まるやまたつやの愛器=ヘッドウェイHOC-NORTHBIRDと空間を鮮やかに彩るペダルボード

ソロ・ギタリストのまるやまたつやが“Tatsuya Maruyama FOCUS ツアー”の東京公演で使用した、ギターとペダルボードを深掘り!

彼自身が監修した愛器=ヘッドウェイのHOC-NORTHBIRDと、多彩な空間系アプローチを可能にするライブ用ペダルボードを見ていこう。

取材・文=角 佳音 撮影=福崎 敬太

Headway/HOC-NORTHBIRD

Headway/HOC-NORTHBIRD(前面)
Headway/HOC-NORTHBIRD(背面)

迫力のあるライブ・サウンドを生み出す小ぶりな愛器

まるやまたつやがライブで使用したのは、自身が監修したヘッドウェイのHOC-NORTHBIRD。000サイズに近い小ぶりなボディには、トップにイングルマンス・プルース、サイド&バックには美しい杢目が印象的なフレイム・マホガニーを採用している。

ボディ・バック
サイド&バック材はフレイム・マホガニー

本モデルは、ヘッドウェイのほかのラインナップと比べて少し低めの弦高設定となっており、“低すぎると鳴らないし、高いと弾きづらく感じるので、ちょうどいいバランスになるように調整してもらっている”とのこと。

またネックについては、“フィンガースタイル向けのギターって指板が広いものが多いんですが、僕は手が小さいので苦手なんです。なので、一般的なギターと同じにしてほしいとお願いしました”と語っており、ナット幅も標準的な43mmを採用している。

ヘッド
ヘッドに描かれているのは、まるやまの出身地である北海道に生息するシマエナガ

ピックアップにはアンフィニ・カスタム・ワークスのコンタクト・ピエゾ“BACNT”が2基と、ディマジオのマグネティック・ピックアップ“DP234 The Black Angel”を搭載。ピエゾとマグネティックの信号をステレオで出力する。

“生音は前にバーンって鳴るような感じじゃないんですが、ピックアップの音はライブ用に少しデフォルメしてもらっている”とのことで、重低音を強調するBACNTによってパームの音がより響くセッティングになっているようだ。

DiMarzio/DP234 The Black Angel
マグネティック・ピックアップはDiMarzio/DP234 The Black Angel

Pedalboard

ペダルボード

①Enfini Custom Works/Dual HA epas ultimate(プリアンプ)
②TC Electronic/POLYTUNE 3 MINI(チューナー)
③MXR/M108SE TEN BAND EQ Limited Ebony(イコライザー)
④strymon/TIMELINE(ディレイ)
⑤TC Electronic/DITTO LOOPER X2(ルーパー)
⑥TC Electronic/Trinity(リバーブ)
⑦TRIAL/Passive Power D.I. ST(DI)
⑧strymon/Ojai(パワーサプライ)

ソロ・ギター・プレイの幅を広げるペダルボード

広がりのある空間系エフェクトをステレオで出力するまるやまのペダルボードは、①〜⑦の番号順に直列でつながれている。

ギターからプリアンプ①にはTRSケーブルで接続されており、TIP側にはピエゾの信号が、RING側にマグネティック・ピックアップの信号がそれぞれ入力される。“ピエゾが主体で、マグネットはそこに輪郭を足す役割”というバランスでブレンド。

Enfini Custom Works/Dual HA epas ultimate
ピエゾ(TIP側)のゲインはほぼフル、マグネティック(RING側)のゲインは9時に設定

ピエゾとマグネティックがミックスされた信号は、ミュートの役割も担うチューナー②、イコライザー③を経由。③はフラットに近いセッティングだが、ゲインを少しだけ上げており、それによって“音圧が増す”と言う。また、会場によっては16kHzのツマミを上げ、“シャリーンとしたサウンド”が出るようにしているそうだ。

続いて、ディレイ④に入ると、ここでステレオ・サウンドに。曲名ごとにバンクが用意してあり、それぞれで細かくプリセットを変えている。「CYAN」ではステレオで鳴るピンポン・ディレイ、「FOCUS」ではシマーのようなエフェクト、ほかにもローファイな質感のディレイやリバースなど、さまざまな音色を使い分けていた。

ルーパー⑤は、オープニングと「Yume」で使用。最新作『FOCUS』ではソロ・ギターが収録された「Yume」だが、今回の公演では2017年作『SOUND TRACK』に収録されたバージョンをイメージして、循環コードのバッキングをループさせながらメロディを紡いだ。

リバーブ⑥ではCH(CHURCH)、E1(Ethereal 1)、TP(TonePrint※TCエレクトロニックが開発した共有可能なエフェクト技術)の3種類を曲によって使い分ける。“CHは、わりとナチュラルで、ホール・リバーブっぽいイメージ。E1は、CHよりも少し深めで、しゅわっとした感じがします。で、TPは「ビューティフル・リバーブ」みたいな名前のリバーブが入っていて、コーラスがかかったような音になります”と語ってくれた。

最後は“僕の調べによると、これが最も軽い”というDI⑦を経由し、PAへとステレオで出力される。“以前使っていたDIはこれよりも500gくらい重かったので、買い替えました”とのこと。

『FOCUS』まるやまたつや

『FOCUS』まるやまたつや

2024年11月29日リリース

Track List

  1. CYAN(album ver.)
  2. PULSE
  3. Daydream(album ver.)
  4. Gleaming(album ver.)
  5. sazanami(album ver.)
  6. tiny bird
  7. City Lights(solo ver.)
  8. FOCUS
  9. Unison(solo ver.)
  10. Yume(solo ver.)
  11. episode
  12. 都会(Bonus Track)

https://distrokid.com/hyperfollow/tatsuyamaruyama/focus

SNSでシェアする

アコースティック・ギター・マガジン

バックナンバー一覧へ