フォークのDNAを継ぐ新星、井上園子が愛用するジャパン・ビンテージ&ライブ機材

トラディショナルなギター・スタイルと芯のある歌声で、早耳の音楽ファンから注目を集め始めている新星シンガー・ソングライター、井上園子。2024年9月4日に1st作『ほころび』をリリースする彼女が、そのレコーディングで使用したのは、父から借り受けている1本のギターのみ。そのアコギとライブ用の機材を合わせて紹介しよう。

撮影/文=福崎敬太

Thumb/Dreadnought Type

Thumb/Dreadnought Type(前面)
Thumb/Dreadnought Type(背面)

父から借り受けている無二の相棒

寺田楽器が1970年代に製造していた“Thumb”というプライベート・ブランドのドレッドノート・タイプ。ラベルのモデル名表記が削れており判別ができなかったが、べっ甲柄のボディ・バインディングやメイプル・サイド&バックなどの特徴からおそらくGS-300と思われる。

本器は井上が父から借り受けているもので、デビュー作『ほころび』の全曲で使用したほか、ライブなども基本的にはこの1本で演奏する。

サウンドの印象については、“ボディの中で音が循環して、低音がバーンって効くんです。オレンジ色の音が出る感じで、あったかいんですよね。シャリっとしていなくて、すごく好き。もの知りな親戚のおじさんみたいなイメージです”と語ってくれた。

ブリッジ
弦高が低かったそうで、新しいサドルに交換し、自ら削って調整したという
メイプルのサイド材
サイド&バックにはメイプルが採用されている

Pick & Capo

ピック
左からJim Dunlopのニッケルシルバー・フィンガーピック、ストロークがある時に選ぶ山崎まさよしオリジナル・サムピック、Jim Dunlopのメタル・サムピック
カポ
カポはSHUBB製を愛用

Pickup

Fishman/Rare Earth Blend
Fishman/Rare Earth Blend

知人から借りたピックアップ・システム

2024年現在、井上がライブでギターの出力に使っているピックアップは、マイクとマグネティック・ピックアップの信号がブレンドできる、FishmanのRare Earth Blendだ。ギターのエンドピンに加工はしておらず、ライブのたびに装着して、アウトプット・ジャックはサウンドホールから出している。

活動初期のライブでマイクで収音していた井上を観たベーシストの大澤逸人から、obana microfoneを薦められ導入したがなくしてしまい、知人から本機を借りたそうだ。

“ピックアップの音って色気がなくてあまり好きじゃなかったんです。でもこれは自分で調節できるから、生音の感じが残ってパキッと出せるので良いです。マイクとピエゾのバランスは聴きながら調整します”とのこと。

Pedal

L.R. Baggs/Venue D.I.
L.R. Baggs/Venue D.I.

サウンドの微調整に使うプリアンプ/DI

大きめの会場でライブをする際、ギターとPA卓の間につなぐプリアンプ/DI。こちらも借り物とのこと。基本的な音色はピックアップのマグネティック/マイクのブレンド具合で決めるが、会場によって音を聴きながら本機を調節するそうで、比較的調整するのはベースとローミッドあたり。

『ほころび』井上園子

井上園子『ほころび』
P-VINE/PCD-18913/2024年9月4日リリース

Track List

  1. 三、四分のうた
  2. おいしい暮らし
  3. あの街この街
  4. 十を数えて
  5. きれいなおじさん
  6. ありゃしない
  7. 漫画のような
  8. カウボウイの口癖
  9. 人ばかりではないか

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