日本再上陸を果たしたイーストマン。
1992年に設立され、ギターやバイオリンに加えて管楽器なども手がけるメーカーだ。
2019年にはボジョアを傘下に収め、そのラインナップは一新されている。
今回はシンガーソングライター関取花にモダンなACシリーズを試してもらった。
ACシリーズ
1930年代から40年代の伝統的なモデルを追求したトラディショナル・シリーズとは打って変わって、ACはよりモダンな工法や製法を取り入れたシリーズだ。ハイポジションも弾きやすいカッタウェイ付きのグランド・オーディトリアム・ボディが標準で、右ひじの当たる部分にベベル加工を施したモデルや、低音弦を長め、高音弦を短めに設定したマルチ・スケールのファンド・フレット・モデルもある。
モダンなギターとは言え、その設計にはトラディショナル・シリーズと同様、名匠ダナ・ボジョアのノウハウが生かされていることに変わりはない。100番台〜900番台の型番にグレード分けされており、仕上げは上級モデルがトゥルートーン・グロス、初級モデルがトゥルートーン・サテンとなっているトップ材はグロス仕上げが各種スプルース、ボディはローズウッドがメインだが、マホガニーやメイプル、オール・コア・ボディのモデルもある。サテン仕上げのほうは、シトカ・スプルースとシダーのモデルが用意されている。
低価格のサテン仕上げのモデルの中でもコスパNo.1
AC122-2CE
低価格のサテン仕上げのモデルの中でも10万円を切る価格で、トップにはシダー、サイドとバックにはサペリの単板を使用。スケールは645mmで、このクラスでは珍しく指板とブリッジはエボニーだ。トップのカラーはブラックとナチュラルが用意されている。ピックアップ・システムはフィッシュマンのソニトーンを搭載。
Specifications
●ボディ・トップ:シダー単板
●ボディ・サイド&バック:サペリ単板
●ネック:マホガニー
●指板&ブリッジ:エボニー
●価格:オープン(実勢市場価格99,000円/税抜価格90,000円)
122は、722が海だとすると川みたいな(笑)、水面がキラキラする優しいせせらぎのような弾き方や歌い方の人に合いそうです。
サウンドポート&ベベル加工/上位モデルの特徴的な仕様を受け継いだ高級感
AC722CE
ボディ横板のサウンドポートやベベル加工といった、上位モデルの特徴的な仕様を受け継いだ高級感を持つ。スケールは645mmで、トップにヨーロピアン・スプルース、ボディにはローズウッドの単板を使用。ピックアップ・システムはLRバッグスのエレメントEAS VTCを搭載している。
Specifications
●ボディ・トップ:ヨーロピアン・スプルース単板
●ボディ・サイド&バック:インディアン・ローズウッド単板
●ネック:マホガニー
●指板&ブリッジ:エボニー
●価格:オープン(実勢市場価格281,600円/税抜価格256,000円)
722はサウンドポートがあって、ライブで自分の音が把握しやすいと思うし、自宅でも力を入れずに弾けそうです。
総評
722はサウンドポートがあって、ライブで自分の音が把握しやすいと思うし、自宅でも力を入れずに弾けそうです。普段からこの音を聴いていれば、スタジオでもどんな音で録ってほしいかエンジニアさんに伝えやすいと思います。
弾き語りだと、ギターの音を聴こうとして力んで弾いて、歌も力んでしまうということもなくなるかも。あと、ベベル加工のおかげで、身体の小さな私が抱えてもトップがミュートされないのが良いですね。
122のほうは、722が海だとすると川みたいな(笑)、水面がキラキラする優しいせせらぎのような弾き方や歌い方の人に合いそうです。モザイクのロゼッタやベッコウ柄のバインディングがお洒落。
ネックはどちらも、手の小さい私でさえ握りやすいと感じるぐらい扱いやすい。アンプに通した時には、生音の感じと変わらないのが私は好きです。722はアンプで鳴らすとより“泣ける”音になるのが良くて、弾き語りに使ってみたいです。
製品に関するお問い合わせはS.I.E.(☎03-5965-6333)まで。
取材:坂本信 写真:岩佐篤樹