文=関口シンゴ イラスト=山本蛸
アコギ録音時のマイク位置について
僕が宅録を始めてすぐに夢中になったのが、アコギの録音でした。友人からコンデンサー・マイク(※脚注1)を譲り受けて、雑誌の記事などを参考にマイキングをいろいろ試しましたね。どの位置にマイクを置くかでかなり音色が変わるので、最初は好みの音を見つけるまでかなり時間がかかりました。
なんとなくイメージ的にサウンドホールに向けるのかな(写真①)……と思いきや、これだと低音をボンボンと拾い過ぎてしまいます。
僕の好みは少しだけマイクをネック側にずらした位置です(写真②)。しっかりボディの鳴りも録りつつ低音は抑えめになります。マイクの高さ(あるいは椅子の高さ)で高音弦と低音弦のバランスも変わるのでお好みで。
マイクとギターの距離はけっこう近め。そのほうがあとでリバーブを使って音の距離感を調整しやすいと思います。マイク遠めで録ってしまうとあとで調整するのが難しいかなと。
“近くの音を遠くにするのは簡単だけど、遠くの音を近くにするのは難しい!”ということですね。
ちょっとでもマイクとの距離が変わると音が変わってくるので繊細ですよね。“え、体動かせないじゃん……!”と最初の頃は思いました。慣れてくればそこまで気にしなくても普通に弾けるようになりますが、それでもまあアコギのマイク録りって神経を使う作業です。それゆえ、良い音・良い演奏で録れた時の喜びもひとしおです。
コンデンサー・マイクがオススメですが……
コンデンサー・マイクは繊細な音まで録音できるのでアコギに向いてるんですが、湿度管理をある程度しっかりやらなくてはいけないので注意が必要です(僕はデシケーターというカメラを保管するような防湿庫に入れています)。
またファンタム(※脚注2)という48Vの電源も必要になりますが、これはほとんどのオーディオ・インターフェースに“48Vスイッチ”が付いているので大丈夫だと思います。
最初の頃は本当に何も知らなくて、“録音できてない……無音!”と思っていたらこのスイッチが入っていなかったり、逆に48Vスイッチを入れたままケーブルの抜き差しをしてしまったり(これはマイクが壊れちゃう可能性があるので厳禁!)といろいろ失敗しながら学びました。
コンデンサー・マイクはダイナミック・マイク(よくライブで見かけるマイク)に比べて扱いに注意は必要ですが、“ああ、なんか自分、レコーディングしてる!”という高揚感を間違いなく味わえると思いますよ。
次回はアコギ録音の気をつけたいポイントを。
注1:コンデンサー・マイク=電源を要するアクティブ・タイプのマイクで、感度の高い集音ができる。
注2:ファンタム電源=コンデンサー・マイクなどのアクティブ機材を駆動させるための電源。一般的にオーディオ・インターフェースやミキサーなどの接続先機材から、XLRケーブルを通じて給電される。