アコースティック・ギターに使用される木材

アコースティック・ギターを選ぶうえで、どの部位にどんな材を使っているかは非常に重要。今回は、アコギに使われる代表的な木材についておさらいしていこう。

文=関口真一郎
※本記事は書籍『アコースティック・ギターの全知識』より一部抜粋/再編集したものです。

単板・合板

アコースティック・ギターのスペックには、単板(削り出し)合板(ラミネイト)といった表記が見られる。

単板とは1枚板のことで、合板とは数枚の板を貼り合わせたもの。一般に単板のほうが鳴りは良いとされ、単板モデルは上位機種、合板モデルはコストを抑えたモデルという位置づけがなされている。

しかし、合板は複数の板を貼り合わせていることから、単板よりも丈夫な側面があり、さらに最近では製作技術も進んでいることから、音響面も含めて合板に対する認識は見直されてきている。

おもにトップに使われる材

スプルース

大半のアコースティック・ギターのトップに使われている材。淡い白、もしくは黄色で、軽量かつ振動伝達に優れている。ギターのトップ材としては最適だ。生産地によってシトカ・スプルース、イングルマン・スプルース、アディロンダック・スプルース、ジャーマン・スプルース、エゾ松などがある。

シダー

落ち着きのあるややダークな色合いが特徴。スプルースに比べると、甘く柔らかな音響特性を持っている。

おもにサイド&バックに使われる材

ローズウッド

暗褐色の材。さまざまな種類のローズウッドがあるが、中でも最高級と言われるのがブラジリアン・ローズウッド(別名:ハカランダ)。しかし、長年の伐採による著しい個体減少のため、現在では厳しく輸出入が制限されており、その代替材としてはインディアン・ローズウッド、ホンジュラス・ローズウッド、マダガスカル・ローズウッド、ココボロなどがある。ただし、こうした材も今では入手が難しくなってきている。

コア

ハワイに生育する材で、褐色のものやオレンジ色のものなどがある。サイド&バックのみならず、トップに使われることもある。

おもにサイド&バック、ネックに使われる材

メイプル

硬質で重い材。黄味がかった白色で、レスポンスが良く、華やかなサウンドが特徴。メイプル・ネックのギターには芯のある音、メイプル・ボディのギターには歯切れいいタイトな音という印象がある。

マホガニー

赤褐色で甘いサウンドが特徴。ホンジュラス・マホガニーやアフリカン・マホガニー、サペリといった材がある。

指板やブリッジに使われる材

エボニー

深みのある黒色の材で、日本では黒壇とも呼ばれている。非常に堅くて重く、高級ギターによく使われている。近年、非常に入手しづらくなっている材のひとつ。

人工材、加工材、珍しい材

ハイプレッシャー・ラミネイト材

非常に細かく裁断した木材を圧縮した特殊な合板。マーティン・ギターで使われており、木材資源のエコロジカルな活用法のひとつとして注目を集めている。

サーモウッド

高熱木材乾燥技術を施した木材のこと。軽量で耐久性が高く、ダークなブラウンカラーが特徴。

シンカー材

湖沼や河川などの水中に、長年沈んでいた丸太を引き揚げたもの。水中乾燥と呼ばれる効果により、安定性の高い材となっている。

『アコースティック・ギターの全知識』

『アコースティック・ギターの全知識』

本記事は書籍『アコースティック・ギターの全知識』の内容を一部抜粋/再編集したものです。本書は、アコギの構造や関連機材、音楽理論などの基礎知識から、SNSでの活動方法などまで、さまざまな情報を網羅した1冊です。

定価2,420円(税込)
発売日2024.12.20
品種書籍
仕様A5判 / 192ページ
ISBN9784845641895

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