アコースティック・ギターが上手くなりたい人のための“アコギ上達100の裏ワザ”。すべてのアコギ弾きに役立つヒントを紹介!
文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
※本記事は『アコギ上達100の裏ワザ』(小社刊)の内容を転載したものです。
大きな音を出せるようにするには
➡小さく弾く訓練をする
ライブ当日には、サウンド・チェック時にPAのエンジニアさんと最大音量をチェックしておく必要がありますが、普段の練習では、小音量を基準にプレイすることが大切です。コード弾きもアルペジオも、平均して50%の音量(&指の力)でプレイするようにしてください。
そして、単音を弾くときに80%にすれば、バランスが取れます。
また、ここぞというプレイは100%にし、50%に戻る……これで楽曲に抑揚がつきます。エレアコをライブで使用する際にも、50%を基本、100%をピークとしてサウンド・チェックをして、50%中心でスタートするようにしましょう。
実は、これがアコギのピッキングの最大のヒントです。アコギは優しくピッキングすれば、優しい音がします。力を入れないピッキングをすれば、“弾く”が“奏でる”という雰囲気になるのです。
機会があれば、チェット・アトキンスの映像を観てみてください。想像以上に、ピッキングはソフトです。“こんなピッキングで、よくあんな高度なプレイができるなぁ”と思いますが、逆です。あのピッキングだからこそ、高度なプレイができるのです。
参考までに、“徳の市”のレパートリー「ミスター・サンドマン」という曲における、僕のメリハリの付け方を紹介しましょう。プレイとしてはギャロッピングで一貫しているのですが、ずっと同じ音量&音数では平坦なプレイになってしまうので、以下のようなことを意識して弾きます。
- ブリッジ(単音)……最も小音量のセクションとする
- 1番……ベース音のみを親指でピッキング(右手の腹でミュート)
- 2番……ミュートをやや浮かせ、人差指を増やしてピッキング
- ソロ回し……気分でアドリブ・バッキング&ソロ
- 3番……ミュートなしで中指&薬指も加えてピッキング
- 4番……ストロークも入れつつエンディングに向かうことを匂わせる
- エンディング……緊張感を解く(裏ワザ073で紹介する“ン”を忘れない)
聴かせどころはソロ回しではなく、“3番の1小節目”です。そこを心のピーク・ポイントに持ってくるためにソロで高揚させ、ブリッジで静かにして3番をピークに、そこからさらに4番を躍動させて終わらせる……これが音量と音数で楽曲を構築させる方法例です。
ここでは、“同じコード進行でも毎回やることは違う”というコツがあり、“バッキングにもアドリブがある”というヒントを提示しておきたいと思います。