松井祐貴の使用ギターを紹介! 新作『Joyful』を彩った7本の愛器

ソロ・ギタリストの松井祐貴が愛用するアコースティック・ギターの中から、新作『Joyful』を彩った7本をピックアップして紹介! 同アルバムはピュアなアコースティック・サウンドを目指して録られたため、ギターごとの音色の違いがより楽しめる1枚となっている。各モデルの使用楽曲を聴きながら、それぞれの特徴をチェックしてみてほしい。

撮影/文=福崎敬太

Schenk Guitars/FE08-09-036

Schenk Guitars/FE08-09-036(前面)
Schenk Guitars/FE08-09-036(背面)

シグネチャー・モデルの基礎となったメイン・ギター

松井がメイン・ギターとして愛用するのが、米シアトルのルシアー=ロッド・シェンクによるブランド、シェンク・ギターのFEモデル。独特なシェイプがお気に入りで、以降自身のモデルは本器をモチーフにデザインしている。

2014年に韓国で共演したギタリストがシェンク・ギターを使用しており、以来頭から離れることがなく購入にいたったそうだ。

今作『Joyful』での使用シーンについて、“倍音もあって、ストロークで低音がガッツリ出るギターなので、「Green Breeze」や「Think of you」、「Breakthrough」といった、バラードと激しい曲をメインで使いました”と教えてくれた。

Switch/SJ Matsui Yuki

Switch/SJ Matsui Yuki(前面)
Switch/SJ Matsui Yuki(背面)

ストローク向きに設計された10周年記念モデル

シェンク製FEモデルのシェイプをモチーフにデザインされた、スイッチによる松井のデビュー10周年記念シグネチャー・モデル。

ソリッド・ジャーマン・スプルース・トップとココボロ・サイド&バックのボディで、ネックはマホガニー、指板はエボニーという材構成。ストロークでのプレイを念頭に設計されており、サドル側の弦間を狭く設定しているのがポイントだ。

今作では“激しい曲やミドル・テンポの楽曲に合わせてみたいと思ったので、「Adversity」や「Still」で使いました”とのこと。

なお、2025年12月13日に行なわれたソロ・ライブにて、彼の15周年を記念したモデルとしてMatsui Yuki 15th Anniversaryのリリースが発表された。松井の理想をスイッチが実現したもので、ヘッド形状やロゴも松井デザインによるオリジナル。限定15本のため、早めのチェックが必要だ。

Keystone Stringed Instruments/Coraje #0103

Keystone Stringed Instruments/Coraje #0103(前面)
Keystone Stringed Instruments/Coraje #0103(背面)

音が進化してきたハカランダ使用モデル

西恵介氏が主宰するキーストーン・ストリングド・インストゥルメンツへ、シェンクのシェイプを土台にオーダーした1本で、スペイン語で“勇気”を意味する“コラーへ”と名づけられた。

ボディ・トップはジャーマン・スプルースで、サイド&バックにはハカランダを贅沢に使用。完成当初はハカランダならではの煌びやかなサウンドが全面に出ていたが、“昨年頃から少しずつアコギらしい温もりが入ってきて、一気に音が良くなってきた”そう。

ミドル・テンポの楽曲やバラードに向いているそうで、最新作では「Diary」と「Hope」を奏でた。

Keystone Stringed Instruments/Goliath #0094

Keystone Stringed Instruments/Goliath #0094(前面)
Keystone Stringed Instruments/Goliath #0094(背面)

響きとプレイアビリティを両立する13フレット・ジョイント

キーストーン・ストリングド・インストゥルメンツによるバリトン・ギターは、ボディ・トップがジャーマン・スプルースでサイド&バックはアフリカン・ブラックウッドという材構成。本器のために作ったという「疾風」で使用。

ネックのジョイント位置が13フレットとなっているが、これはボディの響きとプレイアビリティを両立するためのスペックとのこと。カッタウェイを施すことで14フレット・ジョイントだとネックが長く感じてしまい、12フレット・ジョイントだと演奏性が損なわれるということで、13フレット・ジョイントが選ばれた。

Fonzo/V301S SJFC

Fonzo/V301S SJFC(前面)
Fonzo/V301S SJFC(背面)

メイド・イン・タイによる環境変化への高い耐久性

近年注目を集めているタイのブランド、フォンゾ・ギターによるスモール・ジャンボ・モデルで、松井も“フローレンタイン・カッタウェイはあまり好きではなかったんですが、この形状はすごく好みなんです”とお気に入り。

フォンゾ主催のイベント時に作曲したという「Again」で登場。“シャキッとした高音域が響くギターで、低音は少し弱いんですけど、そのぶんメロディを際立たせるのに便利なギターです”とのこと。

また、“高温多湿なタイで作られているからか、とにかく湿気に強くて、夏場でも変な動きをしないんです”と、その作りの丈夫さについても語ってくれた。

Gibson/1939 L-00

Gibson/1939 L-00(前面)
Gibson/1939 L-00(背面)

枯れた音色を奏でる極上ビンテージ

山崎まさよしの愛用で憧れていたL-00を調べていく中で、ブラック・フィニッシュがあることを知り、長年の捜索の末についに手に入れたという1939年製。かなり昔のリフィニッシュの可能性はあるそうだが、それを差し引いてもグッド・コンディションを保っている1本と言えるだろう。

“ビンテージの枯れた音色なので、しっとりとした「Sweet dream」で使いました”とのことで、同曲はこのギターの音色ありきで作ったそう。

Eastman/E3-00SS-CLA

Eastman/E3-00SS-CLA(前面)
Eastman/E3-00SS-CLA(背面)

渋い塗装にひと目惚れ

中国でひと目惚れをしたというイーストマンの00スタイル。ボディ・トップはサーモキュア・シトカ・スプルースでサイド&バックはメイプル。手仕事による塗装の雰囲気が気に入ったそうだ。また、前述の1939年製L-00は持ち運びに気を使うため、同じサイズで音の良いギターを探していたタイミングでの出会いだったという。

新作では「散歩道」で登場。“L-00ではビンテージ感が出過ぎる”、“ほかのギターよりもポロポロとした小ぶりなギター感が出したい”という点で、本器がチョイスされた。

Yuki Matsui Unplugged Live 2026

◎日程

  • 2026年2月14日(土)
    18:00開場/18:30開演

◎会場

  • 東京・マリーコンツェルト
    東京都板橋区中板橋18-11

◎チケット

  • 1階席:5,000円(前売)/5,500円(当日)
  • 2階席:5,000円(前売)/5,500円(当日)

https://eplus.jp/sf/detail/4450400001-P0030001P021001

◎問い合わせ
https://yuki-matsui.com/

『Joyful』松井祐貴

Track List

  1. Let’s begin
  2. Again
  3. Green Breeze
  4. Breakthrough
  5. Diary
  6. 散歩道
  7. Joyful
  8. Sweet dream
  9. Hope
  10. Adversity
  11. Still
  12. 疾風
  13. Think of you

YMusic Records/YMRC-10002/2025年10月15日リリース

『Joyful』松井祐貴

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