マンドリンの魅力を語らせたら、日本トップクラスと評されている木曽誠さん(ドルフィンギターズ リペア担当)の解説が好評の本連載。今回取り上げるアルバムは、トニー・ライス・ユニットでの活動などでも知られるマンドリン奏者=ジョン・ライシュマンのソロ作『North Of The Border』。
楽曲データ
名曲解説
アンプラグド・ブームの1993年に発表された、巨匠ジョン・ライシュマン名義のファースト・アルバム『North Of The Border』。“数あるギブソンF-5の中でも最高のトーン”と評される、1924年2月18日のラベルが入ったロイド・ロアー期のF-5を愛用しており、もはやアイコンと化しております。クラプトンで言うところのブラッキーでしょう。
そのF-5は、ラディアスの付いたフィンガーボードに改造されており(カナダの製作家、マイケル・ヘイデンの仕事のようです)、テクニカルに動き回る縦横無尽なフィンガリングにかなり貢献しているディテールと言えるでしょう。
1曲目の「For Vic」に心を鷲掴みにされたリスナーは多いハズ。優しさ溢れるマイルドなF-5サウンドと高速フレーズのコンビネーションは、1/fゆらぎを発しているかのような気持ち良さがあり、時を忘れて聴き入ってしまいます。
ミュゼット調の「Palomita Blanca」や、クラシカルでマイルドなブルーグラス曲の「Cazadero」など、ジャンルレスな選曲で構成された聴きやすい内容となっております。
直球ストレートなブルーグラスは、ヘビーだからチョット……といったビギナーの方にもオススメの1枚です!
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