フラット・マンドリンが買えるお勧めのショップ【三木楽器Acoustic INN】

 大阪と言えば、アコースティック・ミュージックが盛んな街という印象を持っている人が多いだろう。そこに店舗を構える三木楽器Acoustic INNでは、初心者向けから高級機種までのマンドリンを常時15本ほど扱っているという。購入時には、お客さんの趣味嗜好を聞いた上で、お勧めの機種を提示してくれるので、初心者の“最初の1本”を購入する際にも安心できる心強い楽器店だ。また、リペアも行なっているので、いざという時に頼りになるのもポイント。そこで、マンドリンに詳しいスタッフの江尻さんに話を聞いてみた。

三木楽器Acoustic Inn Osaka

インタビュー 江尻吉宏(三木楽器Acoustic INNスタッフ)

今回インタビューを受けてくれた江尻吉宏さん

実際に触ってもらって、感想を聞きつつ、お勧めのマンドリンを決めるようにしています。

●全国的にもフラット・マンドリンを取り扱っているショップは少ないのですが、三木楽器Acoustic iNNには常時何本くらいが置いてあるのですか?

○常時15本くらいは取り揃えていますね。入門モデルとしてエピフォンがあり、その次のレベルとしてロアーのFタイプもあります。あと我々がプッシュしているクイント(Quint)という中国のメーカーのマンドリンも人気ですね。あとは買取も行なっているので、その時々でビンテージのギブソンがあったり、いろいろ変わっていきます。

●近年はどういったユーザーがマンドリンを求めてくる印象がありますか?

○やっぱり、ブルーグラスのプレイヤーが多いですね。あとは、アイリッシュ系の方もいたり。オールドタイムやフォークの方とかも多いですよ。

●初めてマンドリンを買いに来たというお客さんもいるのですか?

○そうですね、やっぱりそういう方もいらっしゃいます。普段はギターを弾いていて、自分の音源の中にちょっと違う楽器の音を入れたいといことで、フラット・マンドリンを見に来たという場合もありますね。

●お店には、古いビンテージだったり、個人製作家の高価なマンドリンも入ってきたりするんですか?

○はい、手工品のマンドリンが入ってくることもあります。つい先日、ロイド・ロアー・レプリカの100周年モデルのF5も入ってきたんですけど、すぐ売れてしまいましたね。日本に入ってきたのは3本と聞いています。カナダのルシアーのマイケル・ヘイデンのF5タイプもすごく良かったですね。

●タイミングが合えばいろいろな高級モデルも試奏することができるということですね。初心者にはどんなマンドリンがオススメです。

○これから始めるという人にとって、価格的に10万円というのがひとつの壁になると思います。ですから、エピフォンやロアーなどを初心者の方には提案しています。また、もともとマンドリンを弾いていたり、初心者だけど良いマンドリンが欲しいというお客さんにはクイントなどをお勧めしたりもします。手工家モデルですが、Aタイプで20万円程度からラインナップがあります。ちょうどその価格帯で安定して供給できるマンドリンって少ないんですよ。このクイントは、もともとノース・フィールド・マンドリンで製作していた方が作っているんですけど、このクオリティでこの価格は大変リーズナブルだと思います。クイントはすでに海外のコアなマンドリン弾きでの評価が高まってきてアメリカやアイルランドなど海外への販売が多いですね。ただ、こちらから、“これがいいですよ”っていうように押しつけることはないんですね。実際に触ってもらって、“こっちのほうの鳴りが素敵ですよね”とか、“こっちのほうが見た目がカッコイイですね”とか、その辺の話をお客さんとしながら相談させてもらっています。

●大阪ではアコースティック・ミュージックが盛んなイメージがありますが、若い人でもマンドリンを使った音楽をやっていたりするんですか?

○相変わらずコテコテのブルースグラスをやっている年配の男性が活気づいている印象はあるんですけど、少なからず、若い世代のプレイヤーもいますよ。例えば、大阪近郊だと神戸大学のブルーグラス系のサークルだったり。あとは、近くではないですけど、名古屋大学、京都大学のサークルの学生さんも来店することがあります。そういうサークルの若い子がお店に出入りしたりすることがあるんですね。あと最近は、インターネットでいろいろな情報が拾えるんで、個人でYouTubeを見てマンドリンに興味を持った人とか。

●なるほど。いろいろなパターンがあるんですね。

○はい。今の時代、サークル的なところに所属していない人でも、ネットが入り口になってマンドリンを始める人もいるようですね。で、マンドリンを取り扱っている店舗があまりないので、当店に来るようです。

ショップのマンドリン・コーナー。バンジョーやドブロ、ペダル・スティールも。

当店ではリペアも行なっています。ですから、初心者でも弾きやすい状態でお渡ししています。

●リペアも行なってもらえるんでしょうか?

○はい、リペアも受け付けています。ある程度の調整は、僕自身ができます。僕ができない範囲は、お付き合いにあるリペア・ショップにお願いしたりして対応してます。ですから、かなり専門的なことまでカバーできますよ。

マンドリンを購入したものの、“どこにリペアを頼んだらいいんだろ?”っていう悩みも初心者にはあるんですよね。オクターブ・チューニングが全然合わせられないみたいな。だから、アフターケアもしてもらえるというのは初心者には心強いですね

○その辺のことも、お任せください。何でも対応できますので。

●ちなみに、マンドリンの周辺機器も置いているんですか?

○マンドリン用品としては、弦やストラップや、交換用のブリッジとかです。あと、ブルーチップ・ピックの取り扱いしてるんですけど、クリス・シーリ・モデルはやっぱり人気があって、よく売れますね。

●ブリッジを置いてるというのは、なかなか聞かないですね。

○そうでしょうね。そのまま買って、すぐ付けれるっていうものでもないですから。トップのアーチに合わせて、フィッティングが必要なので。その辺の技術も必要になってくるので、店頭でお話しながら、楽器をお預かりして調整することが多いですね。

●挫折しないでマンドリンを長く続けるコツを教えてください。

○マンドリンは複弦楽器なので、その分、テンションが強いですよね。ですから、ナットの調整とか、ブリッジの弦高とか、ちゃんと調整しないと弾きにくい楽器になってしまうわけです。その辺のことは、ギターより顕著に出てしまいます。当店では細かく調整してから販売しているんですけど、そうでない場合もあるわけです。そうなると、押さえづらいとか感じてしまいますよね。ですから、まずはしっかりセットアップされているかというチェックをしたほうがいいと思います。

●最後に、マンドリンの魅力をお願いします。

○やっぱり、マンドリンは複弦楽器なので、 ギターとくらべて民族楽器感があると思うんです。さらに、高い音域的で鳴る楽器なので、ほかの楽器のアンサンブルにちょっと入るだけでも存在感がありますよね。そういった点が魅力かと。それらに着目し、マンドリンを手に取ってもらえたら嬉しいです。

お勧めの1本 Quint_QT-F5 w/Pure Mini 

 いくつかのメーカーで楽器製作を学び、North Field Mandolin立ち上げに関わったのち、2016年に独立した中国のマスター・ルシアーQin Ji Duoが製作するQuint Mandolin。本器は同ブランドのフラッグシップ・モデルQT-F5をベースに、ピックアップを内蔵したエレクトリック・マンドリン。生鳴りの良さはそのままに、製作時に仕込んだPure Miniがエアー感ある響きをダイレクトにアウトプットできるのも魅力だ。

Quint_QT-F5 w/Pure Mini

SHOP INFORMATION

〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋2丁目10−2 Crice Nikko 西心斎橋 2F

営業時間/12:00〜20:00(水曜日〜月曜)、定休日/火曜日

お問い合わせ:06-6211-2230

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