『10』使用ギター一覧
『10』曲目 | 使用ギター |
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「10」 | Greenfield Guitars/G2 |
「にびいろの風」 | Greenfield Guitars/G2 |
「85の夏」 | Gibson/LG-1 |
「Ocean」 | Sakata Guitars/D-28 |
「you / 流星に祈る」 | Okita Guitars/LOM Classic Jomon |
「遠き春」 | M Factory/D |
「こころ」 | OGINO GUITARS/OMF“Lucy” Journey Instruments/OF310 |
「Once upon a time / Storyteller」 | Bourgeois/Blues L-DBO |
「Somewhere」 | Bourgeois/OMC Soloist |
「Something Blue」 | Bourgeois/Blues L-DBO |
「elevation」 | OGINO GUITARS/“Lily” |
「Never Ever」 | Greenfield Guitars/G2 |
「ヒロガルセカイ」 | BENETEAU GUITARS/SJ cutaway |
「Remember」 | Gibson/LG-1 |
「85」 | Okita Guitars/OMOM |
Greenfield Guitars/G2
室内楽的なある種の冷たさと、丸くて温かい音が共存
矢後のメイン・ギターの1本であるGreenfield GuitarsのG2。ボディ・トップにスイスムーン・スプルース、サイド&バックにアフリカン・ブラックウッドを採用しており、バック材の“真っ黒で柾目なのがわからない”ところがお気に入りだそう。
また、バック・ブレイシングは円環を軸に放射状に配置された“Tone Halo”という独自の構造。サウンドは“めちゃくちゃユニークな音がします。カナダのギターだけど響きがヨーロピアン。室内楽的なある種の冷たさと、丸くて温かい音が共存している”とのこと。
ベスト・アルバム『10』では、表題曲と「にびいろの風」、「Never Ever」の3曲で登場。3rd作『Storyteller』では本器を多用しており、ほか収録曲との兼ね合いで「Never Ever」はM FactoryのDを使用したが、“本当はこれを使いたかったんです。そういう意味でも、今回のバージョンが本来の姿”と語ってくれた。
なお、アンフィニカスタムワークス製のピエゾ&マグネティック・ピックアップを搭載したデュアル出力仕様。使用弦はサバレスのミディアム。
Gibson/LG-1
“ここぞという時”に使う、とっておきのオールド・ギブソン
2017年に入手したという、ラダー・ブレイシングを持つギブソンのLG-1。ラージ・ピックガードでショート・サドルのレクタングラー・ブリッジという50年代後半〜60年代前半のスペックだが、矢後曰くおそらく1959年製とのこと。
改造などはしていないが、前の所有者によってペグが3連のオープン・タイプに変更されている。ブリッジ・ピンは曲がっていて抜けづらいというが、気にせずそのまま使っているそうだ。
基本的には、レギュラー・チューニングでの使用が多いが、“意外とダウン・チューニングもいけちゃうんですよ。なので、いろいろな曲で使っています”とのこと。弦はサバレスのライト・ゲージを採用している。
本器の気に入っている点については、“ラダー・ブレイシング特有の、ガラガラとしたサウンドが気に入っています。魔法がかかったように独特な雰囲気を出せるんです。僕はXブレイシングのLG-2よりLG-1派ですね”と話す。
“ここぞという時に出すようにしている”という本器を、『10』では「85の夏」と「Remember」の2曲で使用。どちらの曲も、LG-1の枯れたサウンドが新たな世界観を演出した。
Sakata Guitars/D-28B
深い鳴りが特徴的なD-28B
山梨の名工=Sakata Guitarsの坂田ひさし氏から、“きみが使っていてくれ!”と託されたというD-28B。
トラディショナルなドレッドノート・スタイルということで、普段はルーツ系の楽曲で使用することが多いようだが、『10』ではその鳴りの深さから、“深い海”がテーマの「Ocean」を本器で奏でた。
“ブルーグラス系のギターなので、フィンガースタイルのリニアな表現などでは使いづらいかなと思っていたんです。でも、深く満たされて包まれるようなサウンドで、ラグがなくパーンと飛んでいくのが、「Ocean」にぴったりでした”とのこと。
材構成は、ジャーマン・スプルース・トップに、ブラジリアン・ローズウッドのサイド&バックで、曲中で印象的なタッピングからは、ボディの鳴りの良さが伝わってくる。
M Factory/D
10年も一緒にいたらめちゃくちゃフランクなギターになりました(笑)
矢後がデビュー当時に購入して以来、長きにわたって活動をともにしてきたM FactoryのD。前述のGreenfield G2と出会うまで、唯一のメイン・ギターとして、レコーディングやライブなどで使用されてきた。
1st作の『85.』は、全曲をこの1本でレコーディングしており、『10』でも『85.』に収録の「遠き春」を、本器で再解釈している。“ギターもプレイも特に変えず、デビュー当時を思い出しながら弾いた”にもかかわらず、そのサウンドには大きな変化があったようだ。
その要因のひとつとして、“当初は、弾く人を跳ね除けるような強情なギターだったんです。でも、10年も一緒にいたらめちゃくちゃフランクになりました(笑)。鳴りもオープンになって、弾きやすくなったんです。それが楽曲自体の変化にも繋がっています”と教えてくれた。
そして、長年の使用により見た目も変化したそうで、裏板のブラジリアン・ローズウッドが“もとは真っ黒でミステリアスだったんですけど、色が抜けてしまって。「人知れず柾目」っていうのが良かったんですけどね(笑)”とのこと。
ピックアップにはアンフィニカスタムワークスのコンタクト・ピエゾ、コンデンサー・マイクを搭載。ライブではさらに、マグネティック・ピックアップを加えた3系統で出力している。“コンタクト・ピエゾでメインの音を作り、厚みや輪郭をマグネットで足しています。マイクは、全体的なエアー感と共に、低音をプラスするためのエッセンスとして使用しています”と話してくれた。
Bourgeois OMC Soloist
ジャーンと鳴らすだけで、“アメリカが来た!”と思うサウンド
2023年にBourgeoisとのエンドースを結んだ矢後が「Somewhere」で使用したのは、フラッグシップ・モデルのOMC Soloist。楽曲のテーマである“アメリカの田舎感”の演出に一役を買ったそうで、“すべてを兼ね備えたギターですが、素性はトラディショナル。ジャーンと鳴らすだけで、「アメリカが来た!」みたいなサウンドなので、いいマッチングになりました”と話した。
サウンドの特徴については、“Bourgeoisのギターの特徴でもありますが、がっしりしているんですよ。ヘッドルームが広くて、飽和しない。僕はピッキングが強めなんですが、ゴリっと入れても、ちゃんと弾き返してくれるんです”とのこと。
アンフィニカスタムワークスのコンタクト・ピエゾを搭載しており、ライブではマグネティック・ピックアップを足したデュアル・システムで演奏している。また弦は、サバレス社製の矢後オリジナル・モデルである“DADGAD YAGO CUSTOM”を使用している。
『10』矢後憲太
Track List
- 10
- にびいろの風
- 85の夏
- Ocean
- you / 流星に祈る
- 遠き春
- こころ
- Once upon a time / Storyteller
- Somewhere
- Something Blue
- elevation
- Never Ever
- ヒロガルセカイ
- Remember
- 85
関連リンク
公式HP:https://www.85kenta.com/
配信URL:https://linkco.re/BCszVnv0