00-18によるライブ音源のギター独奏をアルバム収録
イエスの3rdアルバム『The Yes Album』は、プログレッシブ・ロック黄金期への大きな一歩を刻んだ1971年発表の作品である。
オープニングの「Your Is No Disgrace」はキャッチーなメロディと複雑な構成が融合した10分近い組曲形式のナンバーで、のちのイエスを象徴する大作。続く2曲目に置かれたのが、当時新加入だったスティーヴ・ハウによるソロ・アコースティック曲「The Clap」のライブ音源である。
アルバム序盤に、ライブテイクのギター独奏を配置する型破りの展開は、当時のロック・ファンの度肝を抜いた。ここでハウがプレイしているのが、1953年製のマーティン00-18である。チェット・アトキンスばりのカントリー・フレイバーを漂わせながら、ライブならではの生々しいサウンドを響かせている。このダイナミクスと躍動感は、むしろスタジオ録音では生まれ得なかったのかもしれない。ハウがマーティン・サウンドで作り上げた歴史的快挙として、今なおロック史に刻まれている1曲である。
ハウがマーティンの00-18を入手したのは1960年代後半。ロンドン中心部の楽器店が並ぶストリート、セント・ジャイルズ・サーカスにあったギター・ショップだった。“手にした瞬間にアコースティック・ギターに必要な明快さとレスポンスを感じた”とのちに語っている。購入価格は70ポンド。当時としても決して高価な楽器ではなかった。
「The Clap」は、入手したばかりの00-18からインスパイアされて一気に書き上げたという。生まれたばかりの息子のディラン(現在はドラマーとして活動)のために書かれたもので、本来は“Clap=手拍子”というタイトルだったが、ライブ中にボーカルのジョン・アンダーソンが“The Clap”(スラングで性病)と紹介してしまい、そのままアルバム・クレジットに残ったというエピソードが伝えられている。
レコーディングされたのは、1970年7月17日、ロンドンのリセウム・シアター。やり直しの効かないステージのうえで、バッキングとメロディを同時に奏でる高度なフィンガーピッキングを駆使して、驚異的な演奏を残した。
プログレ界の金字塔曲を創作した00-18
この00-18を語るうえで欠かせないもう1曲が、同じく1971年発売『Fragile(邦題:こわれもの)』収録の「Roundabout」である。プログレッシブ・ロックの金字塔と言えるこの名曲は、1970年のツアー中に00-18によって書き上げられた。クラシック・ギターによるハーモニックスとメロディアスなフレーズの美しいイントロに続くバッキングで00-18はプレイされている。
日本ではアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のエンディング・テーマで使用されて話題を呼んだ。レコーディングのみならず作曲においても、この00-18はハウの創作を支える重要な存在であった。
マーティンからシグネチャー・モデルも登場
00-18は、マーティンのドレッドノートや000と比べると、ひと回り小ぶりなボディを持つ。さらに、サイド&バックがローズウッドのstyle 45や28に対し、style 18はマホガニーが採用されている。そのため低音がふくらみすぎることなく、高音域に透明感をたたえた音色が特徴となる。つまり、リズミックなグルーヴを生み出すのに理想的なギターであった。
1999年には、マーティンからハウのシグネチャー・モデル00-18SHが250本限定で販売された。指板の19〜20フレット上にハウのサインが入っているのが特徴だった。
“アコースティック・ギターは世界で最も重要なギターであり、練習だけでなく作曲も行なう”とハウは語っている。00-18は、ステージでも数十年にわたり活躍を続けてきたが、現在はシグネチャー・モデルなどにその役割を譲り、レコーディング・スタジオでのみ大切に使用されているという。
ハウの音楽的創造力を最も純粋な形で響かせ続けてきたギターとして、00-18は今も特別な存在であり続けているのだ。
- エピフォンの“Inspired By Gibson Collection”に、5種の新作エレアコが登場!
- NAGA GUITARSの25周年記念ライブが東京/大阪で開催! 押尾コータロー、岸部眞明ら登場
- 小野リサが恒例のサマー・ライブを7月17日〜20日に開催! ゲストにドラ・モレレンバウムが登場
- ギブソンよりソングライター・シリーズの新作エレアコとしてSongwriter Recording Artistが2モデル登場
- 崎山蒼志が6月12日に新作リリース記念ライブを開催! ゲストにMega Shinnosuke、原口沙輔らが登場
- 君島大空×水野蒼生が4〜5月にビルボードライブ東京/大阪にて管弦楽形態の公演を開催









