初めて聴いた時から現在に至るまで、ずっとメタリカのファンです
──まずは、音楽に興味を持ったきっかけについて教えてください。
幼い頃から韓国の歌謡曲を自然と耳にしていましたが、バンド音楽にのめり込むようになったきっかけは、ニルヴァーナの『Nevermind』(1991年)ですね。その後、メタリカを知り、より深く音楽にハマっていきました。
──初めてのギターはどんなものでしたか?
あまりにも昔のことなので覚えていないのですが、両親が買ってくれた韓国産で低価格帯のギターだったと思います。
──アコースティック・ギターはどのように習得しましたか?
中学時代に1ヵ月ほどアコースティック・ギターを教室で習っていましたが、その後は自宅で独学で練習していきました。当時は、自分が歌うために伴奏を弾いていた程度でしたね。
──バンドをやるようになったのは?
高校の時にスクール・バンドで活動を始めました。競争率の高いボーカル・パートのオーディションを受けたのですが、幸い合格できたんです。
そのバンドでは80〜90年代のメタルをコピーしていました。書店でギター・コードの楽譜やバンドのスコア・ブックを買って、熱心に練習していましたね。
──影響を受けたアーティストを教えてください。
初めて聴いた時から現在に至るまで、ずっとメタリカのファンなんです。彼らの曲はすべて好きですが、特に「Battery」が大好きですね。
──アコースティック・ギターを弾くミュージシャンで好きな人は誰ですか?
ジャック・ジョンソンのプレイが好きですね。シンプルな演奏だと思われがちですが、誰にも真似できないトーンを持っていて。そのトーンが、彼の音楽を完璧に表現していると思います。
彼やメタリカからはとてもたくさんの影響を受けました。彼らを真似したくて、長い間練習してきましたが、簡単ではなかったですね。
D-28は、“もっともMartinらしいサウンド”が出るところが好き
──使用ギターについて教えてください。
主に、Martin Custom ShopのD-28を使っています。時々、GibsonのHummingbirdやバナー・ロゴのSouthern Jumboを弾くこともあります。
──メイン・ギターのD-28を手に入れた経緯は?
ソウルにあるギター・ショップで買いました。Modern DeluxeシリーズのD-28を使っていたこともあるのですが、自分で弾くには負担のあるサウンドに感じられたので、結局今のD-28に戻したんです。
──メインで使っているD-28のどのようなところを気に入っているのですか?
個人的な感覚ですが、もっともMartinらしいサウンドが出るところが好きです。
──このギターには何かカスタムを施していますか?
特にしていません。ギターの管理ができない性格なので、ボディには傷も多くて…… “これ(傷)がカスタムだ”と思うことにしています(笑)。
──ギター関連のアイテムなどでこだわっているものはありますか?
可愛くて綺麗なストラップを集めるのが趣味で、かなり多くの本数を持っているんです。ただ、ライブの時はRighton製のストラップしか使っていないかもしれません。
“久しぶりにアコースティックな雰囲気の曲を発表したい”という思いで作業を始めた
──では、ここ数年のあなたの活動の中から、気になったトピックについていくつか話を聞かせてください。まず、2023年に1stアルバム『1.0』(2011年)収録曲のセルフ・カバー・メドレー動画をYouTubeで公開されましたね。リリース当時と比べ、何か変化はありましたか?
発売当時と比べると、ギターの実力がとても伸びたと思います。カバー・ビデオを撮るのはとても楽しかったんですが、デビュー当時の“初々しさ”はもう出せないということを悟りましたね。
──また、これまでに数々の映像作品のオリジナル・サウンド・トラック(OST)を担当されてきましたよね。2024年公開の人気韓国ドラマ『ソンジェ背負って走れ』のOST「Spring Snow」はアコギ・パートがとても印象的ですが、楽曲においてどんな役割を担っていると感じますか?
シンプルな演奏ではありますが、曲の全体的な感性を引っ張っていくような強い存在感があると思います。特に、クラシックなイントロが素敵ですよね。
──あなたが担当したOSTで、“アコギ好き”のリスナーに聴いてほしい楽曲はありますか?
2021年に公開されたドラマ『その年、私たちは』のOST、「Drawer(引き出し)」をおすすめしたいです。
──最新曲の「Late Night Walk」について教えてください。
この2年間、モダン・ロック調の曲を相次いでリリースしていたので、“久しぶりに柔らかくてアコースティックな雰囲気の曲を発表したい”という思いで作業を始めたんです。
バンド・メンバーたちの素晴らしい演奏のおかげで、私が作ったデモ・バージョンよりもはるかに美しい楽曲に仕上がりましたね。
──メイン・コーラスはカノン進行をベースにF音を鳴らし続けているのが印象的で、サビ前ではサブドミナント・マイナーが効果的に使われていますね。
私はカノン進行がとても好きで、これまでの10CMの曲でも頻繁に使ってきました。F音を押さえ続けているのは、私の手グセのひとつで、音がより素敵に聴こえる気がするんですよね。
で、サビ前のコード進行は、何も考えずに自分の手が動くままに作ったものを、プロデューサーをはじめとするメンバーが素敵に編曲してくれた結果です。
“私の隣にギターがなかったのは、いつだったか?”と思うほど、人生のほとんどを共にしてきた
──普段、作曲はどのように進めていますか?
ギターを持ってソファーに腰掛け、メロディが思い浮かんだら弾きながら作っていきます。最近はエレキ・ギターで曲を作ることも多いですね。
──ちなみに、エレキ・ギターはどんなものを持っているのですか?
複数のギターを所有しているのですが、黒のLes Paul Cusotm、SG、ES-335など、Gibsonのクラシックなモデルが多いですね。その他のブランドのギターも、デザインが好きで買ったものがたくさんあります。
これらは主に、作業する時やメタルを演奏する時に使っているのですが、単独コンサートではサブ・ギターとして弾くこともあります。
──10CMの楽曲において、アコースティック・ギターのサウンドはどのような役割を担っていると考えていますか?
私の声に最も似合うサウンドだと思います。そして、私の歌詞を一番温かく、率直に伝えてくれる楽器ですね。
──ライブにおいて、アコースティック・ギターのサウンドで気をつけていることはありますか?
あまりこだわるタイプではありませんが、鋭いトーンよりも、柔らかくてバンド・サウンドと調和するトーンを目指しています。
──今後、EPやアルバムの予定はありますか?
フル・アルバムを準備しています。 来年の発売を目指しているので、楽しみにしていてください!
──最後に、あなたにとって“アコースティック・ギター”とは?
“私の隣にギターがなかったのは、いつだったか?”と思うほど、人生のほとんどを共にした楽器です。たくさんの曲を作って、演奏してきました。こうやって話しているうちに、より愛情が湧いてきました。もう少し大切に管理しなければならないですね(笑)。
「5.6 [Late Night Walk]」10CM
Track List
- Late Night Walk
- Late Night Walk(Instrumental)