好評の“カッコ良いマンドリンが聴けるアルバム”を紹介していく連載。第3回目で取り上げる曲は、ザ・バンド『ザ・バンド』の「ラグ・ママ・ラグ」だ。
曲解説は、お馴染みドルフィンギターズ 大阪店のスタッフ、木曽誠さん。
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楽曲データ
アーテスト:ザ・バンド
収録アルバム:『ザ・バンド』
マンドリン使用曲:「ラグ・ママ・ラグ」
名曲解説
1作目の『ミュージック・フロム・ビッグピンク』とは打って変わって、インドア感がなくなり、音色のクリアさやポップな曲調が目立つ、1969年に発表された2作目の『ザ・バンド』。(通称ブラウン・アルバム)
名盤百選的なムック本に必ずと言って良いほど載っている有名なアルバムです。
もともとはボブ・ディランのバック・バンドとして活動していた5人組(当時はホークス)で南部アメリカン・ルーツミュージックを基軸とし独自の世界観を創った1968年の1stアルバムの『ミュージック・フロム・ビッグピンク』は、エリック・クラプトンやジョージハリスンなどにも影響を与えており、ブラインドフェイスの”プレゼンス・オブザロード”の最終あたりのレズリー・スピーカーを通したギター・ソロなんかは、“モロに”影響を受けておりTHE BAND風味なのです。
そして2曲目の「ラグ・ママ・ラグ」という曲はフラット・マンドリンが使われております。
ご機嫌なラグ調のピアノにハイテンポなドラム、ホーン・セクションの低音やアコースティック・ギターなどにうまい具合にマンドリンの音色が溶け込んでおり、それはもはや12弦ギターのような響きで、完全に歌モノの伴奏に徹した使い方のように感じます。
気になるレコーディングで使用されたマンドリンは、資料がないので断定はできませんが、柔らかな音色から推測するとオーバルホールのギブソン?・・・ではなく・・・マーティンのSTYLE-A?・・・どっちだ・・・。想像は膨らむ一方です。
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選盤・文:木曽誠(ドルフィンギターズ大阪店)