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アコギ・マガジンWEBおすすめブランド
ARIA
王道から個性派モデルまで幅広くラインナップ
楽器メーカーの荒井貿易が1960年に立ち上げた自社ブランド。それ以前は“アライギター”の名前でギター販売を行なっていたが、“ARIA”になってからはアコースティック・ギターのみならず、さまざまな楽器を販売。1975年より、エレキ・ギターはAria ProⅡブランドとなり、区別化された。
アコースティック・ギターは、本格的ドレッドノートから、マキャフェリ・スタイル(編注:マヌーシュ・ジャズなどで使われることの多いスタイル)、パーラー・スタイルのミニ・ギター、サウンドホールを持たないAPEシリーズ、Fホールのエレガット・ギターElecodeなど充実のラインナップ。
またクラシック・ギターについても、本場スペイン製のフラメンコ・ギターから、歴史ある子供用ミニ・ギターのPEPEまで、上級者から初心者まで老若男女に対応できる幅広いシリーズが用意されている。バンジョー、マンドリンなどの弦楽器もあり、全国どこでも手に入れられることは特筆すべき点と言えるだろう。
Eastman

大手メーカーと有名ルシアーのタッグで実現した抜群のコストパフォーマンス
1992年設立のアメリカ最大手の楽器メーカーが手掛ける自社ブランド、イーストマン。バイオリンやチェロなどに加えて、マンドリンやウクレレなども製作してきた木工技術の高いスキルを生かしたギター作りがブランドの特徴と言える。特にアコースティック・ギター作りにおいては、マーティンが生産協力をしたことでも知られる高名なルシアー“ボジョア”のノウハウを惜しみなく注ぎ込み、各工程においてクオリティの高い作業が行なわれている点が大きな魅力。
また、こだわりの単板削り出しボディを採用しながらも、コストパフォーマンスに優れており、ボディ・スタイルは、ジャンボ、ドレッドノートなどのスタンダードなものから、カッタウェイを施したグランドオーディトリアム、小型のパーラーまで、幅広いバリエーションを用意している。深みのある王道サウンドとモダンなプレイアビリティを求めているプレイヤーはぜひ手にとってみてほしいブランドだ。
Epiphone

ギブソン・スタイルだけではない、老舗の魅力
エピフォンの歴史は非常に古く、1873年にニューヨークでバイオリン作りからスタートし、1928年に社名をエピフォンに改めて、ギターの製作も手がけるようになった。1957年にギブソンに買収されたあとは、オリジナル・モデルに加えて、ギブソン・スタイルの幅広いモデルを製作していく。ハミングバード、J-200、J-45などのギブソンの歴史的アコースティック・モデルが、デザインそのままにコスト・パフォーマンスに優れた製品として揃えられていることは、ギター・ファンにはうれしいポイントだ。
さらに塗装や材にこだわりビンテージのクオリティを追求したインスパイアード・バイ・ギブソン・カスタム・シリーズ、テキサンやフロンティアなどのエピフォン・オリジナルの伝統モデルをギブソンのモンナタ・ファクトリーで製作したハイエンド・ギターなど、ファンのニーズにこたえた本格的モデルが充実している点も見逃せない。
Fender

さまざまなスタイルのアコギも手掛ける、エレキ・ギターのパイオニア
フェンダーの創業者レオ・フェンダーは、1930年代にラジオ修理からスタートして、50年代にはテレキャスター、ストラトキャスターなどでエレキ・ギター界に革命を起こす。意外にもアコースティック・ギターの歴史も古く、1963年頃からニューポーター、マリブといったモデル名のギターを発表していた。
現在はスタンダードなドレッドノートから、扱いやすいコンサート、人間工学に基づきコンター加工を施したハイウェイ・シリーズなどの意欲的なシリーズまでが用意されている。片側6連でペグが並んだフェンダー・ヘッドは、ストラトから持ち替えたプレイヤーにはうれしい仕様だ。
また、ソリッド・ボディのエレキ・ギターと同様のプレイアビティを保ちながら、アコースティック・サウンドとエレクトリック・サウンドをブレンドできる革新的モデル、アコスタソニックは多くのプロ・ミュージシャンからも注目を集めており、新たな可能性を感じさせる。
Ibanez

スーパー・ギタリスト御用達ブランドの“弾きやすさ”
1908年創業の星野楽器のオリジナル・ブランドで、1929年頃に販売していたスペイン製のクラシック・ギターの名前がブランド名の由来。1960年代には輸出用ギターが広く知られるようになり、1970年代はオリジナル・デザインのギターが欧米で広く受け入れられ、世界的ブランドに発展した。
スティーヴ・ヴァイ、ポール・ギルバート、パット・メセニーというスーパー・ギタリストが愛用したことでエレキ・ギターの人気は非常に高いが、エレキ・ギターから持ち替えても違和感のないアコースティック・ギターもさまざまなコンセプトのモデルが用意されている。
エキゾチック・ウッドを採用したEWを継承するAEW、ボディ・サイドにサウンドホールを備えるAE、弾きやすさを追求したオーディトリアム・ボディのAAM、エレキ・ギター感覚でナイロン弦を楽しめるモダン・スタイルのエレガットFRHなど、独自のポリシーを貫いた充実の品揃えだ。
LAG Guitars

人と被らない独自のモデルを生み出す、フランス発の個性派ブランド
1981年、ミュージシャンだったミッシェル・ラグが立ち上げたフランスのギター・ブランド。もともとはエレキ・ギターを中心に製作していたが、2000年以降はアコースティック・ギターに注力、著名なルシアーを迎え入れて、オリジナリティ溢れるモデルで高い評価を得ていく。
ルックス面ではサウンドホール周りの独創的なデザインが目を引く。ボディ・トップは単板にこだわり、カヤ、スプルース、レッド・シダーに加えて、環境に配慮し、短周期で伐採できるパイン材を加工したブランコウッドも積極的に採用。サウンド面においてのオリジナリティにもつながっている。
エッジを丸めた木材のバインディングなど、細かい部分まで丁寧に作られているにもかかわらず、コスト・パフォーマンスに優れているところも注目しておきたい。豊富な種類が用意されたボディ・スタイル、充実したピックアップ・システムなどもこのメーカーのこだわりと言えるだろう。
YAMAHA

日本の音楽シーンを支え続ける、ジャパニーズ・スタンダード
国内アコースティック・ギター界において最も重要なブランドであるヤマハ。1887年より楽器製造に関わり、1966年に独自のデザインを採用したFG-150、ドレッドノート・スタイルのFG-180を発売。空前のフォーク・ブームとともに大ヒット・モデルとなる。
1968年にはマイナー・チェンジが施されて、伝説の“赤ラベル”と呼ばれるシリーズが誕生。以降も仕様変更をくり返しつつ、現在のFG/FSシリーズにつながる人気モデルを作り続けてきた。1974年にフラッグシップ・モデルとして発売されたL-31を元祖とするLシリーズも人気を博し、第一線で活躍するプロ・ギタリストが多く愛用したことでも知られている。1987年にはエレアコ・モデルのAPXシリーズが発足。こちらも現在のAPX、CPXにつながるラインナップへ成長した。ギタリストの意見を取り入れた柔軟な開発スピリットが多くの名モデルを産んできた理由だろう。
ZEMAITIS

ハート型のサウンドホールなど、目を引くデザインのモデルを取り揃える
1950年代よりギター作りをしていたトニー・ゼマイティスが、イギリスはロンドンにて本格的にギター・ブランドを創業したのは1965年。ハンドメイドで作られ、デザイン、サウンドとも個性的なアイディアを取り入れたギターは、すぐにミュージシャンの間で話題となり、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ロン・ウッドなどが愛用し始める。
彫刻師トニー・オブライエンによる金属彫刻入りのメタル・トップのエレキ・ギターが有名だが、ハート型のサウンドホールやロゼッタが入ったアコースティック・ギターも一部で高い人気を集めていた。トニー・ゼマイティスは、40年以上にわたるキャリアで、およそ600本ものギターを世に送り出したと言われている。
2008年以降のトニー亡きあとは、神田商会によりブランドは継承されており、ジャンボ、グランド・オーディトリアム、オーケストラ、スモールなどのボディ・スタイルのアコギを製造している。
まだまだある、押さえておきたい有名ブランド
Guild

ポール・サイモンなども愛したアメリカン・アコギの老舗
1952年にアメリカ・ニューヨークで創業した当時、エピフォンで働いていた職人が数多く移籍し、エレキ・ギターとアコースティック・ギターの製作を進めていったギルド。ホロウ・ボディのエレキ・ギターに加えて、大型アコースティック・ギターは人気が高く、F(ジャンボ)やD(ドレッドノート)シリーズは、定番モデルに成長。一時アメリカではマーティン、ギブソンに次ぐ3大ブランドと言われた。幾度かの買収劇があり、現在はヤマハの子会社の傘下であるコルドバがブランドを所有、米カリフォニアほかの工場でギター作りを行なっている。
Gretsch

アコギの歴史も長い、ロックンロール・ギターの象徴的ブランド
1883年創業という長い歴史を持つグレッチ。アメリカ・ニューヨークでスタートした当初はドラムやバンジョーなどを製作していたが、1933年よりギター作りを本格化。1950年代中盤に発表した6120などのエレキ・ギターがブランド・イメージを決定づけたが、すでに1954年にはアコースティック・ギターの代表モデルであるランチャーを発売。現在はランチャーに加えて、1930〜50年代にカタログ通販で取り扱っていたパーラー・ギターRexからインスパイアされたJim Dandyシリーズなども展開している。
Headway

日本の名匠が立ち上げた、ハイ・クオリティな国産ブランド
1977年、伝説のマスター・ビルダー故・百瀬恭夫が長野県松本市にて創業したブランド。厳選された材と至高の技術力の結晶“Customshop”、ベテラン職人集団の飛鳥工房が手掛ける“Aska Team Build Series”、クオリティにこだわった国産ラインの“Standard Series”、海外での生産工程を取り入れ国内で最終調整をする“Japan Tune-up Series”など、多彩な商品構成を展開。桜ギターなど、人気の高い個性派シリーズも秀逸。
HISTORY

無数のプレイヤーたちを支える島村楽器のオリジナル・ブランド
島村楽器のオリジナル・ブランドとして1994年にスタートしたHISTORY。長期シーズニングされた単板トップの採用、安定したピッチが得られるサークル・フレッティング・システム、抜群の弾き心地を得られるシームレスUVネックなど、独自のこだわりが詰め込まれており、プロの愛用モデルから入門用まで幅広いバリエーションが用意されている。さらに2002年からは10万円以下のエントリー・モデルを中心にしたブランド、Jamesも展開しており、あらゆるニーズに応えてくれるアコギが、全国で入手可能となっている。
K.YAIRI

世界中の名手たちを魅了し続ける、岐阜県の職人たち
1935年に矢入儀市が創業した矢入楽器製作所が起点となり、二代目の矢入一男がアメリカでギター作りを学び、帰国後の1965年にヤイリギターを設立。K.YAIRIの名で世界中のギタリストたちを魅了し続けてきたブランドである。精鋭の職人による本数を制限した丁寧なギター製作や生涯サポートなどの独自のポリシーを貫いていることが特徴だ。最高級グレードのハイエンド・シリーズ、プロの愛用者も多いエンジェル・シリーズなど、豊富なバリエーションを用意。現在も岐阜県可児市において、伝統のギター作りが継承されている。
Morris

フォークからソロ・ギターまで、日本のアコギ・シーンに寄り添い続ける
1961年に創業、1972年より“Morris”のブランド名でアコースティック・ギターを製造してきた老舗メーカー。フォーク全盛期にプロ・アーティストが使用したことで、一気にその名を広めた。マスター・ルシアー森中巧による“ルシアー・メイド・プレミアム”、職人の技術力が光る “ハンド・メイド・プレミアム”、海外生産のギターを国内で点検・調整する“パフォーマンス・エディション”に加えて、モーリスならではのフィンガー・ピッキング・スタイルにフォーカスしたSシリーズなど、豊富なバリエーションが魅力だ。
STAFFORD

弾きやすいエントリー・モデルが揃う、黒澤楽器店のオリジナル・ブランド
黒澤楽器店のオリジナル・ブランド、スタッフォード。1990年代後半~2000年代にかけて、最高級ラインのSADシリーズなどをプロが愛用し、高い人気を誇った(2025年、SADシリーズ復刻予定)。当時のアコギ・ファンには、現代でも高品質なブランドというイメージが根強く残っているが、現在はSFシリーズとして、630ミリ・スケール、ナット幅42ミリという弾きやすさを追求したエントリー・モデルも展開。ドレッドノート、フォークサイズ、カッタウェイの3シェイプに、豊富なカラー・バリエーションも取り揃えている。さらに、2025年から新たにモダン・シリーズが登場し、6~10万円クラスのワンラック・アップしたモダンなデザインも選べるようになった。
Takamine

海外でも高い評価を受けるタカミネのエレアコ・サウンド
1959年に岐阜県で創業したアコースティック楽器工房がルーツ、62年に高峰楽器と社名変更、70年代半ばには自社ブランドTakamineを発足、早くからエレアコの開発に着手した。独自技術の“パラスティック・ピックアップ”を搭載したギターは、海外で高く評価され、ライ・クーダーを始めとするトップ・ギタリストが使用して、一気にその名を広めた。プリアンプの評価も高く、信頼度の高いエレアコとして現在も国内外問わず多くのプロがステージで愛用中。細かくシリーズ分けされている充実したエレアコの商品構成が素晴らしい。
Taylor

プレイヤー目線のギター作りで人気を集める、アコギ3大ブランドの一角
1974年にアメリカのカリフォルニア州で創業されたテイラーは、プレイヤー目線に立った個体差のないギター作りを進めて、アメリカ国内ではマーティンやギブソンに次ぐ3大ブランドとして多くの支持を集めている。接着剤を使用しないネック・ジョイント方式、V-Classブレーシングと呼ばれる内部構造など、独自のデザインによる個性がサウンドに貢献しており、プロ・ギタリストの愛用者も多い。ボディ形状やトップ材などの違いにより3桁の数字で表記されるスタンダード・モデルに加えて、ミニ・ギターのシリーズも評価が高い。