沖仁の艶やかなフラメンコ・サウンドを支えるステージ機材を紹介

押尾コータローと沖仁の2人が出演した、アコースティック・ギター・マガジンの通巻100号記念ライブ“ONE NIGHT SESSION supported by ACOUSTIC GUITAR MAGAZINE 100th issue”が、2024年4月29日にビルボードライブ東京で行なわれた。ここでは、そのステージで沖が使用したギターとサウンド・システムを紹介しよう。色気のある艶やかなフラメンコ・ギターの音色は、どのような機材で作られているのか。

文＝福崎敬太　撮影＝センキャメ

YAMAHA／FC50X

スペインでの栄光を思い起こさせる日本製の“黒”

沖がライブの全編にわたって使用したのが、YAMAHAが手がけたフラメンコ・ギター＝FC50X。フラメンコ・ギターには、大きく分けてサイド＆バック材にシープレスを使う“白”、ローズウッドを使う“黒”があるが、本器はハカランダ・サイド＆バックの“黒”。

この日はYAMAHA製の本器をメインで使用していたため、ライブのMCで押尾から“沖さんはスペインのフラメンコ・ギター・コンテストを、日本製のギターで優勝してるんですよ！（※）”と紹介され、沖も“スペインらしい音が出ていると言われて嬉しかった”と、本器と同型のFC50 CUSTOMでフラメンコの本場に認められたことをふり返った。

※2010年、「第5回ムルシア “ニーニョ・リカルド” フラメンコギター国際コンクール」国際部門でアジア人として初めて優勝。

Bosquet Guitars／Jin Oki Special

長野県の気鋭ルシアーとともに作ったオリジナル・モデル

長野県の気鋭ルシアー、小林亮介氏が手がけるMosquito Guitars（モスキート・ギターズ）のユニークなギターに惚れ込み、デザインなどを2人で相談しながら手探りで作ったという1本。完成したのは2023年だが、ラベルには2024年に改名となったブランド名であるBosquet Guitars（ボスケット・ギターズ）の銘が打たれた。

ボディ・トップはジャーマン・スプルース、サイド＆バックはシープレス、ネックはセドロ、指板はエボニー、左右非対称のブリッジは、1弦側がローズウッドで6弦側がマッカーサー・エボニーという材構成だ。こちらもCarlos製のピックアップを搭載。

本番での使用はなかったが、“まだできたばかりなので、現場に持ってくるのは今日が初めてで。リハで試してみて、いざという時にはいけそうだなってことが確認できたので、よかったです”と語っていた。

Sound System

細かな機微を表現するための、シンプルで繊細なシステム

沖の足下 — ①GRACE DESIGN／ALiX（DI／プリアンプ）、②GRACE DESIGN／M101（マイク・プリアンプ）、③BOSS／FV-500L（ボリューム・ペダル）

沖のギター・サウンドの核は、Carlos製ピックアップとDI／プリアンプ①の組み合わせ。そこに、マイク・プリ②に接続されているEARTHWORKSのコンデンサー・マイク、P30HCのサウンドがミックスされるのだが、沖はマイクとの距離を調整しながら演奏することで、そのサウンドのミックス具合を調整している。