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クラシック・ギターは汎用性が高い──君島大空
ブランドごとに異なる特徴
新しいギターを弾けて楽しい1日でした! エレガットが2本、クラシック・ギターが3本、それぞれ全然違っていて面白いなと思いました。
まずエレガットのコルドバは、今すぐにライブでクラシック・ギターの音を使いたい人にオススメしたいです。ポップスやジャズなどにもアプローチできるし、弾き語りでも使えると思う。たまに生音でも使いたいという人にもバッチリの1本だと思います。
マーティンもエレガットでしたが、クラシック・ギターは敷居が高いと思っているギター・ボーカルに渡しても、すぐにその場で使えるぐらいの弾きやすさでした。アコギの感覚でそのまま弾けて、しっかりとガット・ギターのサウンドが出せる。さすがマーティンだけあって、ラインも生も音のクオリティは素晴らしい。
生のクラシック・ギターもそれぞれ個性的で、奥の深い世界だと思いました。アストリアスは、小ぶりだからといって音がダウンサイズしているわけではなく、本格的な鳴りが出せる。ふくよかなサウンドは、使える場面が多いと思います。
沖仁さん監修のフラメンコ・ギターは、すごくバランスがいい。フラメンコ・ギターに興味を持っている人のファーストチョイスには最高じゃないでしょうか。ギターとしてよくできているし、鳴りもいい。とてもドラマチックな音が出せるギターだと思いました。
ヤマネギターズは、深みがありましたね。ギターに弾かされてしまうような、“ギターが音楽を待っている”ような感覚がありました。弾き続けていたくなる感じ。僕が同じクラシック・ギターを使い続けている理由のひとつは、ルシアーの沼にはまらないように気をつけていたところがあって、その深みを覗き込んでしまった気がします(笑)。
自分に合ったガットの探し方
クラシック・ギターは敷居が高いと思われているけど、そんなことはなくて、ジャズにもポップスにも使えて汎用性が高い。僕はクラシック音楽を学んだわけではないけど、クラシック・ギターから入ったので、アコギもエレキもクラシックも、それぞれの良さを感じています。実際に僕のまわりでも、若くてガット・ギターを弾いている人が増えていて、とてもいい傾向だと思う。
1本目を買おうと思っているなら、安いものでもいいので、時間をかけて選んでほしいですね。お店で何本か弾いてみて、直感でいいと思ったギターがあったら、日を改めてまた弾きに行ってみるのがいいんじゃないでしょうか。生楽器からは、作った人の体温が伝わってくると思う。何回か試奏して、その感触を確かめてほしいと思いました。
また、エレキに慣れているからといって、一概に細いナットが弾きやすいというわけではないと思うんです。ネックが細すぎないほうが弾きやすいと感じる人もいると思いますし、実際に手にしてみて、自分の体に合ったサイズを見つけてほしい。長く続けるためにもいいギターと出会ってもらいたいですね。ちょっと時間をかけて、自分のお気に入りの1本を選んでみてください!