初めまして、ギタリストの関口シンゴです。この連載コラムは“アコースティック・ギタリストのための宅録・音楽制作入門”というテーマで書かせていただこうと思っています。
アコギを弾く人は“弾き語り”や“ソロ・ギター”など、“おひとり様”で音楽を作る人が多いので、そんな方に向けた宅録入門のイメージですね。
僕はギタリストやバンドマンとしての活動もしつつ、アレンジ・プロデュース・映画やドラマの劇伴音楽の仕事もしているので、まさにこのひとりで録音する“宅録”を仕事としています。

でも最初から機材やPCの操作を得意としていたかというと、まったくそんなことはありません。自慢じゃないけれど、エアコンのタイマーだってろくに合わせられないような機械音痴です。それでもひとりで音楽を作り上げていく楽しさに魅了されて、なんとか頑張って一歩ずつ知識や経験を積み上げてきました。
なのでスタートラインは皆さんと同じです。今ではメジャーで活躍するアーティストの曲をまるごと宅録で作り上げることも少なくないので、人間やればできるものですね。
そんな経験の中で培った知識やアイディアをこの連載でこっそりお裾分けできたらと思います。きっと何かの役に立ってくれるはずです。
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さて、初回なので僕自身の宅録歴をご紹介します。
14歳でギターを始めて最初の宅録機材を買ったのが16歳頃。“カセットMTR”というカセットテープに録音していくレコーダーなんですが、僕が買ったのは4トラックのものだったので4つの楽器しか録音できませんでした。それに、何度もやり直しているとテープなので音が劣化していく……。限られた中での録音でしたが、宅録初体験だったので本当に楽しかったですね。ギターを何本も重ねて面白い響きになるだけで嬉しかった記憶があります。
20代に入ってからMacbookを買ってPro ToolsというDAWソフト(※脚注1)を使い始めました。デジタルなのでいくらでも楽器を重ねることが出来るし、リバーブやコーラスのような色んなエフェクト・プラグイン(※脚注2)も使えて宅録熱が再燃しました。ギターだけでなくMIDI鍵盤(※脚注3)を買ってさまざまな楽器の打ち込みも始めて、ひとりでオーケストラのような大編成を見よう見まねで作って感動しましたね(今思えばひどい出来でしたが)。
でもこのPro Toolsはレコーディング・エンジニアさんが使う専門ソフトでもあるので、操作がけっこう難しい……。そこで周りの音楽仲間も使っていたLogic Proに乗り換えて、宅録を本格的にスタートさせました。それから今現在までずっとLogicを使っています。
次回はそんな宅録でのアコギ録音のお話を。
注1:DAWソフト=Digital Audio Workstationの略で、PC上で録音〜エディットなどを行なうためのソフトウェア。
注2:プラグイン=おもにDAW上で拡張機能として作動するソフトウェア。アンプやマイクのシミュレートや各種エフェクト、空間モデリングなど、無料/有料でさまざまなものが存在する。
注3:Musical Instruments Digital Interfaceの略で、電子楽器同士を接続するための規格。DTMではソフトウェア音源を操作する際に、鍵盤でMIDI信号を送り、音階やタッチなどを再現することが多い。
Shingo Sekiguchi「tender tour 2025 Deluxe Edition」ファイナル公演
日程:2025年6月12日(木)
18:30開場/19:30開演
会場:東京・渋谷WWW
ゲスト:ソエジマトシキ
<チケット>
https://sekiguchi.lnk.to/tender.tour.2025