カナダ出身の兄弟、ボブ・モファットとクリント・モファットによるミュージック・トラベル・ラブ。
弾き語りデュオが織りなすフィンガースタイル・プレイは、抜群のハーモニーとなって我々の日常に癒しの風を運んでくれる。
現在はおもに絶景地を旅しながら有名曲をカバー、その模様をYouTubeで全世界に配信中。
そんな彼らが台湾発のアコースティック楽器ブランドaNueNueとコラボし、シグネチャー・モデルを完成させた。今回は同モデルの紹介とともに、その活動信念を聞く。
独学で手にしたアコースティック・ギター・プレイ
●Music Travel Loveを結成したきっかけ、現在の活動内容を教えてください。
クリント 僕とボブはナッシュビルでレコード契約を手にしようとしていて、実際にオファーをもらうことはできたけどこれだ!と思えるものはなかったんだ。そこで音楽のキャリアとして何を本当に求めているのかを自問し、最も重要なのは楽しめるポジティブな音楽を作り、旅をしつつも家族との時間を大切にすることだった。そこからMusic Travel Loveという名前をつけることとなったんだ。
●アコースティック・ギターを始めたのはいつ頃でしたか?
ボブ 家族でバンド(The Moffatts)をしていた頃、僕はドラムでクリントはベースをプレイしていた。そのあと僕らはタイに移住して、クリントと僕は曲を書くためにギターを弾き始めたんだ。
クリント 僕らのスタイルって基本的に試行錯誤の積み重ねによるものだと思う。
ボブ あらゆる楽器について一切のレッスンを受けたことがないんだ。すべて耳を頼りにやってきて、そこにひたすら時間をかけてきた。自分たちはほとんど何も知らないという謙虚な姿勢を保つことで、己を成長させてきた。
クリント でもエリック・クラプトンはかなり大きな影響を与えてくれた存在さ。彼の音楽を山ほど聴いてきたわけではないけど、彼がグラミー賞授賞式で行なった「Tears in Heaven」のパフォーマンスは僕らの記憶に深く刻まれたんだ。ほかにも僕らはボーイズIIメンを始め、90年代にベイビーフェイスがプロデュースを手がけた楽曲を聴いてきたよ。それ以外となると、カントリーのソングライターやギター・プレイヤーに影響を受けてきた。僕らはかなりシンプルなコードをプレイしている。今までに変化球のようなコードを入れてきたこともあったけど、僕らは音楽で誰かを驚かせようと思っているわけじゃない。いかに最高なフィーリングを作れるかってことを追求しているんだ。ただ、僕らが求めるグルーヴを作り出すためにピッタリなテクニックを身に付けるようになったと思う。グルーヴのほとんどの部分はボブがスラップでプレイするドラムのパートといくつかの音から生まれていて、僕が低音域を中心としたコードをプレイしたり高音域でシマーする感じを加えている。僕らは今でもバンドのリズムセクションでもあるんだ。
●現在はYouTubeを中心に、積極的にカバー楽曲を披露しています。アレンジする上で重視している点は?
ボブ 新たに曲をレコーディングする時、常に主題としているのはダイナミクスだ。曲そのものが躍動感を持っていなくてはならない。僕らには脈打つようなベースやドライブしてくれるドラムといった贅沢なものがないので、ボーカルも含め動きのあるものでなくてはならないんだ。
クリント グレイトな楽曲っていうのはヴァースからサビへと流れるようにつながるものだ。僕たちが選ぶ曲はそういった要素がなくてはならず、展開が切り替わるたびにグレイトなダイナミクスがなくちゃならないと思っているよ。
●お互いのアコースティック・ギター・プレイについて、それぞれ評価してもらえないでしょうか?
ボブ 素晴らしいギター・プレイヤーは“テイスト”を持っていなければならない。これはフレーズにフックを与えるため少しでも多くの音を詰め込むとか、そういうことを言っているわけじゃないよ。プレイする1音1音に込められたクオリティのことなんだ。そういう意味でクリントは、然るべき音を見つけるための本物のテクニックを手に入れたような気がするんだ。
クリント ボブはドラマーだったこともあって、タイム感をマスターしている。ほかのさまざまリズム・プレイヤーと同様に、ボブはカチッとグルーヴのハマったプレイの仕方を本当の意味で理解している。
●使用しているギターは、aNueNueによるシグネチャー・モデルですよね。その満足度と、具体的な良さを教えてください。
クリント aNueNueは素晴らしいサウンドの楽器を作り出してくれた。僕たちは外観上のアイディアを少し伝えただけさ。このギターがあれば、自信たっぷりにどんな状況でもプレイできるよ。
●2023年は来日ライブの計画もあるようです。読者にメッセージをお願いします。
ボブ 僕らは日本にたくさんのファンを持ててとても幸運に思う。日本はThe Moffattsとして踏み入れることのなかった国のひとつで、Music Travel Loveとしてこの機会をもらえそうなことはとてもクールだよ。訪れる日を心待ちにしているし、君たちみんなとお目にかかりたいよ。ありがとう!
aNueNue Signature Model
aNueNueによるボブとクリントのシグネチャー・モデル。ともに同ブランドのハイエンドラインであるLSシリーズのため開発された、ルシアー杉田健司氏の音色デザインを採用。
MTL Bobはシダー・トップで640mmスケール、MTL Clintはシトカ・スプルース・トップで610mmスケール。ほかのスペックは共通だ。
また、どちらもMC Linen Gigbagが付属。厚さ20mmのバッグがギターを守り、軽量でトラベル向きとなっている。
さらにオリジナル・ステッカー・セットも付いてくるので、好みに合わせて貼るのもいいだろう。
MTL Bob
Specifications
●ボディ・トップ:シダー単板
●ボディ・サイド&バック:マホガニー単板
●ネック:マホガニー
●指板&ブリッジ:エボニー
●スケール:640mm
●価格:105,000円(税抜価格95,454円)
MTL Clint
Specifications
●ボディ・トップ:シトカ・スプルース単板
●ボディ・サイド&バック:マホガニー単板
●ネック:マホガニー
●指板&ブリッジ:エボニー
●スケール:610mm
●価格:90,000円(税抜価格81,818円)
製品に関するお問い合わせはHMM(☎0475-28-2934、info@hmm-music.jp)まで。