倍音がよく出ていて太い。小柄なのに深く響く
——L-1を手に入れた経緯を聞かせてもらえますか。
デビュー5周年の記念に、ずっと大切にできるギターが1本欲しいと思ったんです。ライブでも使いたいという気持ちもあったけど、一番は“楽曲を作る時に自分をときめかせてくれるギターが欲しいな”って。
いろいろなお店を回って、たまたま御茶ノ水のウッドマンでこのギターに出会いました。見た目からして小柄でかわいくて、ひと目惚れという感じでしたね。ある日、試奏させてもらったら、持った瞬間にトキメキが走ったんです。“このギターはほかとは違う!”と思って、それから何度もお店に通って、何回弾いてもトキメキが走る感覚があったので、“やっぱりこのギターに恋しているな”と確信したんです。
——L-1に恋してしまったわけですね。
ただ、このギターを満足に弾ける自信はなくて。たぶん、これまでたくさんの方に弾かれてきて、ギターが上手な人に大事にされてきたんだろうな、と。私が弾きこなせるか不安はありましたけど、このギターにとって一番いい景色をこれから見せてあげたい。それならできるかもしれない。そう思って購入を決めました。
——それまで弾いてきたギターとは、何が大きく違いましたか?
感覚的な話になるんですけど、ギターを弾く時には2種類の感じ方があって、“枠がある”のと“枠がない”のがあるんです。新しいギターには枠を感じることがあって、枠のないギターは自分にとって弾いていてストレスがない。L-1は何もストレスを感じなかったです。ほかのビンテージ・ギターを弾いて、近い感覚になったことはあったんですけど、やっぱりL-1が一番だったかな。
──ボディ材はトップがスプルース、サイドとバックがマホガニーですね。
もともと、サイド&バックがマホガニーのギターを探していたんです。というのも、自分の声と合うのは、マホガニーのやわらかい音かなと思っていたから。マホガニーのせいなのか、L-1の音は落ち着いていて好みですね。
──ボディのシェイプも独特ですけど、最初からしっくり来ましたか?
かわいいと思いました。ほかのギターと違うっていうのが大きくて、むしろ最初はこの見た目に惹かれたんです。
──購入後に改造した点はありますか?
ピックアップを付けるためにエンドピン・ジャック用の穴を空けてしまいました。もともとエンドピンは付いていなかったんです。100年近く加工していないギターに手を入れるのはすごく悩みましたけど、ライブが控えていたので、ピックアップを入れて、ネック・ヒールにもストラップ・ピンを付けました。申し訳ない気持ちはあったんですけど、その分、いろいろなところに連れてゆくぞって思って。
本器を使ったレコーディングのエピソードなども含むインタビューの全編はアコースティック・ギター・マガジン2025年6月号 Vol.104に掲載中!
アコースティック・ギター・マガジン2025年6月号 Vol.104