inclien Jr.
マイク録りのナチュラルな音をライブでも
incline Jr.は一般ユーザーにも手が届きやすい価格にするためにいくつかのパーツを変更しているものの、基本的にはINCLINEを1チャンネル仕様にしたものだ。
大きくこだわったのは、ウーファーとツィーターの中心軸が一致する“同軸スピーカー”の採用。これによって、サウンドホールから音が放たれるように、低音から高音までが同じ位置から出力される。スピーカーをサウンドホールに見立てマイクを立てれば、PAからも安定してナチュラルなサウンドを客席へと届けられるというわけだ。
視覚的にもわかりやすい11バンドのグラフィックEQは細かなサウンドメイクができるほか、ハウリングするポイントのみだけをカットするなど、ステージでの柔軟なトラブル対応にも役立つ。また、細かく調整できるこのEQには、“エレキ・ギタリストやベーシストがアンプやエフェクターで音作りをするように、PAエンジニアにサウンドメイクを委ねるのではなく「アコギ奏者にも自分の音を自分で自由に作ってほしい」”という、開発者である篠原勝氏の願いが込められている。
そのほかにはハイパス・フィルターやミュート・スイッチも搭載。さらにヘッドフォン・アウトも装備しており、自宅での使用も視野に入れられている。篠原氏曰く“自宅ですごく小さい音で出しているだけでも、なくなると寂しく感じると思います。これはぜひ体感してほしい”とのこと。プリ/ポストDIアウトはステージで活躍するスペックというほかに、宅録でプリアンプ的に使用することも可能だろう。
INCLINEとincline Jr.との違い(公式HPより)
incline Jr. | INCLINE | |
---|---|---|
Op Amp | 汎用品 | ハイグレード品 |
Channel | 1チャンネル | 2チャンネル |
Speaker | 10インチ、コアキシャル | 12インチ、コアキシャル |
DI Out | Op Amp | トランス式 |
キャビネット幅 | 430mm | 488mm |
重量 | 22kg | 27kg |
INCLINEシリーズの開発経緯
INCLINEの開発のきっかけは、SHINOSの代表である篠原勝氏がとあるライブを観た時に抱いた、“アコースティック・ギター奏者も、エレキ・ギタリストのようにアンプを背負って弾いたらもっとカッコ良いのに……”という思いから。
また、ギター・テックとしても活躍する篠原氏は、アーティストのレコーディングに立ち会うこともあり、スタジオのプレイバックで聴く“マイク録りのアコースティック・ギターの音色”にかねてより大きな魅力を感じてきた。そのナチュラルなサウンドをステージでも再現するために、開発をスタート。2024年に2チャンネル仕様のINCLINEが生み落とされた。

SHINOS/incline Jr.
◎Specification
- 出力:350W(外部スピーカー接続時は700W)
- チャンネル数:1
- スピーカー:ベイマ製10CX300Fe
- コントロール:ゲイン、ハイパス・フィルター、ミュート、11バンドGEQ、リバーブ、マスター・ボリューム、ヘッドフォン・ボリューム
- 入出力端子:インプット、ヘッドフォン・アウト、プリDIアウト、ポストDIアウト、センド、リターン、フットスイッチ、外部スピーカー・アウト
- 寸法:430(W)×300(D)×540(H)mm
- 重量:22kg
◎価格
279,400円(税込)
※公式オンラインショップでの販売価格
https://shop.shinosamp.com/product/inclinejr/
◎問い合わせ
SHINOS AMPLIFIER COMPANY https://shinosamp.com/