DURANのソロ・ツアーにブルージィな彩りを加えた、2本のアコースティック・ギター

ロック・シーンで異彩を放つギタリスト=DURANのツアー、“The Venomous Rift in Humanity Tour”の最終公演が、2024年8月30日に開催された。アコースティック・ギターもブルース・アルバム『30 Scratchy Backroad Blues』の収録曲を中心にプレイされ、エモーショナルなアプローチをたっぷりと聴かせてくれた。今回は、そのステージでDURANが使用したアコギ&関連機材を紹介しよう。

撮影/文=福崎敬太

Gretsch/G5021WPE Rancher Penguin

Gretsch/G5021WPE Rancher Penguin(前面)
Gretsch/G5021WPE Rancher Penguin(背面)

色気たっぷりのサウンドを聴かせたメインのパーラー・ギター

DURANがブルース楽曲を中心に使用したメインのアコースティック・ギターは、Gretschの小ぶりなG5021WPE Rancher Penguin。FishmanのIsys IIIピックアップ・システムを搭載したパーラー・サイズのモデルで、白のラミネイテッド・メイプル・ボディにゴールド・スパークルのバインディングが施されたグレッチらしい1本だ。

バインディング
ゴージャスさを演出するゴールド・スパークルのバインディング

ウッドベースのリズムに乗せたルーズなコード・ストロークで歌い始めた「Jojo’s Echo Blues」では、メジャー・スケールを織り交ぜた色気のある音色でのソロを披露。「Revive(Bluesy)」では複音で構成した厚みのある見事なアプローチを聴かせ、「Shades Of Night(Bluesy)」ではプリングのラン・フレーズで会場を沸かせる。

「Through My Hands」では、開放弦の響きを生かしたフィンガーピッキングでの美しいアルペジオ、スティール・リックで締め括る情感豊かなソロを届けてくれた。

サウンドシステムもシンプルで、KORG/Pitchblack XS(チューナー)とRupert Neve Designs/RNDI(DI)を経由してPAへと信号が送られているのみ。ナチュラルで生々しいサウンドが印象的だった。

サウンドシステム
写真左がRupert Neve Designs/RNDI(DI)、右がKORG/Pitchblack XS(チューナー)

Harmony/H952 Monterey Colorama

Harmony/H952 Monterey Colorama(前面)
Harmony/H952 Monterey Colorama(背面)

ブルース・フィール強めのビンテージ・アーチトップ

オープンGチューニングのスライド・プレイを軸とした「Look Behind You」で使用された、Harmonyのアーチトップ・ギター=H952 Monterey Colorama。2023年末に入手した1本で、1963年製の個体だそう。

RE/F-TECHによるコンタクト・ピエゾ・ピックアップ=Crown Cap Pickupをテイルピース付近に装着しており、ステージではおそらくエレキ用のギター・アンプから出力されていた。

Fenderの'65 Super Reverb
メイン・アンプとしてH952のサウンドも出力したFenderの’65 Super Reverb。右はサブとして用意された同型機

「Look Behind You」はアルバム『30 Scratchy Backroad Blues』に収録されたバージョンよりも少しリズムが速い印象で、ピック弾きの荒々しいスライドとH952による倍音が少ないハリのあるサウンドがブルージィさを増強しているように感じた。

ちなみに、スライド・バーはブラス製で薬指に装着。

手もとのボード
手もとに用意されたボードには、ピックとしてJim DunlopのTortex(0.88mm)とブラス製のスライド・バーが。右下はElectrograve/Quad Oscillator(オシレーター)で、右上がおそらくキル・スイッチ、左のRadial/とPro D2(DI)からオシレーターのサウンドをPAに送っていたと思われる

Pedalboard

ライブ当日は撮影のみで話が聞けなかったため確実ではないが、H952もエレキ用のシグナル・ルーティングを経由している可能性があるため、念のためにペダルボードの写真も掲載しておこう。

クリーン寄りのシンプルなサウンドだったため、出音に関係したものとしては、FulltoneのTube Tape Echo(テープ・エコー)のバッファーやIbanezのTS9(オーバードライブ)程度だろう。

DURANのペダルボード

“LITTLE BOYS + DURAN Split Tour”公演情報

  • 2024年10月9日(水)/大阪・NOON+CAFE(Special Guest:KING BROTHERS)
  • 2024年10月10日(木)/愛知・名古屋CLUB UPSET
  • 2024年10月12日(土)/山梨・LIVE & KARAOKE maman
  • 2024年10月17日(木)/東京・新代田FEVER

ツアー情報/チケット詳細:https://duranguitar.com/

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