演奏により深みや厚みを与える“クイック・アルペジオ”『誰でも弾ける!松井祐貴式ハイテク・ソロ・ギター』第5回

“クイック・アルペジオ”に挑戦!

演奏により深みや厚みを加えたい……。そんな時に効果的な奏法が今回の課題【クイック・アルペジオ】。クイック・アルペジオとは、和音を同時に弾くだけでなく、少し音をずらしてピッキングすることにより、フレーズに変化を加え、楽曲の展開をより豊かにすることができる奏法だよ!

初歩的で簡単そうに見えるテクニックかもしれないけれど、実はピッキングする指を1本1本しっかりと意識して動かす必要があるよ。でもひとつひとつの音を強調して弾いてしまうとせっかくの和音が分離して聴こえてしまうので要注意! しっかりピッキングしつつも滑らかに弾けるように少しずつマスターしていこう!

【BASIC】

別々にピッキングしていく意識ではなく、同時にピッキングした音を少しずつずらしていく感覚で演奏することがポイント。まずは親指、人差指の2本から始めて、1音ずつ増やして演奏してみよう。音の間隔が常に同じようにピッキングできているか意識して演奏したい。

譜例(BASIC)

中指と薬指は特に同時に弾いてしまいがちなので、特に気をつけて演奏練習しよう(写真①)。親指とその他の指も、ピッキングの方向が違うため音の間隔がずれやすいので注意(写真②)!

写真①
写真① 中指と薬指のタイミングに注意
写真②
写真② ピッキング方向が違うので注意

【STEP-UP】


今度は実際にメロディ、ベース、伴奏と合わせてクイック・アルペジオを弾いてみよう。音をずらして弾いている分、弾き始めから弾き終わりでどの部分をテンポの頭を持ってくるかによって、聴こえ方が大きく変わってしまう。

譜例(STEP-UP)

メロディとして弾いている弦をメトロノームのタイミングと重なるよう、少し早くから弾き始めると、メロディの流れにもたつきを感じさせずに演奏できるよ(写真③)(写真④)!

写真③
写真③ 弾き始めに合わせるとメロディがもたついて聴こえる
写真④
写真④ メロディで使う弦をテンポに合わせよう!

POINT

今回のまとめ


クイック・アルペジオは音を少しずらすだけの奏法だけど、ずらすことに集中しすぎて指1本1本に力を入れすぎてしまうと、それぞれの音を強調しすぎてしまう。またずらすタイミングや、速度の違いで雰囲気が大きく変わる奏法なので、しっかり意識して練習しよう。

適度に脱力をしながらも指の動きをしっかりと感じ、自分なりの気持ちのいいタイミングや速度を身につけ、楽曲に綺麗なクイック・アルペジオを取り入れて、より深みのある演奏にしていこう!

【課題曲】クリスマス・イブ/山下達郎

課題曲の譜面は、アコースティック・ギター・マガジン2024年12月号、Vol.102をご覧下さい!

アコースティック・ギター・マガジン 2024年12月号 Vol.102

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松井祐貴

14歳よりギターを始め、独学でギターをパーカッションのように叩き、リズムをくり出しながら同時にコードとメロディを奏でるソロ・ギターの特殊奏法を習得。そのスタイルは動画投稿サイトやSNSで話題となり注目を浴びる。全国でのライブ活動を中心に楽譜制作、ギター講師など多岐に渡り活躍中。

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