の偉大な功績だ。その奥深いリズムをぜひ味わって欲しい。


『現代ブルーグラスのフラットピッキング革命』 by 齊藤ジョニーの第9回は、アコースティック・ギター・マガジン2024年12月号 Vol.102をご覧ください。

アコースティック・ギター・マガジン 2024年12月号 Vol.102

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齊藤ジョニー

さいとう・じょにー ブルーグラス、カントリーをルーツに持ち、バンジョーやマンドリンといった楽器も弾きこなすマルチプレイヤーとしても活躍するシンガーソングライター。現在は平井翔馬とのユニット、よこスクロールズやソロ活動、サポートと多岐に渡って活動中。

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