練習は1日何時間やればいい?|『ゆる〜く始める充実ギター・ライフ』by ヨメトオレ

これからギターを始めようか迷っているアナタの疑問に、夫婦YouTuberのヨメトオレが会話形式で答えてくれる書籍、『ゆる〜く始める充実ギター・ライフ』より一部を抜粋してお届け! 今回は“練習は1日何時間やればいい?”という疑問。量なのか、質なのか、それを続ける秘訣とは?

文=ヨメトオレ
※本記事は『ゆる〜く始める充実ギター・ライフ』より一部抜粋・再編集したものです。

ヨメトオレの初心者時代

ヨメちゃん(以下ヨ) Marcoさんは一番練習してた頃って、どんな感じのタイム・スケジュールだった?

Marco(以下M) ギターを弾いていることを練習って言っていいんだとしたら、朝の8時か9時頃に起きて、あとはギター。で、夜中の2時くらいに寝る。

ヨ あはは(笑)。寝るかギターか、みたいな。

M もちろん寝てる間も抱っこしてるよ(笑)?

ヨ でも、私もギターを抱っこしながら寝たことあるなぁ(笑)。

M 弾いてる間に眠くなって、そのまま布団にゴロンってすると、ギターを抱っこしたまま寝ちゃう。で、起きたらギターを持ってるから“お、弾こう~”って。

ヨ “おはよう! ジャラジャラ~”みたいな(笑)。でも、私も一番弾いていた頃ってそうだったかもしれない。学校から帰ってきて、ギターをずっと弾いて、寝て、朝起きて学校に行く前にギターを弾く。そんな感じだったな。

 私はその頃、1日に何時間練習するかっていうふうには考えてなかったけど、1日どれくらい練習すればいいのかな?

M オレたちはただ楽しくてずっと触ってただけだからね。でも、うまくなるための練習っていう点だと、“どれくらい”よりも“何を”が大事だと思う。

 例えば、5分の曲を10回弾いたら50分かかる。それも練習にはなるけど、もし毎回同じところでつまづいている人が毎回1曲分をまとめて弾くのは、あまり必要がなかったりするでしょ? 

ヨ 私はやりがちだったな。“つまずいても、とりあえず全部弾ききらなきゃいけない”って思ってやっていた。

M もちろんそれも大事だよ。達成感もあるしね。でも、もし間違いなく毎回つまづく場所があって、弾けるようになりたいなら、まずはそこを直さなきゃいけない。そこにフォーカスをして、それが左手なのか右手なのか、覚えてないからなのか、何が原因で弾けていないのかを探して、練習をする。

 例えばコード・チェンジがうまくできてないなら、前のコードからパッて変える練習をして、それができたら次のコードまで含めてパッパッて変えてみる。そうすると、だんだんそこで間違えることがなくなってくる。それができてから、とおしでもう1回弾いてみる。

ヨ わっかりました(笑)!

何のための練習か

M だから、もちろん何時間練習してもいい。でもさ、毎日5時間とか用意できない人だっているじゃん? 普通に生活してたら、趣味のギターの時間って、1~2時間くらい用意できたらいいとこだと思うんだよね。

ヨ ほんとにそうだね。勉強、仕事、家事、いろいろあるから。

M じゃあその1時間をいかに、うまくなるための練習、曲を弾けるようになるための練習にするか。それには、“できてないものを、どれだけできるようにするか”なんだよ。1曲5分だとしたら、12回しか弾けない。でも、反復練習でつまずいたところだけを12回やるのは、10分くらいでできる。

ヨ “どう、何を”練習するかだよね。

M そうそう。あとは自分が何を楽しみたいのかってのも大事かな。完全に弾けるようにすることが楽しいんだったら、やっぱり弾けてないところをちゃんと直す。ざっくりでも1曲弾けて達成感を得たいなら、それもそれで正解。

ヨ そういう目的によって、何を練習するかって違うもんね。

M 例えば、人前で演奏するわけじゃないし、別に完璧に弾けなくてもいいよって人もいると思うんだよ。ギターを抱っこして弾くことが楽しいだけ、それはそれでいいんだよ。

ヨ そうだそうだ! 

M いかに自分がテンションを上げられるかっていうために、時間を使ったほうがいい。でも、上達するための練習をするなら、できてないところを探す。何時間やるかっていうところでは決められないよな。

楽しむことが最優先

M あとは練習時間って、目的やタイミングで違うんだよね。動画を作っているとき、曲を作っているとき、ライブを控えているときで、それぞれどういう密度の練習が必要かはちょっと違うと思うんだよ。

ヨ だいぶ違う気がするね。“目的”だよね。

M 本当にそう、目的だね。よくプロの方とかが“何時間練習してる”みたいな話をするけど、ステージの前で100万回くり返したときに1回もミスをしないようにするためには、その時間がかかったっていうだけ。その時間を費やしたから、うまくなるんじゃないんだよね。だから、練習そのものを目的にすると、上達はすごく鈍くなっちゃう。

ヨ “練習をやろう”、“練習を頑張ろう”って思うのは遠回りだよね。目的さえはっきりしていれば、あまり時間は関係ない気がするな。目的が見つかれば、ギターを持ってない時間でもさ、頭の中で考えたり、イメージしてみたりはできるもんね。それも上達の一歩だと思うんだよ。

M 目的にどれだけ夢中になれるかだと思うんだよな、練習は。で、目的がない人だっているじゃん? でも目的がなくたっていいんだよ。ギターなんか飾ってるだけでもカッコ良いんだから、弾けたって弾けなくたっていい。その楽しさを優先すれば、“練習時間”って言って、苦行みたいな感じで定める必要はないんだよ。もちろん、お客さんからチケット代をもらって人前で演奏するとかなら、練習はしなきゃダメけどね。

ヨ それはもう絶対だね。

M それも、練習したほうがカッコ良いステージを観せることができて、絶対に楽しいから。その先に見える“楽しさ”のために、頑張って練習するっていうことなんだよね。だから、“これが弾けなきゃやだな”っていうのがなければ、練習しなきゃダメっていう頭を捨てたほうがいい。楽しくなくなっちゃうから。

ヨ そうやって考えちゃうと、一気に楽しくなくなるよね。

M もう、鏡の前に立って弾いたり、自分のスマホでギターを撮影してみたりすればいいんだよ! 超楽しいから。

ヨ テンション上がるよね。うん。

M それに、練習をするだけがギターとの触れ合いじゃないと思うんだ。だから、“練習しなきゃいけない”っていう、脅迫観念は捨ててほしいな。で、“絶対にこの曲が弾けるようになりたい”と思ったら、“今弾けない”をなくしていこう。

 “これ”をやるための1時間でも15分でもあれば、それでいいんだよ。だらだらと3時間やるだけだと密度が薄くなっちゃう。15分くらい練習して、できなくて楽しくなくなったら、自分のお部屋をステージにして楽しく弾けるものを弾けばいいんだよ。それもとっても大事な時間だし、練習としても意味がないわけじゃないからさ。

『ゆる~く始める充実ギター・ライフ』ヨメトオレ

表紙

プロを目指すわけではなく軽い”趣味として”ギターを始めたい、という人のために、プロではない”ギター好き”代表として、人気YouTuberのヨメトオレが”ギターの楽しみ方”を教えてくれる1冊。

“ギターの選び方”は”見た目が好きかどうかが重要”、”ビビッときたら通販でギターを買っちゃっても良いじゃん!”など、プロ・ギタリストや講師ではないからこそ、自然体なギターとの付き合い方を教えてくれます。

ヨメトオレ

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