話題のアコギ専用ピック、マスターエイト・ジャパンのACOUSTIC BLENDを井草聖二が試奏レビュー!

多くのプロ・ギタリストたちが信頼を置く日本のピック・ブランド=マスターエイト・ジャパンが、アコースティック・ギター専用のピックとしてINFINIX-U ACOUSTIC BLENDをリリースした。当然エレキや別の弦楽器でも使えるものではあるが、アコギの良い音を追究し続けているK.ヤイリの職人たちが監修をしているのがポイントだ。ピックのプロとアコギ作りのプロが作ったこの逸品を、アコギ・マガジン“ニューギア・サウンド・チェック”担当の“試奏のプロ”として井草聖二に試奏してもらった。

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INFINIX-U ACOUSTIC BLENDの基本情報

ピック・ブランドのマスターエイト・ジャパン(MASTER 8 JAPAN)とK.ヤイリによるコラボレーションで誕生した、アコースティック・ギター用のピック、INFINIX-U ACOUSTIC BLEND。研磨加工なしの0.6mmと、研磨ありの0.8mmのオニギリ型2種類がラインナップされている。

素材はINFINIXとULTEM®という2種類の高機能樹脂をブレンドした“INFINIX-U”だが、異なる割合で配合した数十パターンのサンプルから、K.ヤイリの職人たちの耳で選ばれた配合率が採用された。

0.6mm
0.6mmのブランド・ロゴ面
0.8mm
0.8mmのモデル・ロゴ面

MASTER 8 JAPAN/INFINIX-U ACOUSTIC BLEND

井草聖二による試奏レビュー

井草聖二

木の温もりを感じる音と、アコギ弦のきらびやかな音

井草 けっこう鋭い正三角形で、ストロークのコントロールがしやすいですね。ほかのマスターエイト製ピックとも弾き比べてみましたが、アコースティック・ギター専用にチューニングされたピックと聞くと、たしかにそう感じます。

 研磨加工がされていない0.6mmは、アコギを始めた方が一番最初に求めるような煌びやかさがあって、研磨されている0.8mmはベテランが求めるような木の温もりを感じるようなサウンドになっている印象ですね。

エッジの比較
下が研磨加工なしの0.6mm、上が研磨加工が施された0.8mm

井草 0.6mmのほうはストロークでも単音弾きでも明るい音で、金属の弦のキラッとした音が好きなギタリストにはベストです。また、研磨なしで摩擦感があるので、弱いタッチでもパンって出てくれる反応の速さがあります。

 0.8mmは落ち着いたサウンドで単音弾きでも太く出るので、温かみのある音が好きなギタリストにはオススメです。研磨されてなめらかに滑っていく感覚があって、こちらのほうがコントロールがしやすい印象です。

 僕自身、音色を変えたい時は1.5mmと1.2mm、1.0mmなどを使い分けているんです。そういう意味ではこの2枚があれば、軽やかなアコースティック・サウンドも深みのある音色も、どちらも出せますよ。

試奏風景

Special Interview
K.ヤイリに聞く、ACOUSTIC BLEND開発秘話

INFINIX-U ACOUSTIC BLENDの開発ディレクションを担ったK.ヤイリ。どのようなポイントにこだわったのかを詳しく知るべく、開発にまつわる質問をぶつけてみた。彼らが“アコースティック・ギター専用のピック”に求めたものを探っていこう。

プレイヤーの弾いた感覚がそのまま音として出力される感覚

──INFINIXとULTEM®のさまざまな配合比率を試したそうですが、INFINIXが多い場合とULTEM®が多い場合でそれぞれどのようなサウンドの傾向や弾き心地の違いがありましたか?

 配合により音の輪郭が変化していきました。ULTEM®は素材のコシ感の強さが音にも出ていて、弾むような音質ですが、ピッキングに対しても少し強めに弾む感じがあると思いました。そこにINFINIXを混ぜることでよりナチュラルな反応になったと思います。配合によって硬さが変わるのですが、単に柔らかくなるだけでなく弦への食いつきも変化しました。

──具体的な配合比率は明かせないとは思いますが、おおまかにINFINIXとULTEM®それぞれの特徴がどのようなイメージで盛り込まれているか教えてください。

 ULTEM®の弾むような反応をベースにして、INFINIXがより自然な反応に寄せてくれる感じでしょうか。

──今回の開発にあたり“アコースティック・ギターに合う”という点で、どのような要素を重要視しましたか?

 いろいろと試してみて、アコースティック楽器の解像度を引き出しながら、弾く楽しさも体感できるようなコントロール性の高い配合が良いと意見がまとまりました。

──さまざまなギターを作られてきた中で、アコースティック・ギターの音色においてピックが果たす役割をどのように考えていますか?

 時にはナチュラルに、時にはより効果的に、弾き手の理想のサウンドを作るためのツールのひとつだと思います。

──そのほかに開発でこだわったポイントを教えてください。

 厚みの違う2種類のピックは、配合率はもちろん、エッジ処理や表面処理もそれぞれのキャラクターに合わせて変えています。濃紺(ネイビー)のカラーはK.ヤイリのコーポレート・カラーから、さらにマスターエイト・ジャパンとK.ヤイリのある岐阜県をかたどったラバー・グリップは2社の自信と誇りの表われでもあります。

ラバー・グリップ
岐阜県の形を表現したラバー・グリップ

──改めて完成したINFINIX-U ACOUSTIC BLENDのサウンドや弾き心地の特徴について教えてください。

 アコースティック・ギター向けにチューニングされたピックはこれまでになかったと思います。プレイヤーの弾いた感覚がそのまま音として出力される感覚を味わえるピックに仕上がったと思います。

──最後にアコースティック・ギタリストにどのように使ってほしいか、メッセージをお願いします。

 自宅からスタジオ、ステージでも、自然な反応と音の解像度の良さは楽器を弾く楽しさを再確認させてくれると思います。ピックというアイテムひとつでもこれだけの変化を体感できるのがアコースティック・ギターの面白さです。楽しみながら自分の理想の音を探してくれれば嬉しいです。

MASTER 8 JAPAN/INFINIX-U ACOUSTIC BLEND

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